羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け
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山本純子

  • 2022年9月22日

10月18日は「冷凍食品の日」、10月は「冷凍食品月間」

1年365日(4年ごとに366日)、記念日になっていない日はないようです。冷凍食品にももちろん、記念日があります。 「冷凍食品の日」は10月18日、そして10月は「冷凍食品月間」です。 日本冷凍食品協会が、1986年に「冷凍食品の日」を制定、翌年に10月を「冷凍食品月間」と定めました。由来は、冷凍の「とう(10)」で10月、冷凍食品の自主的取扱基準に基づく保存温度、マイナス18℃以下(食品衛生法の規制はマイナス15℃以下)にちなんで、18日です。また、10月は食欲の秋、食に関する話題も多いということで、10月を「月間」に設定したのです。 このように説明すると、“業界あるある”のように思えますが、この制定に至るまでには、業界人なら誰もが心しびれるエピソードがありました。   業界有志が立ち上がった!心しびれるきっかけ 1984~85年当時、好調に伸びてきた家庭用冷凍食品の勢いが急に弱くなり、「成長が止まったのでは」、「成熟期か?」といったことが業界内でささやかれていました。しかし、「いや、これは単なる踊り場。冷凍食品の良さをPRすれば、きっと再び成長軌道に乗るはず」と立ち上がった方々がいました。トップメーカーの味の素、ニチレイ、ニッスイ(日本水産)の当時の冷凍食品担当部長3氏でした。リーダーは後に味の素㈱社長に就任した故江頭邦雄氏です。 いつもはライバルとして、マーケットで熾烈なバトルを繰り広げる大手3社。その担当部長が相まみえ、業界の発展のためにと業界全体で取組むべき、冷凍食品そのもののPRについて話し合ったのです。 そして彼らの提案が協会事務局を動かし、業界を動かし、特別予算、特別協賛が組まれて、「冷凍食品市場活性化特別事業」の名称で、プロジェクトがスタートしました。その結果、「冷凍食品の日」を制定、一般の消費者を招く業界挙げてのPRイベントが1986年10月18日に実施されたのです。イベントを開き、話題を提供、マスコミに取り上げられ、広く全国の消費者に伝わることを目指す企画です。 以降、36年が経過しますが、大喪の礼の前年に中止があった以外、毎年冷食協主催のイベントが開催されています。   問屋も立ち上がり、成長軌道へ 私は専門紙記者でしたので、“業界挙げて”というフレーズを何度使用したか覚えていないくらいです。この動きは食品問屋の有志も動かしました。首都圏では問屋が会員、メーカーが賛助会員で構成する「首都圏市販冷食連絡協議会(市冷協)」が1987年に誕生します。流通に共通する課題を話し合い、スーパーで展開するキャンペーンを開始しました。現在も、冷凍食品を購入し、ハガキで応募するクローズドキャンペーンを毎年実施しています。その他地方でも数カ所、活動が盛り上がりましたが、M&Aによる流通再編の波を背景に、今では終息していてさみしい限りです。 しかし、業界人の予想通り、「冷凍食品の日」制定から程なくして、家庭用冷凍食品は再び成長の勢いを増してきます。「お弁当」商品のバラエティが広がり、瀬戸大橋開通で冷凍さぬきうどんが話題になり(1988年~)、焼きおにぎりのヒット(1989年)、電子レンジ調理のフライが登場(1994年)、自然解凍OK商品の開発(1999年)と、市場をリードする数々の開発商品が出てきたこともマーケット拡大の要因になりました。 2000年には、日本冷凍めん協会も「冷凍めんの日」を10月10日(れい:0のつく10月、とう:10日)に定め、冷凍めんの美味しさ、新鮮さを啓蒙する普及事業に取組んでいます。   まだまだ成長、夢は広がる ライバル関係を超越して、声を掛け合い、普及事業に協力する。そんな活動を実現できた業界が冷凍食品業界です。成長する勢いがあるからこそ、互いに奪い合うことなく、さまざまな方向で企業が発展していけたと思います。昨今、高級冷凍食品や冷凍食品専門店が話題になって大いに注目を集めている家庭用冷凍食品ですが、今後も成長する未来が予測できる、そんな夢が広がっている業界なのだと考えています。 資料:(一社)日本冷凍食品協会 国内生産高(業務用・家庭用別)統計の推移 2021年度の冷凍食品の日イベント (ゲストは三國清三シェフ、山口もえさん)

