羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け
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冷凍食品ジャーナリスト山本純子の『冷凍食品のはなし』

  • 2024年11月25日

クリスマスのホームパーティを盛り上げる冷凍食品

10月末のハロウィーンが過ぎると、街はクリスマスに向かってまっしぐらです。気候も一気に冬となれば、暖かな部屋で家族、友人と食卓を囲む年末年始、ホームパーティが楽しみになってきます。 さて、家でごちそうを食べよう、お客様を呼んで会食をとなると、奥様はじめ料理を作る人がかなりのエネルギーを使います。楽しい会の立役者なのに、ほとんど会話を楽しめない、といったこともよくあります。 そこで、気合いを入れるパーティ料理こそ冷凍食品を活用しよう、というのが今回のテーマです。   おもてなし料理こそ、「手間抜き」を おもてなし料理をちゃちゃっと作って、後は団らん、会食を楽しみましょう。結果がおいしければ、冷凍食品を活用することは、手抜きではなく「手間抜き」です。 写真は、日本冷凍食品協会の調理コンサルタントを務める、マノ料理学園園長、間野実花先生考案の冷凍食品を活用したクリスマスアレンジメニューです。 このメニューの中で驚いたのは、ケーキでした。ホットケーキ4枚とジャム、板チョコ1枚(湯せんで溶かす)。あっという間にできますね。お子様と一緒に作るのも楽しいでしょう。 詳しい作り方は、「エフエフプレス」の“教えて!実花先生”コーナーでどうぞ。 https://frozenfoodpress.com/2017/11/27/mano-mika-cooking-christmas-2017/   自然解凍OKのブロッコリーは大活躍 「食べるツリー」もまったくの手間いらず。自然解凍対応のブロッコリーとトマト、星に見立てて刻みオクラでOKです。中身はポテトサラダ。これを作ったときは、使い勝手の良い、冷凍マッシュポテトがあったのですが、普通のポテトサラダでもOKですね。 シーザーサラダ用のドレッシングをかけるとホワイトクリスマス、です。   食べるツリーといえば、クリスマスの人気メニュー、ピザでもできますよ。写真がなくて申し訳ないですが、ピザを焼いて6分の1カットにして。△を下3枚、次に2枚、最後に1枚のせて、ブロッコリーをちらほら飾れば出来上がりです。 フライドチキンはもちろん、冷凍食品で。最近はレンジでOKのチキンステーキもありますので、メインディッシュもおまかせ、です。   ゴージャスなパーティメニューも冷凍食品で クリスマスはゴージャスに、と思っている方々には、おとりよせのプレミアムアイテムが良さそうです。写真は、㈱田部(島根県)が「ブレジュ」ブランドで展開している本格メニュー、「奥出雲和牛のプレミアムローストビーフ モモ」です。 自然解凍するだけで、プロの仕上がりのローストビーフ。しかも、使用している牛肉は、銘柄牛の「奥出雲和牛」。非常に希少な銘柄牛ですので、知る人ぞ知る和牛だったのですが、冷凍食品になれば、時空間を超越して日本全国にお届けできます。 フランス発の冷凍食品専門店、Picard(ピカール)では、クリスマスシーズンが一番の稼ぎ時。毎年、さまざまなクリスマス特別メニューを発売します。今年も先日発表されましたが、カラフルな「レインボーケーキ」や天使の羽根がチョコレートの「天使のシュークロッカン」、「洋梨のジュレ入り 雪結晶のノア・グラ」、甘くてリッチな「シナモンのブリオッシュ アーティザン」などなど、ワクワクするメニューが揃っています。   2024年のクリスマスは、平日。クリスマス休暇が無い日本では、仕事を終えてのパーティ準備。となると、いろいろ便利でおいしい冷凍食品の出番です。冷凍食品をうまく活用して、楽しいパーティの主役になってくださいね。

  • 2024年10月22日

イートアンドフーズ関東第一工場の従業員食堂は「フローズンフーズラボ」

今回は、ちょっと趣向を変えて、イートアンドフーズの関東第一工場(上田浩司工場長)の従業員食堂ルポです。 じゃあ、冷凍食品を使ったメニューを出す食堂ですか?って。いえいえ、それは普通の事業所給食。ここは、従業員が冷凍ショーケースから自分の食べたい冷凍食品を選び、レンジでチンして食べる食堂です。隣接して厨房もありますので、もちろん「大阪王将 羽根つき餃子」を焼くこともできます。 名前もかっこよく「FROZEN FOODS LAB(フローズンフーズラボ)」。今年7月、同工場3階に完成したばかりです。 ショーケースに陳列されている冷凍食品は、同社工場で製造している「大阪王将」ブランドの商品はもちろん、普通にスーパーで販売している冷凍食品メーカー各社の人気商品もたくさん。冷凍食品をいろいろ食べながら、研究していこう!という気持ちが伝わってきます。 実際、食堂のすぐ隣は、同社の商品開発室(ラボ)です。しかも仕切っている壁は全てスケルトン。従業員一丸、工場で働く人が一体となって、「良い冷凍食品、美味しい冷凍食品を目指す」意気込みを感じました。   自社製品だけじゃない!福利厚生も兼ねてリーズナブルに提供 冷凍ショーケースの中を見ると、ランチにぴったりな流行りのワンプレート冷凍食品各種をはじめ、炒飯、ピラフ、ラーメン、焼そば、パスタなどなど30品ほど。ライスバーガー、キンパ、今川焼といった小腹を満たすスナックもあります。 そして、価格が「安い!」 「従業員の福利厚生も兼ねていますから」と森下賢人ライン長(写真上㊨)。調達・生産管理を担うのが仕事ですが、「フローズンフーズラボ」の管理も担当しています。 上田工場長(写真上㊧)は、「従業員がより働きやすい工場にしよう、ということで投資もしてもらった」と説明して下さいました。 第一工場3階には事務所と開発室、そして以前は外食店舗「大阪王将」をイメージした厨房と食堂はありましたが、従業員の食事を提供する機能は無く、みなお弁当持参か仕出し弁当利用。もしくは、道路を隔てた関東第二工場の社員食堂に行っていました。工業団地内ですので、周辺に飲食店はありません。「フローズンフーズラボ」ができて、食事の不便さが解消されたわけです。 実は同工場は昨年12月に出火が発生し、従業員は全員無事に避難できたのですが生産ラインは大打撃。食堂の3階もススだらけになったそうで、改修に時間を要しました。 生産設備は一部、すぐ復旧作業に入り、今年4月には外食店舗向けの麺製造ラインと冷凍食品の水餃子2ラインが稼働開始しています。その他冷凍食品4ラインのスペースは工事中で、そのうちの3ラインは2025年2月に稼働開始を予定しています 先日、本社で仲田浩康社長による第2四半期決算説明会席上、来年稼働する生産ラインについて説明がありましたが、2ラインが餃子ライン、残り1ラインは新たな「お惣菜ライン」とのこと。今注目を集めてマーケットが伸長している、ワンプレート商品にも挑戦していく方針です。 生産の中断は工場にとって大きな痛手ですが、それがバネになっているかの様な、チャレンジ意欲を感じさせてくれるのが同社の素晴らしいところだと思いました。   冷凍食品を実食して研究していくから「ラボ」 お昼時におじゃまして、従業員の皆さまが商品を選んで、チンして食べる様子を拝見。無人販売ですので、冷凍食品を選んだら、それを持って自分のIDでコンピュータ登録。そしてレンジのコーナーに行って調理します。加熱している間は、フリードリンクコーナーに行って青汁やお茶を用意したりします。1食の調理はだいたい長くても7分程度ですから、携帯メッセージのチェックなどしていたら、あっという間ですね。 仕事に入る前、休憩時間に、また帰りがけにと何度利用してもOKです。また、自宅から持ってきたお弁当箱をチンしている方も。自宅から持参したごはんを温め、おかずは冷凍食品を買う、という人もいるそうです。   お昼どきなので、ワンプレート商品を選んで食べている方が多かったです。ピラフ1袋を一気に食べるという強者も!!。 ショーケースの中には、小分け調理して残りに名前を付けて保管するスペースもありました。やはり、冷凍食品は無駄がなくて便利。 ぜひどうぞ、と言われ、私もイートアンドフーズの皆さまと一緒にランチタイム。私がショーケースから選んだのは、「大阪王将 天津飯」。また、併設のキッチンで焼いてもらった「大阪王将 羽根つき餃子」と、ニンニクマシマシの「大阪王将 羽根つきスタミナ肉餃子」も一緒に頂きました。 やはり、「大阪王将」店舗の人気コンビネーション。ベストマッチでした。 上田工場長、森下ライン長も自社製品をチョイス。やはりこれは「愛」ですね。もちろん日常は他社製品もいろいろ食べているそうです。「ちょっとくやしいけど、他社のも美味しいですね。負けずにがんばります」と上田工場長。 なるほど、「フローズンフードラボ」の狙いはもう一つあって、来年春から稼働させる新ジャンル「お惣菜ライン」の成功に向けて、従業員全員のイメージ醸成の役割も担っているようです。   日本アクセスの「チン!するレストラン」をヒントに この従業員食堂、「フローズンフードラボ」のモデルとなったのは、日本アクセスのイベント「チン!するレストラン」でした。 スーパーの冷凍食品売場のような冷凍ショーケースから、自分の食べたいものを選んで、すぐにレンジでチンして食べられる楽しいレストラン。日本アクセスが主催する「フローズンアワード」の10周年記念イベントとして、2021年に秋葉原で開催したのが始まりです。 イベントといっても、お客さんがお金を払って参加する時間制の食べ放題レストラン。それが大変な話題になり、2022年は大阪・梅田で、2023年は名古屋で開催しています。いずれも大盛況。キャンセル待ちも今年は1万人を超えたと聞いています。 本欄でも取り上げましたが、このイベントにインスパイアされて、昨年12月には、大阪・戎橋に常設の冷凍食品・アイス食べ放題レストラン「レンチン食堂」(運営:カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱)が日本アクセスの全面協力でオープンしています。 イートアンドフーズも「チン!するレストラン」のスタイルを参考に、関東第一工場3階を復旧するにあたって、従業員食堂にと思いつき、日本アクセスに相談を持ちかけたそうです。同社フローズンMD部の松元雄一部長もその発想を喜び、同社展示会場のフローズンコーナーに写真で紹介しました。 「ストックする冷凍設備は十分にありますから」と森下ライン長。確かに、ショーケースに入れる以外の段ボールに入った製品を冷凍庫の一角にストックしておくのは簡単。「1回の発注は40ケースほど。ほぼ1週間分くらいです」とのこと。冷凍食品だからこそ、効率よく無駄なく商品供給ができるわけですね。   “ええもん”を作る発想力を育てる工場へ 「チン!するレストラン」から従業員食堂を思い付くなんて、やはりすごい発想力だなあと感心します。今年55周年を迎える「大阪王将」のDNAなのでしょう。美味しいこと、楽しいことに一生懸命。店舗に来てくれた人、冷凍食品を買ってくれた人に対して、思いっきり喜んでもらいたい、という気持ちが前面に出てくる企業です。 上田工場長は今年3月に着任。つまり関東第一工場の新たなスタートを託された方です。水餃子ラインの稼働、その他内装復旧工事、そして、餃子ライン、新ラインの工事、稼働へと忙しい日々です。強い思いは、より働きやすい工場、さらに製造能力は1.5倍を目指すということ。「うちのいいところは、くじけない、ということです。ええもんを作る、美味しいもんを作る。他社には負けませんよ」 さらに上田工場長「働く人がやりがいを見つけられる工場、仕事が楽しいと思える工場を目指しています。食品を製造することを通して自身の成長を実感できる教育に力を入れます。人と人との関係の豊かさを実感できる工場に」と熱い思いを語ってくれました。   気になる人気商品は、、、 さて、イードアンドフーズ関東第一工場で働く方々に、どんな冷凍食品が人気なのか、気になりますね。ということで、直近のベスト3を聞いてきました。 ★第1位 ニップン いまどきごはん 具だくさんビビンバ なんと、ビビンバが№1。確かにその名の通りの具だくさん(具5種類で100g以上)で野菜たっぷり。健康的なワンプレートをセレクトする、意識高めの方が多いのではと推察します。実際にシリーズの人気商品です。   ★第2位 ニッスイ ふっくらごはんとチキン南蛮 ニッスイ『まんぞくプレート』シリーズの1品です。これもなるほど。コシヒカリブレンドの釜炊きご飯が輝くほどに美味しいシリーズなんですね。森下ライン長によると、から揚げなども含めてチキンのおかずは大人気なのだそうです。   ★第3位 bibigo 本格やみつきたれのプルコギキンパ これは驚き、Kフードがランクインです。CJ FOODS JAPANのキンパシリーズの1品。本場の味わいを再現した甘辛のプルコギたれ、野菜もたっぷりのキンパです。   皆さま美味しいアイテムをよく分かっていて、しかも野菜多めを選ばれているようですね。「フローズンフーズラボ」で無料提供している青汁と合わせれば無敵のランチ。休憩後の仕事もがんばれそう。 皆さま、取材にご協力を頂き、ありがとうございました! ごちそうさまでした!

  • 2024年10月2日

「冷凍食品の日」2024のテーマは“アレンジ”

10月18日は「冷凍食品の日」。そして10月は「冷凍食品月間」。 レイトウのトウ(10)、冷凍食品の保存管理温度であるマイナス18℃以下(業界の自主的取扱い基準)にちなんで日本冷凍食品協会が制定した記念日です。 10月は冷凍食品関連のさまざまなプロモーションがありますので、ぜひ、お見逃しなく。   業界最大キャンペーン「フローズンアワード」で盛り上がろう まずは、10月1日から冷凍食品業界最大規模の消費者キャンペーンである「フローズンアワード 冷凍食品・アイスクリーム総選挙」がスタート(11月30日まで、日本アクセス主催)。 https://promotion.nippon-access.co.jp/frozen/frozenaward/2024/   皆さまの投票で決定する「冷凍食品・アイスクリーム総選挙」。今年はどこのどの商品がナンバーワンに選ばれるのか、とても業界内がワクワク、ザワザワする期間に入ります。いわば、業界の喜怒哀楽が渦巻くドラマチックシーズンの到来。 誰でも参加できるweb投票を行う皆さまにとっては、毎日50名様に当たるプレゼント(1000ポイント分電子ギフト)を獲得できるかどうかと盛り上がる、楽しいシーズンでもあります。   ドラマといえば、今年のフローズンアワード関連企画では、「フロアワ・ザ・movie」が。10月1日から毎晩配信されます。冷凍食品とアイスクリームの話題満載の連続ドラマ(47夜連続、YouTube「フロアワTV」などで配信)。本格的な俳優陣に加えて、アワードにエントリーしたメーカーの社員も多数、エキストラで登場するという楽しい内容です。実は、冷凍食品ジャーナリスト山本純子も、セリフひと言で出演します(たぶん)。 ドラマを観て、クロスワードを解いて応募するキャンペーンもあるので見逃せませんね。   10月18日「冷凍食品の日」、冷食協イベントは屋外でアレンジメニュー 日本冷凍食品協会では毎年、10月18日の「冷凍食品の日」記念イベントを開催していますが、今年は、例年のホテル内でのイベントではなく、屋外、アーバンドックららぽーと豊洲(東京都江東区豊洲2丁目)で開催します。 子育て世代や若い方々のお買い物スポットで、冷凍食品を使ったアレンジメニューの試食をしていただこう、というのがメインの企画です。 昨年までのイベントでも試食会はありましたが、出席者は主にシニア世代で、事前募集の抽選で、ホテルのシェフが考えた冷凍食品を使用したメニューが提供されていました。つまり、どちらかというと本格的な宴会メニュー。今年はがらりと変えて、家庭で手軽に活用できるアレンジでメニューを紹介します。 作り方を聞いたら、まねをしたくなるような簡単でおいしいアレンジや、家計を助けてくれるような安上がりでボリューミー、おいしいアレンジなどが話題になれば、冷凍食品の利用もより進み、より楽しくなることでしょう。   「簡単」で「おいしい」、さらに『活用』で楽しくなる さて、冷食協の消費者調査(平成6年“冷凍食品の利用状況”実態調査)によると、「1年前より冷凍食品の利用頻度が増えた」とする人は男女とも2割以上と多く、その増えた理由を聞くと【表1】、「調理が簡単で便利だから」とする人が多く、次いで「おいしいと思う商品が増えたから」となっています。「簡単」で「おいしい」ことは、タイムパフォーマンス重視の方々が増えている昨今、かなり高い評価だと思います。   【表1】冷凍食品を利用する頻度が増えた理由(複数回答)     また、同調査では、「1年前に比べ、利用頻度が増えた冷凍食品」を聞いていますが、その結果は【表2】の通りです。 男女とも「ギョウザ」が増えたとする人が一番多く、次いで女性のみでは「冷凍野菜」、男性は、「ピラフ・炒飯」「パスタ・スパゲティ」がほぼ同数でした。「ギョウザ」強いですね。表示通りにすれば、フライパンで誰でも簡単に羽根つきのギョウザができることを強みに、需要層が広がっています。 利用頻度が増えている「ギョウザ」「冷凍野菜」「ピラフ・炒飯」「パスタ・スパゲティ」。もし、いつもの調理法だけでなく、ちょっとひと工夫を加えたら一層おいしくなる、チョイ足ししてさらにおいしくなる、という『活用の仕方』についての情報が広まれば、さらに人気が高まるかもしれません。 実際、「冷凍野菜」の利用が増えたという背景には、 自然解凍で利用できる冷凍野菜の普及(食べられる状態まで茹でて冷凍したブロッコリーなど:ロングブランチング商品と言います) 旬の時期に製造するので高い栄養価が保たれているという認識の広がり(冬場と夏場でビタミンC量が大きく変わるほうれん草の事例など) 冷凍野菜は下茹でしているので「加熱し過ぎない」という料理のコツの普及 家庭で食品ロスを出したくない、食材を無駄にしたくないという気持ちの高まり(SDGs)と共に広がった、「冷凍野菜は生ごみゼロ・ロスゼロ」の認識 使ってみたくなるような開発商品のバラエティが広がったこと(きざみネギ、きざみオクラ、むきえだまめ、新ミックス野菜など) などがあると思われます。 少し前までは、冷凍野菜の利用増といえば、天候不順による生鮮価格高騰が大きな理由だったのですが、そんな背景がなくても徐々に冷凍野菜のファン層が広がってきたのは嬉しいことで、メーカーの不断の開発努力に頭が下がるのでした。 人気の高い「ギョウザ」も焼くだけ、お鍋に入れるだけ、といった定番の利用ばかりでなく、さまざまに活用できる食品です。 実際、「大阪王将」ブランドの餃子つきラーメンは、「餃子はラーメンの具に最適!」というアレンジに気づかせてくれました。   【表2】1年前に比べ、利用頻度が増えた冷凍食品(複数回答) 〔以上、表は(一社)日本冷凍食品協会「平成6年“冷凍食品の利用状況”実態調査」より〕   ↓餃子・水餃子のアレンジレシピはこちら https://www.eat-and.jp/foods/recipe/ 肉と野菜の具をパスタ(麺帯)で包んだもの、と考えるとイタリア料理のラビオリやカネロニが連想できます。ならば、餃子や水餃子を大胆にトマトソース・ミートソースとチーズでラザニア風に焼き上げてみることを想像すると、「おいしいに決まっている!」と予想できます。   山本アレンジはごくシンプル 家庭でも応用しやすいアレンジメニューを提供する冷食協イベント、というニュースを聞いて、私自身は、どんなアレンジを日常にしているかと改めて考えたり、過去の写真を引っ張り出してみたりしました。結論は、たいしたことをやっていない、ということに気付いた次第。 私の場合、開発商品自体に興味が向いているので、表示通りに調理して食べる、というのが基本なのです。でも、写真を振り返ってみると、よくやるアレンジ、気に入ってちょっと一時期ハマっていたちょい足しメニューなどがありましたのでご紹介しましょう。   ★レンジカツは「かつ煮」が簡単に完成♪ コロッケでもGOOD! わが家では、卵と玉ねぎだけは常にある食材。同じく必ず冷凍庫にある食品が、生協のレンジ調理対応のカツ類です。それらを使って「かつ煮」を作ることがたまにあります。簡単でボリューミーです。 カツはレンジで簡単解凍。めんつゆを好みの濃さにしてタレに仕立てて玉ねぎを煮て、カツを入れて卵でとじれば出来上がりです。 おつまみにも、ご飯にのせてもOKです。 カツでなくてもコロッケでおいしい一皿になります。すこし煮すぎると、やわやわになってしまいますが、これもまたタレにしためんつゆが浸みておいしくなります。 もちろんカツをはじめフライ類は、パンにはさんでサンドイッチメニューにすることも定番ですし、おいしいハンバーグであれば、贅沢にはさむグルメバーガー風も簡単に楽しめます。 ★チキンライスでオムライス♪ ピラフのケチャップ炒めもOK チキンライスはそのまま食べるよりオムライスにしたり、オムレツをのっけたりして食べます。その方がたんぱく質量アップになって、さらにおいしく感じます。チキンライスをわざわざ買わなくても、えびピラフのケチャップ炒めを作ってもOK。おいしいオムライスができます。 ごはんものアレンジで一時期ハマっていたのは、「えびピラフ」の「海老チリ」かけです。コンビニで両方の一人前サイズが入手できることに気づいたときに、事務所でのゴージャスな“エビエビランチ”を思いつきました。以前はよく食べましたねぇ~と思い出したら、また食べたくなってきました。 他には、“炒飯の中華丼の素かけめし”もおいしいです。しかし、ちょっと塩分過多を避けるためには、中華丼の具は2人でシェアする方が良いかもしれません。 簡単・スピーディであることが条件 かつてNHK「あさイチ!」に、冷凍食品マイスター、タケムラダイさんと出演した際、タケムラさんがアレンジメニュー「ピーマンの“詰めない”」を紹介しました。それは冷凍餃子をフライパンに並べたら、その一つひとつに、ピーマンを縦半分にカットして種を除いたものをかぶせて焼くだけ、という超シンプルなアレンジ。しかもおいしい。 これは衝撃で、冷凍食品は工場が皆さまの代わりに手間をかけて作っている『手間抜き』食品なのだから、アレンジも同じように『手間抜き』コンセプトでいいんじゃないか、と感心した次第。アレンジにたくさん時間がかかってしまっては、本末転倒になってしまいますね。 調理冷凍食品はある程度味が出来上がっているものなので、足す食材はなるべくシンプルなのが良いのです。シンプル・イズ・ベスト!皆さまにも、お気に入りアレンジをぜひ見つけてほしいと思います。   日本冷凍食品協会Web アレンジレシピ https://online.reishokukyo.or.jp/recipe/  