  • 2022年8月25日

冷凍の方が「栄養が摂れる?!」37年前の『事件』

「女子栄養大学の吉田企世子先生から電話がかかってきてね、どうもおかしいって言うんだけど、『先生、まったくおかしくありません。当然です』ってお答えしたんだ」と得意顔で語った、日本冷凍食品協会の比佐勤常務理事(当時、後に専務理事)の顔が浮かびます。下表「生鮮ほうれん草と冷凍ほうれん草のビタミンCが含有量」を見るたびに蘇る思い出です。もう37年前のことなんですね。 (一社)日本冷凍食品協会ホームページより 当時の女子栄養大学の研究室、吉田先生は学生に、生鮮のほうれん草と冷凍のほうれん草のビタミンC量を計測して比べるという課題を与えました。ところが、何度計っても生より冷凍の方が格段にビタミンC量が多く、「おかしい」ということになって、冷凍食品協会に問い合わせたのです。野菜・果実の栄養成分、品質研究が専門分野であった吉田先生ですが、生鮮・冷凍の分析結果は同等か生鮮が勝る、と予測していたのでしょうね。その時期は、表にある6月、初夏のことだったと推察できます。 冷凍野菜はいつでも『旬』 問い合わせを受けた比佐氏は、冷凍食品の賞味期限は約1年間なので、冷凍野菜は最も生鮮品が多く出回り価格も安定している旬の時期にまとめて生産できること。旬の野菜が美味しく栄養価が高いことは当然。冷凍野菜はブランチング(下ゆで)して急速凍結していること。急速凍結は食品の組織をなるべく壊さずに凍らせておく技術なので、適切に解凍すれば栄養価は旬の時期そのままであること、などを解説したそうです。 そう、ほうれん草の旬は冬場。その組織が壊れないように保たれているということは、冷凍ほうれん草はいつでも『旬』。説得力があります。 テレビで公開された最新実験結果でも、冷凍ほうれん草の「旬」の栄養を確認。 https://frozenfoodpress.com/2022/08/27/asaichi-frozen-vegi-vitaminc/ その当時、生鮮野菜と冷凍野菜の栄養量を比べる実験を行った例はなく、業界にとっては朗報、大喜びであったと思います。実際、それ以降、冷凍食品協会は、吉田先生の研究結果(1985年)を活用して、冷凍食品のメリットをPRしています。 余談ですが、「日本食品標準成分表」に、ほうれん草の栄養成分が、通年平均と夏採り・冬採り別に掲載されるようになったのは、2015年改訂(七訂)からです。  -18℃以下で1年間、これが経済的メリット 「冷凍食品では栄養が摂れない」「冷凍したら当然栄養は壊れているはず」といった誤解は、なかなか払拭できずにいるのですが、旬の時期に凍結した野菜と端境期の生野菜の栄養成分比較にふれると、皆一様にびっくりします。 年1回、旬の時期に作る、という話も、四季が巡って1年が経つ日本の消費者の感覚にフィットする話ですね。 さて、冷凍食品メーカーの多くが採用している約1年間という賞味期限、これは、-18℃以下を保って保管するという大前提の条件があります。もっと低い温度帯なら、賞味期限はより長く延ばすことができるのですが、製造した時の品質がほぼ同等に1年保つことができて、経済的にメリットのある温度帯として-18℃以下(華氏では0℉以下)が選ばれています(国際規格のコーデックス規格も同様)。 「グリーンピースのビタミンC保持に及ぼす温度の影響」(デートリッヒ、1957年)のグラフをご覧ください。急角度でビタミンC量が減少していく他の温度帯に比較して、-18℃以下ではほとんどと言ってよいほど保存日数の影響が低いことが表われています。 ちなみに、日本の食品衛生法による冷凍食品の品温は、微生物が繁殖できない-15℃以下と定められています。冷凍食品業界は、国の基準より厳しい国際規格を自主規格として採用し、より良い品質保持に努めているのです。  栄養バランスの良い食事は、、、自分で考えましょう 冷凍食品だけ食べてくださいとは言っていないのですが、時折、「冷凍食品ばかり食べて山本さんの健康状態が心配です」という意味不明のお気遣いをいただくことがあります。 ほぼ健康です。リスクは酒量のみ、と認識してできるだけ適量摂取に努力しております。 同じように「外食ばかりだと栄養が偏る」といった話も昔からよく聞きます。なんか変、と常々思ってきました。何をどれだけの量食べるかを考えて食事をすること、これは基本的な生きる力ではないでしょうか。 学校給食を長く取材していましたが、1日のバランス、1週間のバランスを考えること。多少太っていても気にせず、健康に過ごしている今より太らないように気をつけること、などなど、栄養指導をされている先生方からさまざまなお話をうかがいました。 冷凍食品はほぼ全ての商品に栄養表示があります。原材料も分かります。とても便利ですね。何を加えてバランスを取れば良いかが分かります。 かつて、大阪のテレビ番組に出演した際、「肉、野菜、炭水化物すべて入っている。餃子は”完全食”や」と力説した芸人さんがいらっしゃいました。ピザも似ています。 え、問題は量? 確かに。美味しいものはたくさん食べたくなりますからねぇ。