  • 2024年9月9日

冷凍めん50周年 注目トレンドは「ラーメン」「焼そば」

年間生産食数20億食を超える「冷凍めん」(一般社団法人日本冷凍めん協会調べ:2023年)。20億食のうち11億食超が「うどん」です。そして次に3億5千万食の「中華めん」、2億食の「パスタ」と続きます。家庭用の売場だけを見ていると、あれっ?パスタの方が多いのでは、と不思議な感じがするかもしれませんが、業務用も含めた全体の数値は、ずっと「中華めん」が「パスタ」を上回っています。 しかも「中華めん」は、2022年、2023年と業務用の需要が伸びて好調です。さらに、数量は低めで6千万食超レベルながら「焼きそば」が上昇傾向にありますが、これは、中華系の「あんかけ焼そば」の人気を反映しているものとして注目できます。   カトキチさぬきうどん50周年・キンレイも50周年 さて、冷凍食品の中でも存在感を増している冷凍めん。その歴史はちょうど50年です。テーブルマークは2024年に迎えた冷凍うどん発売50周年にあたって、さまざまなプロモーションを展開しています。また、商品名には入れないものの、玉うどん製品に印刷していた「カトキチ」ブランドでしたが、今回、“テーブルマークの「カトキチさぬきうどん」”として刷新しました。商品自体も自慢のコシに加えてもちもち食感のアップなど、よりおいしくリニューアルしています。 「うどんは冷凍がおいしい」、「おいしい冷凍うどんはカトキチ」と一時代を築いたブランドの価値。それを生かして、さらに、うどんだけではない『冷凍麺のテーブルマーク』を目指していく戦略とのこと。 しみじみと感動が押し寄せてきます。「冷凍=おいしい」を真っ先に知らしめてくれたのが、カトキチの冷凍うどんでした。そのブランドが50年の年に“復活”します。 実は、鍋焼うどんのキンレイも今年12月で設立50周年を迎えます。独自の『二段凍結三層構造』を開発するのは設立の翌年、1975年になりますが、その後コンビニでアルミ鍋入り商品が定番化、さらに2010年からは、スーパー向けの『お水がいらない』シリーズを発売し、これがブレイクしました。同シリーズは先般、累計2億食出荷を達成しています。 冷凍めんはまさに「国民食」だなあと節目の年に感じています。海外に存在しない一大ジャンルなのです。出荷額では昨年、1,332億3千万円(日本冷凍めん協会調べ)でした。 生産食数推移のグラフを見ると、「うどん」は2020年がピークです。コロナ渦中にストックできる便利な主食系食品として特需があったことがわかりますが、まだまだ間口が広がるポテンシャルがあるのだと感じさせる急伸でした。ダントツ人気の素材めんに加えて、具付のうどんでヒット商品が生まれたら、さらに伸びしろあり、でしょう。   「五目あんかけ焼そば」が「横浜あんかけラーメン」を抜く! 先日、マルハニチロを取材して、衝撃のトップ逆転劇の話を聞きました。同社の家庭用冷凍食品売上NO.1商品が、「新中華街 横浜あんかけラーメン」から「同 五目あんかけ焼そば」に代わった(2023年度)のです。確かに同社では需要増に対応して、焼そば生産を2工場体制にして強化してきました。さらに昨年秋には、同社独壇場だった『あんかけ焼そば』マーケットに、ニチレイフーズが「香ばし麺の五目あんかけ焼そば」で参入してきました。そんな環境下で、さらに売上を伸ばしてきたわけです。 つまり独走よりもライバルがいた方が、より良い成績になる、というセオリー。 これは、「味の素」ブランド一強から「大阪王将」が参入したことによって過去10年、冷凍餃子マーケットが盛り上がってきたという現象と同じことが起こったのだと推察できます。 「焼きそば」ジャンルは、業務用も含めるとソース焼そば系も強いのですが、中華系焼そばの人気で、さらに伸びていきそうです。   時空間を飛び越えて自宅で楽しめる冷凍ラーメンのメリット 家庭用の冷凍ラーメンは、コロナ禍中に専門店系の商品が注目を集めたこと、冷凍自販機での販売が話題になったことをきっかけに世間の注目を集めました。その当時に比べると少し落ち着いた感もありますが、「冷凍」によって自宅でおいしいラーメンが食べられる、と皆さまにお知らせできた効果は大きかったと思います。 コロナ前から専門店の味わいのネット販売で実績を挙げていた「宅麺.com」(グルメエッスク㈱:旧グルメイノベーション㈱)は、今年が14周年。累計販売食数は約380万食とのこと。地方の有名店のラーメンが自宅で食べられる、という冷凍ラーメンのメリットをいち早く伝えた企業といえますが、宅配の領域を超えて、実店舗での取り組みが注目を集めています。 7月にオープンしたイオンリテールの「@FROZEN新瑞橋店」(名古屋)です。なんとロボットラーメンソムリエのペッパー君が売場に立ち、お客様の顔を見て「宅麺.com」のオススメラーメンを教えてくれます。 ラーメン通販サイトでは、イートアンドホールディングスでも、コロナ禍中から「ラーメンJourney」を事業展開して、伝説の名店、支那そばや本店の「至福のかけそば(醤油)」はじめヒット商品を生み出していますね。一度は行ってみたい店、味わってみたいあの一杯を冷凍食品なら自宅にいて実現できるのです。   大手メーカーも進化形 デュアル調理、天一、二郎インスパイア系も 大手メーカーのラーメン商品もこの秋は、注目の商品が目白押しです。専門店商品の宅配よりリーズナブルなプライスで本格的な味わいを提供して強みを発揮しています。 5月発売のキンレイ「お水がいらない 天下一品」は、天一こってりスープを再現した冷凍めんとして早くも話題になっています。お鍋にポンと入れて温めるだけが特徴の『お水がいらない』シリーズですが、同商品は麺がほぐれてからグツグツ30秒煮込むことでお店の味を再現します。 監修商品、具材たっぷりをコンセプトにしたテーブルマークの『まるぐラーメン』シリーズ新商品は、「燈郎監修 まるぐ 濃厚豚骨醤油ラーメン」です。初の二郎インスパイア系ラーメンの登場が話題です。二郎系といえば、朝のテレビで人気のアニメ「ちいかわ」に登場する「郎」ラーメン。汗をかいてラーメンをすする主人公たちを見ると、無性にこってりにんにくの効いたラーメンが食べたくなりますね。そんなニーズに応えてくれそうです。 驚きの新商品は、食べる時に汁なし・汁ありを選んで調理できるという『デュアル調理』の新商品、ニチレイフーズの「本当に旨い担々麺」です。容器付でレンジでの簡単調理です。冬は汁あり、夏は汁なしの商品を買う、というイメージが覆る新商品です。 焼きそばにも新メニューです。ニッスイの「わが家の麺自慢 かた焼きそば 五目あんかけ」は、同社のロングラン商品「長崎風皿うどん」の姉妹品的位置づけ。皿うどんは、パリパリの揚げ麺(常温保管可)ですが、新商品は、サクサク食感の揚げた太麺(同)です。これが香ばしくて食感が楽しくて、びっくりしました。人気商品の達人は、「あん」だけ冷凍庫にしまい、かさばる揚げ麺は常温保管するそうです。半分冷凍食品のおもしろい商品です。 日清食品冷凍は、この秋『日清本麺』を刷新して、基本フレーバー4種を揃え、シンプルで少しリーズナブルなシリーズに転換しました。定番フレーバー、鶏がら醤油、濃厚味噌、ホタテだし うま塩、豚骨醤油の4つから気分で選べるという提案です。   各社の開発魂が可能性を広げる 冷凍食品の中で存在感をますます増してきた冷凍めん。その中でも中華系に絞って見てきましたが、書いているだけでお腹が鳴ってきます。出来立てのラーメンを思い浮かべるからですね。香り立つその一瞬は、まさに至福。その「本物の味」を体験できるのが冷凍ラーメンのメリットではないでしょうか。 上述の『デュアル調理』の例に限らず、冷凍めんの可能性はまだまだ広がりそうです。それはメーカーの開発魂によって開拓されていくのです。

  • 2024年7月17日

プラントベースの進化形から日本の食の可能性を考えたニューヨーク

さらに円安、160円台!そんなニュースを聞いて「あぁ頑張れ祖国」と心でつぶやいた旅先。アメリカ視察団に先月末参加(山本が事務局長を務めるピザ協議会企画ツアー)しました。テレビではバイデン×トランプ討論会。まぁこれはどうなることやらと置いておき、気になる食の未来を探るべく、ニューヨークで開かれていたFANCY FOOD SHOW2024(第68回)会場を見て回ったのでした。 スーパーを視察しては、ピザ、冷凍食品、プラントベースの加工品などを買い求めて、キッチン付ホテルで試食。改めて日本の食品メーカーの底力、つまり、どんな食品を買い求めてもそこそこ美味しいし見栄えも良い、という実力を感じた次第です。 事実、JETRO・農水省による日本パビリオンは、ニコニコと試食する人々で賑わっていました。そして街では、ラーメン店に長蛇の列。日本居酒屋は、仕事帰りの現地住民で溢れていました。   ■会場の一角に存在感、プラントベースパビリオン 視察の目的の一つであったFANCY FOOD SHOWは、冬はサンフランシスコ、夏はニューヨークで開催されている”こだわり”商品を一堂に集める北米最大規模の展示商談会です。出展企業は今回、海外56カ国の出展も含めて2,523社、3日間で約2万9.000人のバイヤーが来場しました。 会場は2層で、上層は主に各国パビリオン、チーズ、菓子・スナックなどアメリカの巨大産業を象徴する展示、下層は米国内各州のパビリオンとビバレッジ・パビリオンに加えて、プラントベースフードのパビリオンが設置されていました。昨年視察したドイツのAnuga展でも、プラントベースフードは大きなトレンドであると同時に、たんぱく質の新供給源としてコオロギ(Crickets)への注目度の高さを目の当たりにしました。日本では、企業の熱量が若干下がったかと噂されているプラントベースフードや代替肉ですが、将来を見据えれば避けて通れない大トレンドであると実感しました。   ■美味しいプラントベースも誕生 FANCY FOOD SHOW会場での試食、さらに、スーパーで買い求めたプラントベースフードをいくつかと食べてみると、コロナ禍前に食べた時とは少し違って「これはいける、美味しいね」と思う商品もあったことが驚きでした。かつては、原料の大豆たんぱくの風味をマスキングして、かつ肉料理っぽさを出すために香辛料をたっぷり使っているイメージがありましたが、研究、改良は進んでいるようです。 とはいえ大半のものは、美味しさより理念が重要、と考える人々を対象に作られているんだなと思わせる製品。日本企業がプラントベースフードに着目してから数年で、驚くほど精巧な形状と味わいの製品を作り上げていることを思うと、わが国独特の飽くなきサービス精神をもっての食品開発魂は、きっと米国マーケットでも受け入れられるはず、と確信した次第です。   ■アメリカ市場を狙う日本企業 ラーメンが欧米で大人気。しかしまだまだ、現在の10倍は広がっていくだろうという話をアメリカや欧州に自社拠点を持って製品を送り出している西山製麺から聞いたばかりでのアメリカ訪問。街を歩いていると、自然とラーメン店に目がいったのですが、噂通り、昼間は入店待ちの行列で、夜も人足が絶えないという繁盛ぶりでした。 展示会場の日本パビリオンでは、38社が出展して、抹茶、ゆず、味噌、ごまドレなど人気のカテゴリーをはじめ、バイヤーが興味深く商品を見ていました。中でも『NIPPON KITCHEN』 のブランドで、魚料理や惣菜をはじめ日本の食文化をトータルに提案していくというPRをした亀井工業ホールディングス㈱(神奈川県茅ヶ崎市)のブースに注目しました。 同社は100数十年続く建築業をルーツに、「まち」づくりの観点から老健施設向け調理冷凍食品の提供サービス(グローバルキッチン)まで多角的な事業を手がけています。亀井信幸社長が自らブースに立ち、「日本食でアメリカ人を健康にする」と意気込みを語ってくれました。 確かに、高脂肪、糖度の高いアメリカンフードから和食に切替えるだけで、摂取カロリー、脂質も糖質も大幅にダウンしますから、アメリカには日本食全体をヘルシーフードと考える方が多くいると聞きます。 餃子を試食提供している企業もあり、話を聞くと、水産物輸出の拠点を生かして、「プラントベース餃子」の販売を開始したところ、さっそく高級スーパーに採用されたという㈱CHOKAI(東京都板橋区、佐藤雅弘代表取締役 写真㊤向かって右の方)でした。   ■K-FOODも人気集める さて、日本では韓国メニューの人気が続いているのですが、アメリカでもそんな傾向が垣間見られました。もしかして、全米ヒットチャートNo.1を獲得したBTSが貢献? FANCY FOOD SHOW会場で最も人気を集めて行列までできた商品も韓国フード。それは、らせん状にポテトをカットして串を刺して揚げたトルネードポテトでした。フライドポテトが発祥地の欧州から米国へ、さらにぐるっと世界を回り、クルクルした形になって韓国から里帰り、なのですね。ポテトの産地は中国で、細長いラセット種でした。 街の中でチーズがビヨーンと伸びるチーズドッグも発見。また、人気スーパー、TRADER JOE’Sでは、昨年から話題になっていると聞いた韓国産「冷凍キンパ」をゲットしました。韓国からのお米加工品はゼロ関税となっていて、価格優位性もあるようです。売場に品揃えしていないので、無いのですか?と聞いたところ、あるよ!とバックヤードから持ってきてくれました。調理方法は、袋の端をカットしてレンジ加熱、しばらくそのまま放置して温度が均一に馴染んできたら食べます。「無印良品」で人気のキンパと同様ですね。そこそこ美味しいかな、という感想でした。   ■居酒屋で冷凍食品のパワーを感じる ツアー中の夜、有志の食事会となり、どこに行くかという多数決で、和風居酒屋の圧倒的得票に驚きました。たまにはそんな経験もよいかとドアを開けたら、「いらっしゃいませ~」と言われて、新宿?新橋?と錯覚するほどのデジャブ感を味わいました。ということで、お店で見た居酒屋メニューの写真。 たこ焼に枝豆、ししゃも、煮魚、、、冷凍食品の“時空間超越パワー”をマンハッタンの真ん中で実感した、というのがオチでした。

  • 2024年6月20日

「節約」志向のいまこそ、冷凍パワーを使いこなそう!