  • 2022年7月21日

冷凍食品買い方指南  カギは“コールド・チェーン”なのです

真夏、プールを出てアイスバーを頬張る至福の時、最後のひとくちがポトッと落ちて〈涙〉という経験、ソフトクリームがへなへなになって手がベトベトという経験、ありますか?私は、ボーっと考えごとをして、うかつに生きている子どもだったので、よくありました。 アイスはとけるまえに食べる!うっかりとけてしまったものを再凍結すると美味しくない!これ、鉄則ですね。スーパーでアイスを買おうというとき、お店に入って最初にカゴに入れる人はいないはず。特に夏は要注意です。買い物の最後にカゴに入れて、すぐレジにGO! 保冷剤かドライアイスを買うかもらうかして、まっすぐ家に帰り、すぐ冷凍庫にしまわなくてはいけません。 ところが、冷凍食品はというと、アイスほどには気遣っていただけていないような気がします。 ということで、今回は、「冷凍食品買い方指南」。 サブタイトルに掲げたように、そのカギは“コールド・チェーン”です。 お店では最後に買って保冷バッグ&保冷剤 『時間を止めて(急速凍結)』、『空間を超越する(マイナス18℃以下の保存・流通)』冷凍食品【前稿ご参照くださいませ】。マイナス18℃以下のコールド・チェーンをつなげて、売場に並べるまでは業界の仕事ですが、それ以降は、買い物をした皆様に託されています。 「チェーン(鎖)」をピンと張れば一直線ですが、どこかひとつの輪が切れたら、じゃらじゃらと落ちてしまいます。売場から皆様のご家庭の冷凍庫まで、ずーっとチェーンがピンと張れているかどうか、まずは意識することからスタートしましょう。 今やエコバッグの時代、冷凍食品を買う時は普通のエコバッグではなく、保冷バッグ持参を忘れずに。家を出るとき、冷凍庫にある保冷剤を入れておけばなお良いですね。保冷剤やドライアイスが有料の店もあるので、持参した方が節約になり、しかもエコフレンドリーです。 お店の中では、アイスと一緒に最後にカゴに入れて、すぐレジに向かいましょう。そして、保冷剤を持参してなければ、店でドライアイスや保冷剤を入手。そして、冷凍食品の上に置いて、しっかりチャックを閉めましょう。冷気は上から下に流れるのです。 注意したいのは、氷を使うのはNGということ。氷は冷凍庫から出してしまうとすぐ温度が上昇していきます。レジ横に置いてある氷は要冷蔵食品(10℃以下)の保冷用です。氷は、マイナス18℃以下の冷凍食品に接していると、時間の経過と共に冷凍食品の温度を上げてしまうことになるのです。 おうちでは 帰宅したら真っ先に、冷凍食品を冷凍庫にしまいましょう。そう、コールド・チェーンの最後のところです。 保管場所は、自分の使いやすいように、庫内を大きく4分割などして番地を決め、どこに何を納めるかをはっきり決めておくと良いですね。開け閉めの時間は短いほど良いですから。あれ。どこかなと探しているうちに庫内温度はどんどん上がってしまいます。 小分けにして使うものは、一度開封したら取り出し易い場所にまとめておくのも良い方法です。小分け使用の商品は、残りをジッパーバッグなどで保存するのも賢いやり方。乾燥しやすい麵類などは特におすすめです。 そして、『冷凍庫はみっちり保管』と記憶してください。空間が大きいと冷凍庫を開け閉めしたときにその空間に外気が入り込み、温度変化が起こりやすくなります、使った分を買い足していき、常にたくさん入った状態がベスト。 最後に注意いただきたいのは、冷凍=永遠ではない、ということです。 庫内が狭い家庭の冷凍庫は扉の開閉によって温度変化にさらされますので、家電メーカーでは、保存期間の目安は「3ヶ月」としています。もちろんそれを過ぎても腐らないのが冷凍の優れているところなんですが、印字されている賞味期限が何ヶ月先でも、買ってから2~3ヶ月以内を心がけて使い切るのが美味しく食べるコツなのです。 最近の冷凍食品はどれを食べても美味しくって、間違いなし。でも、せっかく美味しい冷凍食品を買っても、食卓できちんと100%の美味しさを再現しなくては、もったいない!!美味しく食べる第一歩は「買い方」。売場から家庭の冷凍庫までのコールド・チェーンがカギなのです。