6月に入って30℃以上の夏日も幾日か、「あぁ、また、あの猛暑の夏が迫っている、、、」と、ちょっと憂鬱ですねぇ。電気・ガスの補助金がなくなる6月。定額減税というありがたいお金をもらえるけれど、食品をはじめあらゆるものの価格はまだまだ上がりそう。財布のひもは締めざるをえず、「節約」の話題が盛り上がります。 今回は、冷凍食品とホームフリージングは、家計に優しい! がテーマです。   ■外食より「お弁当」「家飲み」で節約 コロナ禍中スーパーに誕生した「おつまみ」コーナー   食料自給率40%以下(カロリーベース)。つまり生活する上で必要な食料の60%以上を海外から買っているわが国ですので、昨今続く円安基調は大打撃。さらに、エネルギーコストも物流コストも人件費も上昇して、食品メーカーは自助努力だけではコストアップ分を吸収できません。 食品全般の例にもれず、冷凍食品も価格改定が数度にわたって行われています。価格が上げれば消費者は敏感で、少し買い物点数を減らしたりします。つまり、節約。 前年度の各社業績発表を聞くと、価格改定をしたことで冷凍食品売上は前年を上回っていますが、販売数量では減少している企業が多くあり、消費行動がすぐ生産者の業績に反映されています。ただ、冷凍食品のジャンルは非常に多岐にわたるので、「これは必需」「ぜったいコスパ良し」と受け止められているものは、価格改定後も販売数量の落ち込みが少なかったようです。 たとえば、メーカーによっては売上大幅アップという「お弁当」ジャンル。某メーカーによると、一昨年後半あたりからずっと需要が伸びているとのこと。お昼ご飯を食べる外食店も価格改定をしていますので、リモートワークが明けて通勤するようになったら、お弁当持参で節約する方々急増、ということですね。 外食チェーンの味も家庭で楽しめる(イオンリテール「@FROZEN」の専門店の味コーナー)   関連して外食行動にも変化が起きています。コロナ禍が明けて会食の習慣は戻ってきても、居酒屋業態の復調は遅れているとか。お酒の好きな方々は、コロナ禍中に気楽な「家飲み」を体験していて、そこに外食メニューの価格改定が重なって「外」志向が薄れているように感じます。 家飲み=乾き物のつまみ、というイメージは、冷凍食品の「おつまみ」ジャンルの商品開発が進んだことで覆りました。コスパ良く、簡単な調理で、家飲みを豊かにする役割を冷凍食品が担うようになってきました。 家族の外食も、コロナ禍中に経験したお取り寄せが定着して、“外食レベル”の冷凍食品に対する認知度が高まりました。フレンチコースも自宅で簡単にできるとなると、家族のお祝いごとにあたって、外食にしようか、それともお取り寄せ冷凍食品で外食以上にゴージャスにするか、と悩むシーンも出てきそうです。   ■冷凍食品こそ、コスパよし、さらにタイパよし さて、節約志向の昨今でも、冷凍食品の需要はさほど落ちていない、と言われています。「コスパ(費用対効果)」良し、「タイパ(時間対効果)」良しとのメリットを感じさせて、冷凍食品の人気は衰えないのです。 今春、日本冷凍食品協会がとりまとめて発表した「“冷凍食品の利用状況”実態調査」(2024年2月実施)によると、冷凍食品は他の加工食品と比較して「コスパ」良し、「タイパ」良し、と認識されています。 タイパ1位を冷凍食品とする人の方が多い、という結果に驚きました。 〔資料:日本冷凍食品協会 令和6年“冷凍食品の利用状況”実態調査より〕   さて、素材から調理するより冷凍食品の方がコスパ良し、という話は、かねてより業界内ではいわれていて、それをどう伝えていくかという悩みがありました。例えば『炒飯調理 手作りvs冷凍食品』という企画が記憶にあります。今から20年近く前、福島県で冷凍食品のPR活動をしていた団体が行ったものですが、コスパの判定の中で、調理にかける時間についても言及していました。 その頃は、家庭での調理において、手間暇(調理時間)をコスト化するという発想は乏しかったと思います。ところが、今や「タイパ」という言葉で表現され、そのタイパに優れた食品として冷凍食品が評価されていることに感慨を覚えます。   ■ごみの少なさというメリットも評価 上記の調査では、「出るごみの少なさ」についても聞いていますが、さまざまな「中食」の中で、冷凍食品がダントツ1位でした。 〔資料:日本冷凍食品協会 令和6年“冷凍食品の利用状況”実態調査より〕   主に容器・包装に関しての評価だとは思いますが、実際、冷凍食品の包装は環境問題への貢献を考えて、メーカー各社がプラスチック使用量を削減する傾向にあります。 容器・包装以外にも、冷凍食品は賞味期限が長く、食品ロス(ごみ)を出さないという点でのメリットがあります。ロスが出ないとうことは、使ったお金がむだにならない、という「節約」につながります。   ■ホームフリージングの「冷凍」も節約に貢献 賞味期限が長く、食品ロスを出さないというメリットは、ホームフリージングでも発揮されます。ぜひ、ホームフリージングの基本を知って、冷凍食品と共にうまく食生活に取り入れてほしいと思います。 ウェブサイト「エフエフプレス(https://frozenfoodpress.com)」に、冷凍王子こと、冷凍生活アドバイザーの西川剛史さんが、「冷凍の基本」を解説してくれていますので、引用しながらご紹介します。 ★冷凍の基本① 鮮度の良い状態で冷凍する! 良い状態のものを冷凍したら、良い状態で保存、悪いものを冷凍したら悪い状態のまま保存されます。当たり前のことが出来ていない人が多いと西川さんは指摘しています。 食材を買って、1~2日で使い切れないものは早めに冷凍しましょう。 ごはんやパンを冷凍する方も多いと思いますが、ごはんは炊いたその日に、パンも買ってきて翌朝に食べるものを除いて、残りは冷凍した方がしっとりしたおいしさをキープできます。 私のおすすめは、にんにく、しょうが。両者とも、うっかりするとカサカサにしてしまい、捨ててしまいがちなものですが、調理しやすいようにカットして、1回分ずつラップで包み、さらにジップ付袋に入れて冷凍するとパーフェクトです。生姜の場合、強力なおろし金をお持ちの方は、まるごと冷凍しておいて、凍っている状態ですりおろしても良いですよ。 ↑写真は、つい先日も使おうと思いながらカサカサにしてしまったにんにく。もったいないので使おうと思いますが、やっぱり買ったその日に残りを全部冷凍しておけばよかったと反省。   ★冷凍の基本② できるだけ空気と遮断する 冷凍したいものを、「できるだけ空気と遮断する」ことも重要なポイント。 冷凍庫の中は空気中の水分も凍るため、湿度が低い状態です。つまり、乾燥しやすい状態。そこに裸の食材を入れると食材から水分がどんどんと奪われてしまいます。 食材をラップで丁寧に包み込んだり、フリーザー用のジップ付保存袋に入れて、しっかりと空気を抜いてパックします。   ★冷凍の基本③ 薄く平らに冷凍する 「薄く平らに冷凍する」ことが最後の基本ポイントです。 写真はスライスしたキュウリを塩もみして、酢漬けにしたものです。できるだけ薄く平らにすると、表面積が増えて冷気が効率よく食材を冷やしてくれます。 私の場合は、さらに、庫内の一番下(ステンレスのついた場所がベスト)に入れて、カチカチに凍った保冷剤を上に載せます。はさんで冷凍、という感じですね。他の食品に温度変化の悪影響を与えにくい、というメリットもあります。 薄く冷凍しておくと、手で折ることができて、使いたい分だけ使えます。解凍も早くて便利です。また、平らだと収納しやすいですね。 そしてホームフリージングした食品は、日持ち数週間と心得て、おいしいうちに、早めに使い切ってください。   野菜のシナシナ、カサカサは悲しく、捨てる時は残念で、貴重な食料資源をむだにしたという罪悪感を覚えます。そしてお金がもったいない。 ぜひ、時間を止めてくれる「冷凍」の活用を心がけていきましょう。

  • 2024年5月23日

冷凍食品はコミュニケーションツールになる!!

訪日外国人観光客が驚き、ニコニコして写真を撮る渋谷のスクランブル交差点。渋谷駅前のハチ公像を背にして対角にある「SHIBUYA TSUTAYA」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱:CCC)が、4月25日に全館リニューアルオープンしました。その3階と4階で営業する「SHARE LOUNGE」(https://tsutaya.tsite.jp/store/lounge/)のフリーフードコーナーに、今回初めて冷凍食品が加わりました。   時間制で利用料金を支払えば、快適空間で仕事や面談ができて、フリードリンク・フリーフード。つまり、飲み放談、食べ放談。従来フリーフードは、ナッツバー、お菓子、パンなどでしたが、そこに冷凍食品が初登場したわけです。 “冷凍食品食べ放題”といえば、本コラムでも日本アクセスのイベント「チン!するレストラン」(2022年東京、2023年大阪、2024年名古屋)、大阪・心斎橋のTSUTAYA EBISUBASHI地下に昨年12月オープンした「レンチン食堂」(CCCのチャレンジ業態)をご紹介しました。 “冷凍食品がいろいろ食べられること”は、ここ数年高い関心事になってきたようです。そして、いよいよ都内で、CCCが常設店のサービスとして冷凍食品食べ放題をスタートしたのです。 実際に体験してみると、何を食べようかというワクワク感があって、レンジを置いているところはちょっとオシャレなアイランドキッチン風なので気分が上がります。冷凍食品売場のようなショーケースから、自由に出して食べられる、という非日常感が楽しいスポットです。 家なら冷凍食品を食べる時は1人か、もしくは家族と一緒ですね。シェアラウンジならば、1人で食べることもありますが、友人と一緒にあれこれ選んで「それ、どう?」「あ、美味しいね」といった会話が出てきそう。もしかすると、ショーケース前で悩んでいる人に、「あ、それってこの間食べたけど美味しかったですよ」などといった会話も生まれるかもしれません。   渋谷のスクランブル交差点を眺めながら冷凍食品を楽しめる場所 「SHIBUYA TSUTAYA」の2階はスターバックスの新コンセプト店、その上3階・4階がシェアラウンジです。そのどのフロアもスクランブル交差点に面して大きな窓があり、窓側を陣取れば、人が行き交う光景を楽しみながら飲食ができます。外国人観光客の人気スポットにもなりそうです。さらに外国人が日本の冷凍食品を初体験する場にもなるかもしれません。 実際、大阪の「レンチン食堂」では、外国人の利用も増えつつあるとのこと。日本のクールな食文化体験に、冷凍食品が仲間入りしています。   シェアラウンジの3階と4階はコンセプトが異なり、3階は日本の人気サブカルチャーコンテンツ(最近はかっこよく“IPコンテンツ”と言います)のひとつである、フィギアの展示が楽しめるラウンジです。等身大フィギアもあります。席は2人がけソファ席が中心で、好きな趣味を語りあう場、と言えます。 一方4階は、落ち着いた書斎の雰囲気で、モニターを備えた半個室もあります。PCを持ち込んだり勉強したりといった、1人の利用を前提にしたシェアオフィス用途を想定しています。 シェアラウンジで数時間も居ればお腹が空くので、スナック的なものばかりでなくしっかり食事を提供できるサービスが必要だとCCCではかねてよりその対応策を検討していたそうで、昨年大阪で開催された「チン!するレストラン」の視察が冷凍食品の採用に結びついたと聞きました。 シェアラウンジの料金設定にはアルコールコースもありますので、仕事が終わってちょっと1杯のおつまみにも冷凍食品は活躍しそうです。   美味しくて満足、そして手軽 楽しい空間を提供できる冷凍食品 コロナ禍で在宅ワークが盛んだった時、自宅で手軽に、美味しく食べられる食事として冷凍食品は注目されました。もちろん、以前より、すぐに美味しいごはんを提供できるという冷凍食品のメリットは、さまざまな新しいビジネスにつながってきました。 一例は、SL Creations(SLC、元シュガーレディ、冷凍食品宅配大手)が展開している「オフィス プレミアム フローズン」(OPF)事業です。それは、いわばオフィスグリコの冷凍食品版。“置き冷食”です。企業が福利厚生の一環としてOPFを契約、毎月一定料金を支払うと、冷凍庫、電子レンジ、紙皿やカトラリーが設置されて、SLCの販売員が商品等の補充をします。企業の補助により、従業員は、1つ100円、200円といった格安の料金でSLCブランドのこだわり冷凍食品を購入でき、ランチを食べたり、残業のための夕食をとったりすることできる、というサービスです。 社員食堂を運営できない中小規模のオフィスで、従業員の食事問題は深刻です。よい環境が整っていないということが転職理由にならないようにと、福利厚生担当者は頭を悩ませているとか。 冷凍食品メーカーでも、そんな職場の食事問題解決策に対応した新しい取り組みをしています。日清製粉ウェルナは、冷凍自販機を活用した販売もできる「トレイフォーク付き 冷凍レンジ用パスタ」を開発、販売しています。 また、今年5月には日清食品が、ネット通販で販売している『完全メシ』ブランドの冷凍食品「完全メシDeli」を職場に届ける事業、「完全メシスタンド」の本格展開に入りました。これも“置き冷食”的事業です。しかも33種類の栄養素が入っている、という商品コンセプトから、健康経営に取り組む企業に高く評価されているようです。   当たり前の家庭用に納まりきらない冷凍食品 家庭用冷凍食品は、“家庭で食べる”から家庭用なのですが、どうやらそんな当たり前のことが当たり前でなくなってきているようです。 例えばトレーに入ったパスタや丼メニュー、お弁当タイプのワンプレート商品などは、ストックしておく冷凍庫と電子レンジ、そして食べる場所さえあれば、職場でも学校でも、屋外でも手軽にお腹を満たせます。紙皿や割り箸などを備えておけば、トレー入りでなくてもOK。 家庭用冷凍食品は、家庭の枠からはみ出ていて、もはや「お店以外用」?になっているのかもしれません。

  • 2024年4月25日

冷凍食品食べ放題「チン!するレストラン」が起こす
イノベーション

  冷凍食品約320品とアイス約70品が並ぶショーケースを備えた108席のレストラン。電子レンジは30台。来店客は気になる冷凍食品を自由に冷凍庫から出して、自分でチン!して90分間食べ放題。レンジの待ち時間には、好きなアイスを食べる楽しみがあります。 スーパーの売場で、好きなものを何でもいくらでも食べて良いと言われているようなもので、夢のような楽しさはあたりまえ。それに加えて、「ライブキッチン」コーナーがあり、メーカーが日替わりでレンジ調理以外の冷凍食品や、アイスのアレンジメニュー試食品を提供します。入れ替え制で料金は1人2000円(小学生半額、同未満無料)。 食品総合卸NO.1の日本アクセスが主催する、冷凍食品プロモーションイベント「チン!するレストラン in NAGOYA」が2024年4月13日から、名古屋駅より徒歩圏内の会場「グローバルゲート」でスタートしました(同28日までの期間限定)。 オープニングイベントには、地元テレビ局はじめ8社が取材・報道するなど、大きな話題を呼んで連日大賑わいです。   業界挙げて盛り上げようというキャンペーンが発端 このイベントは当初、日本アクセス主催のわが国最大規模の冷凍食品キャンペーン「フローズンアワード」の第10回を記念して、2022年10月に東京・秋葉原で開催されました。大反響を得て、“キャンセル待ち8000人”と大きな話題を呼びました。翌年は、ぜひ大阪でもとの声が盛り上がり、6月に大阪・梅田で開催。そして今回、同社中部エリア担当の熱烈オファーもあって、名古屋で開催の運びとなりました。 そもそも、同イベントの元となった「フローズンアワード」は2013年、何か業界挙げての取組みによって、元気になれるキャンペーンをとスタートしました。消費者が投票する参加型キャンペーンで、掲げたタイトルは「10万人が選ぶフローズンアワード」。 フタを開けてみたら、10万人を大きく上回る投票があって、以降、毎年冷凍食品の話題を盛り上げてきました。昨年(第11回)のアワード投票数は、314万8354票。しかも前年比118%と大きく伸びました。 スタート時の2013年といえば、スーパーで週に1度「一律5割引」といった特売販促が横行していた時期。消費者庁は同年4月、量販店等の団体に対して「価格表示適正化」を要請しました。同年10月からスタートしたフローズンアワードキャンペーンが果たした大きな役割は、価格以外の価値を知ってほしい、という冷凍食品業界人の想いを具体的に表したことだったのです。 家庭用冷凍食品が今日のような脚光を浴びるきっかけとなった第一歩と言って良い、『炒飯戦争』が話題になったのは、それから2年後の2015年でした。     新たなフローズン体験、新商品やお値打ち商品揃える 「チン!するレストラン」も3回目開催となると、過去参加した方々からの声を反映した工夫が多数ありました。100を超える席数の確保やレンジ台数を増やし調理待ち時間を短縮すること。品揃えは、冷凍食品もアイスも、まだ見たことのない新商品や、名古屋初上陸商品を充実させ、ご当地もの『名古屋めし』コーナーも設けました。 そして、日本アクセスが新カテゴリーとしてマーケットでの定着を促している、「ワントレー」商品の充実した品揃えも見どころとしました。ワントレーについては、前回の本コラムでお伝えしたとおり、生鮮食材を揃えて調理した場合に比較して、多種類の食材を揃える必要がないコスパの良さ、そして1回のレンチンだけで済むタイパ(タイムパフォーマンス)の良さがメリットです。   今回の名古屋会場では、日本アクセスがコロナ禍中から取り扱いを開始した、『冷凍駅弁』も登場。「かにめし」「たこめし」などお取り寄せしたら単価1000円超えの商品も毎回補充されています。   アイスでは、人気の「ハーゲンダッツ」商品を全19種類揃えたことも大きな魅力として発信しました。     300円の壁、500円の壁を越える さて、今回の「チン!するレストラン」オープニングイベントで、冷凍食品ジャーナリスト山本純子トークライブのオファーをいただき、前回に引き続き、日本アクセスのフローズン食品MD部、松元雄一部長と2人で、春夏新商品の話題やイベントに対する期待などについて語り合いました。   「純子さん、チン!するレストランに対する期待は何ですか?」と松元部長に聞かれ、「新たな商品との出会いです。価格を見て手が出なかった商品を気軽に体験することによって、その価値を知ってもらえて、ファンになってもらえること」と答えました。200円台半ばあたりまでが値頃感と思われている冷凍食品ですが、その価値を知れば価格に対するイメージが変わり『300円の壁を乗り越える』ことができるのではないでしょうか。ボリュームパック品なら、300円台ではなく『500円の壁を乗り越える』ことにつながるのではないかと期待しています。 300円を超えると高い、というイメージは、どうやら半額セール横行時代の後遺症のようなのです。ランチのラーメンに900円、1000円出している方が、冷凍食品の350円のラーメンを「高い」と感じる不思議を常に感じています。冷凍食品売場は100円台の商品から1000円超え、1万円超えの商品があっても決しておかしくないのです。“安いもの”イメージの売場、という印象は、お気に入りの商品を見つけていただくことにより、変化していくのではないでしょうか。 半額セール収束となった2014年春(イトーヨーカドーが宣言)からすでに10年経過しています。   「冷凍食品ヤバ~い!」 イベントを全国で、その意義 名古屋会場でのメディア向け発表会で、来年以降のことに質問が及びました。松元部長からは、全国各地で開催したい、との想いが語られました。しかし、あくまでも希望として。つまり、イベント開催を目的とするのではなく、今回の事例なら、イベントを通じてフローズンの価値、可能性を多くの方々に知ってもらい、以降、名古屋周辺地区の冷凍食品需要が一段と盛り上がっていくことが実証されて初めて、イベント開催の意義が見えてくる、ということです。   名古屋地区では、初の試みとして、スーパーを通じて事前キャンペーンを開催しました。さらに、愛知大学の学生とコラボして、試食を通じて「商品紹介POP」を作成してもらい、各商品に貼り付けました。もちろん、日本アクセス社員による専門家目線のPOPも貼り付けています。また日本アクセスは、冷凍食品のメリット、価値についてZ世代と呼ばれる大学生に伝授、SNS拡散してもらうことに期待しました。 会場で会った学生の1人に「これが美味しいよ。冷凍食品だからこそ実現できた美味しさなんですよ」と紹介しました。さっそく試食した感想は「超美味しい。冷凍食品ヤバ~いです」でした。そう、まずは知っていただくこと。そこから冷凍食品の明るい未来が広がるような気がします。  