  • 2022年6月16日

冷凍食品ジャーナリスト山本純子の
『冷凍食品のはなし』vol.1

1960年代のテレビアニメ、「スーパージェッター」をご存じでしょうか? 昭和のことはもはや故事、古典となってしまった令和の時代にこんな話題を振ると、なんか迷惑な年寄りになってしまいますが、『時の流れを超えてやってきた』少年ジェッタ-は、本当にかっこよかった。 ジェッターは、腕時計のようなもので「流星号応答せよ!」を呼びつけ(今のApple Watch風?)、どこから来るのやら空を飛んできて重量を無視して浮いているそやつに飛び乗り、マッハ15のスピードで飛んでいきます。少年少女の未来へのあこがれが詰まったアニメは、1965年1月7日にスタートし、最終回が1966年1月20日とのこと(何事もすぐ検索できる便利な未来になりました)。さて、その当時の家庭用冷凍食品はというと、1963年にスーパーの先駆け、ダイエー三宮店に初めて冷凍食品売場が登場し、ものすごいスピードで出店が続いたスーパーを通じて、人々の生活の中に入り始めた時期でした。 何が言いたいのかというと、時の流れを超える、未来から来たような『時空間超越』こそが冷凍食品の神髄、かっこよさ、ということです。   旬の食材も出来たての料理も、有名シェフのレシピによるごちそうも、急速凍結という手段で『時間を止める』。 そして-18℃以下という低温で保存して流通することで、約1年~2年、腐ることなく元の鮮度と品質を保ちながら、日本国内どこへでも、場合によっては海外へも、はたまた将来には宇宙にだって移動できる。行列ができるような有名店監修のラーメンも家庭にいながら楽しめる。つまり、『空間を超越できる』のが冷凍食品なのです。   『時空を止めて空間を超越する』というフレーズ、実は、わが国食品冷凍学の権威、鈴木徹先生(東京海洋大学特任教授)からお墨付きをいただいたもの。先生がかねてより唱えてこられた、「食品冷凍技術システム論」を私なりに解釈して表現したものです。 あるとき、「冷凍食品の最大のメリットとは?」と鈴木先生に聞かれ、「腐らないことです」と答えたところ、「そうだ!」と鈴木先生。「つまり、時間を止めて空間を超越する手段ってことですね」と私が言うと、「うまい表現だね」と褒めていただけた、という経緯です。 もちろん、時空間超越が可能になってから最後、冷凍庫から出して食卓に上るまでの扱いも重要です。システム論の『解凍・調理』のところを上手にこなすことが美味しさにつながります。“適切に解凍・調理をする”ことは、食べる皆様、厨房で調理する料理人の手に委ねられています。上手に解凍・調理して、素早く、美味しく、楽しく、快適な冷凍食品ライフを楽しんで頂きたいと思います。