  • 2024年3月29日

究極の時短ごはん「ワンプレート」「トレー入り」が2024年も人気

「ワンプレート」、「オンザトレー」などと呼ばれる冷凍食品のジャンルは、近年注目の的ですね。コスパも重要だけれども、皆さまがもっと気になってきたのは「タイパ」。タイムパフォーマンスを重視する時代の流れを感じます。 電子レンジのボダンを押して、ワンクックで1つの食事が出来上がる。なんだか昭和初期のSF小説に登場しそうな夢の商品が、冷凍食品だからこそ実現できています。 ■懐かしい「TVディナー」の話題 ワンプレートという響きに、懐かしく思い出すのが、1980年代に聞いたアメリカの「TVディナー」です。1950年代にアメリカで急速に普及したテレビによって。家に居るときはテレビに釘付けという人が続出。食事を作る時間も削りたいという人々のために開発された、テレビを観ながらでもオーブンに入れることができて、出来上がったらそのままソファでテレビを観ながら食べられる、というコンセプトのカテゴリーです。 「TVディナー」は、ワンプレートに料理が数種、1食分が盛り付けてあります。電子レンジが普及すると、レンジ対応になっていきました。まさに現代の日本で人気の「ワンプレート」冷凍食品ですね。 もちろん、テレビではなく現代はスマホ、という違いはありそう。スマホを片手にレンジで解凍、そして動画を観ながら食べる、ということになります。 日本のメーカーでもいくつかチャレンジがありました。今のブームの前はというと、1997年発売のミツカン「タイムディッシュ」。シロップを添えたパンケーキにミニハンバーグと付け合わせ温野菜、フライドポテトとスクランブルエッグの「パンケーキアメリカンセット」が懐かしい。からだが青い魔法使いのようなキャラクターがPRしていました。しかし、期待通りにはいかず残念な結果に。 時代が早すぎたかと思います。 ■女性の手軽なランチからコンセプト明確なディナーまで 現在はどうかというと、ワンプレートジャンルで一歩先をリードしているのは、ニップンの『よくばり』シリーズです。和の『よくばり御膳』、洋の『よくばりプレート』、たっぷり満足の『よくばりメシ』と多彩で、プラントベースの2品も含まれる14品。「冷凍調理セットもの」市場でメーカーシェア№1のアイコン(インテージSCI2019年4月~2023年11月)をパッケージに印刷しています。 シリーズのトレーは全て環境に配慮した紙トレーを使用していることも、人気ポイントです。丼タイプの『いまどきごはん』シリーズ8品のラインナップもあります。 「五目ごはんと鶏と野菜の黒酢あん」が人気商品。 同社では、主に1人でランチを食べる女性層のニーズを獲得していると分析しています。 「ワンプレート」への注目度アップはコロナ禍中からで、ネット通販のお弁当型冷凍食品と無縁ではないかと思います。たんぱく質にこだわった「Muscle Deli(マッスルデリ)」、低糖質をうたう「nosh(ナッシュ)」、RIZAP(ライザップ)の「サポートミール」、一流シェフ監修「三ツ星ファーム」などなど、挙げだしたら切りがないほど多彩です。 配送料がかかりますので、少し高めにはなりますが、「ワンプレート」冷凍食品により、食材の買い物不要、調理不要、洗い物不要、献立に悩むこともないというメリットを訴えて顧客を獲得しています。さらに、筋肉ムキムキに、ダイエットしたい、美味しいものを家で食べたい、といったさまざまなニーズに応えていると言えます。 ■大手メーカーも続々「ワンプレート」参入 「オンザトレー」のコンセプトは、明治が長年取組んできたことでもあります。グラタン、ドリア類は、同社のメイン商品群ですが、元よりトレー入り。アルミ皿のオーブントースター調理でスタートしましたが、今はプラスチックトレーでレンジ調理が主流です。この調理ノウハウを活かした『銀座カリー』シリーズも定番の人気商品になりました。 明治のレトルトカレーブランド『銀座カリー』は今年30周年を迎えますが、同ブランドの冷凍食品「銀座カリードリア」も2011年に発売して今年で14年目です。この春は、「銀座カリーライス」「銀座ハヤシドリア」を新発売。 トレー入りのカレーライスの話題はこの春もう一つ。ニッスイ『まんぞくプレート』シリーズに新商品「ふっくらごはんとカツカレー」が登場しました。同シリーズは、2022年秋からで、コシヒカリブレンドの白い釜炊きごはんとそれに合うおかずというコンセプトで若い男性層を狙いました。カツカレーはシリーズ6品目です。   2023年秋からは、ニチレイフーズも『三ツ星プレート』と名付けてワンプレートに参入しました。今年春の新商品は、「グリルチキントマトソース&カルボナーラ」、「厚切りベーコンのグラタン&オムライス」です。「冷やし中華」で注目された麺製品とバラエティ溢れる商品ラインナップを活かしたワンプレートの展開です。 この春、日清製粉ウェルナもトレー入りに本腰です。 『マ・マー THE PASTA 贅沢野菜』シリーズ6品は今春から、袋のまま調理できる新パッケージになりました。レンジアップしたら開封、紙トレーに盛り付けたパスタメニューがすぐ食べられます。外袋が調理器具の役割を果たしますので、トレーの上にプラスチックのシールは不要。チンする、開ける、という2ステップ調理で「タイパ」良しのシリーズになりました。 ■中華『かけメシ』登場、二段トレーを一気にレンチン もちろん、『大阪王将』ブランドのイートアンドフーズもトレンドに乗った新商品を発売しました。2024年春の新基軸アイテム、トレー入りの餡かけ炒飯2品です。 上に餡、下に炒飯の二段トレーを一度にチンして、上のアツアツ餡を下の炒飯にかけると出来上がり。餡がパラッとした炒飯にからんで出来立て感が味わえます。 「かけメシ えびあんかけ炒飯」は、旨味たっぷりのえびと卵白のふわふわの餡を、直火で炒めた香ばしい炒飯にかけます。「かけメシ 麻婆あんかけ炒飯」は、本格的な3種の醤とピリッと痺れる花椒の利いた麻婆豆腐をパラパラ炒飯にかけます。 先日、TBSラジオ「金曜ボイスログ」に出演した際、MCのシンガーソングライター、臼井ミトンさんが、「かけメシ えびあんかけ炒飯」を自分で調理して食べましたが(本番では音声のみ)、その美味しさにびっくりしていましたね。ふわふわ餡をかけるところも楽しかったようです。 昨年は、マルハニチロ独占だった「あんかけ焼そば」にニチレイフーズが参入して市場が盛り上がりましたが、続く「あんかけ炒飯」の登場で“中華トレー”への注目度アップは必至。 中間流通・日本アクセスもオリジナル開発商品で冷凍弁当に力を入れてきましたが、今年春は、からあげグランプリ最高金賞受賞店舗の唐揚げと海苔弁をワンプレートにセットした2品を自社の『Delcy』ブランドで発売しました。「からあげの鳥しん監修 唐揚げ海苔弁当」「揚匠しげ盛監修 タレ唐海苔弁当」の2品です。 まだまだ、「ワンプレート」ワールドは広がりそうです。 ■バラエティがあるからこそのジャンル これだけ「ワンプレート」「トレー入り」が注目されてくると、売場は一層賑やかになってきそうです。「1食完結型」とも言われるジャンルで、冷凍庫の中に常備しておけば、何だか安心できる、という商品でもあります。 お子様でもシルバー層の方でも、レンチン1回だけで食事ができる。1人暮らしの方の簡単・満足ミール。さまざまなメニューを提供できるのは、肉、魚、野菜など何でもある冷凍食品だからこそ、なんです。 新しい時代が来たことを感じています。

  • 2024年2月22日

「安心してください、安全ですよ」

「冷凍食品ジャーナリストです」と言うと、え?そんな職業アリ?という反応が返ってきます。しかし、先日あるオンラインメディアの方から、「〇〇ジャーナリストって増えているんですよ~」と聞きました。 確かに、何か1点に集中して、調べて知識を増やして世の中に発信したり、考察したりすれば、その領域のジャーナリストです。世の中のあらゆる物や事象のジャーナリストが無限に誕生してもおかしくない、のです。 私は、冷凍食品新聞社を2015年9月末に退社して独立。BtoBの業界専門紙から転じて、BtoCのネット媒体運営を目指し、翌日から活動を開始しました。何を血迷ったのか、という声も聞こえてきましたが、34年間冷凍食品業界の報道に携わり、業界の常識がなぜか正しく伝わらない、どうすれば良いのか、そうだ、私が伝えればいいんだ!と思いついたら止まりませんでした。 ウェブサイト「冷凍食品エフエフプレス」(略称エフエフプレス)を立ち上げて、おかげさまで、皆さまの目にとまるようになりました。2015年10月から8年半近くになりますが、掲載した記事は3233(2月17日時点)。平均すると1日当たり1記事以上を続けてきたことになります。   サイト上では、直近の読まれている記事ランキングと、記事トータルでたくさん読まれているランキングを掲載しているのですが、この上位に来る記事の内容が、コロナ禍以降様変わりしました。それは、冷凍食品の安全性に関する解説記事(専門家に依頼して書いていただいた冷凍食品安心・安全Q&Aコーナー掲載)が上位に来るようになったのです。 皆さまご承知のように、コロナ渦中に冷凍食品のユーザーは爆発的に増えました。そしてコロナ禍が過ぎ去っても冷凍食品を愛用する方が増えて、そんな方々が、冷凍食品ってどうなの?安全?大丈夫?と思っていらっしゃるということのようです。 「安心してください。冷凍食品は安全ですよ」 袋がパンパン!大丈夫? 原因のほとんどは体積が増えた空気 エフエフプレスの”月間人気記事(過去30日間ランキング)”を見ると(2月18日時点)、 次の通りです。 発表されたばかりの2024年春夏新商品の話題、注目を集めている冷凍食品食べ放題レストランの話題に混じって、「冷凍食品安心・安全Q&A」コーナー掲載の記事が上位に2つ入っています。同コーナーでは、『冷凍食品についての素朴な疑問シリーズ』と題して、よく質問を受けることを取り上げて解説しています。執筆いただいたのは長年大手企業で品質保証を担当されてきた鳥羽茂氏です。 直近の4位にランキングされている「Q フリーザーの中で冷凍食品の袋がパンパンに膨らんでいるのですが、中身は大丈夫なんですか? 」へのAは、「結論から言えば、買ってからきちんと冷凍庫で保管していたものなら捨てないで下さい。膨らんでいる原因のほとんどは、体積が増えた空気です。」 以降、詳しい説明が続きます。気になる方は、エフエフプレスをご覧ください。 https://frozenfoodpress.com/food-safety-checks3 袋内の空気膨張の原因をかなり詳しく解説いただき、メーカー各社はその解決策も打っているという内容で、私自身もなるほどとそれまでの知識を塗り替えることにつながった記事でした。 袋が膨らむと、中身が腐敗しているのでは?と考えがちですね。憶測で捨ててしまってはもったいない。本解説が皆さまの安心と食品ロス削減につながっていることを嬉しく思います。 どうして-18℃以下? 法律より厳しい業界自主規格です 冷凍食品には、「保存方法:-18℃以下で保存してください」と書いてありますので、それはなぜ?という記事が第5位。冷凍食品自体に興味を持っていただく方が多くなっているようですね。これも嬉しいことです。 食品衛生法で定めている冷凍食品の保存温度は、「-15℃以下」です。これは微生物が繁殖できない(つまり腐らない)温度帯として規定されています。業界ではさらに厳しい-18℃以下の温度管理を自主基準としていますが、これは、微生物の繁殖を抑え、かつ最初の品質を長く保つ(約1年間)手段であり、世界基準でもあります。 同記事ではその解説に加えて、家庭の冷凍庫での保管についても触れています。家庭の冷凍庫はほとんど、-18℃以下を保つ機能を備えていますが、開け閉めの度に温度変化が起こります。期限表示にかかわらず早めに使い切ることが、冷凍食品を美味しく食べるコツになります。 https://frozenfoodpress.com/food-safety-checks4 自然解凍OKは何が違うの? そのまま食べられる衛生規格基準をクリア コロナ禍中以降、「安心・安全Q&A」の記事は、3000を超える掲載記事の中でも上位になっていて、現状で1位~4位を占めています。 1位は、「Q  自然解凍で食べられる冷凍食品と「加熱してお召し上がり下さい」と表示された冷凍食品がありますが、どう違うのですか?」です。 冷凍食品の中で「自然解凍OK」の商品は増えていて、お弁当作りに非常に嬉しい機能を提供しています。自然解凍で食べられる冷凍食品には、「加熱調理の必要性:解凍してそのままお召し上がり下さい」などと書いてあります。これらは、加熱殺菌されていて、かつ、衛生レベルの高い環境で包装されていますので、自然解凍するだけで、安心して食べられます。 また、日本冷凍食品協会は、自然解凍可能とするお弁当用冷凍食品に対し、35℃9時間の保存にも耐えられる規格基準を満たすことを求めていますので、お腹を壊す心配もなく、安心して食べることができます。 他の商品はというと、「加熱してありません」+「加熱調理の必要性:加熱してお召し上がりください」との表示と、「加熱してあります」+「加熱調理の必要性:加熱してお召し上がりください」と記してあって、混乱しがちです。殺菌目的の加熱をしていない食品、生産段階で加熱工程はありますが調理用の加熱をしていない食品、と大雑把に分けられます。衛生状態の規格(菌数レベル)が異なる食品であるということです。 https://frozenfoodpress.com/food-safety-checks8 そして4位は、「中国産」冷凍食品に関する漠然とした不安に対して回答した記事です。この質問にもズバリ、中国は今や安全性の高い輸入相手国であることを統計数値が示している、と解説しています。 https://frozenfoodpress.com/food-safety-checks1 さて、ここまで書いてきて、「添加物が心配」という素朴な疑問については、上位になっていないことに気づきます。冷凍食品は保存料を使用せずに長期保存できる食品であることについて、かなり認知度が高まってきているのではないでしょうか。 でも念のため、書いておきますね。 「安心してください。冷凍食品は保存料を使用しなくて良い食品です」

  • 2024年1月26日

冷凍食品4つの条件が生み出す多彩なメリット

2024年1月、能登半島地震、羽田空港衝突事故と天災、人災で明けた正月です。被災地に早く安心できる生活が戻るようにと願う毎日。 私の新年最初の仕事は、自身のウェブサイト「エフエフプレス」で、一年の計を記すべくコラムを書くことですが、その筆が止まるほど動揺し、さらに自分が乗っていた飛行機が羽田空港に降りることができず、出発地点に引き返したこともあって、なんとか気持ちを整理してから1月3日に書き上げました。 そのテーマは、冷凍食品が生活者にもたらす価値、メリットを正しく伝えることに引き続き尽力していきたい、というものでした。 2023年末には、高島屋の冷凍配送クリスマスケーキが崩れた状態で多数配達された一件に関連して、複数メディアからコメントを求められました。私が強調したのは、その事故は、生産管理の甘さが引き起こしたものと推察できること、そして、ひとつの事故と冷凍食品そのものの価値は、全く次元の異なるものである、ということです。 コメントを求めてきた1メディアの論調は、「冷凍食品強化に冷や水」でした。確かに百貨店業界では人ごとではない事故であり、生産委託先の管理を一層強化して品質保証を徹底する動きが強化されたと思われます。 崩れたケーキの画像を見て、ほら冷凍だから、、、といった誤解、混同を生まないためにも、冷凍食品の特性と生活者にもたらすメリットをしっかり伝えて、理解していただけるよう努力をしていかなくてはならない、ということです。 本コラムでは前回、「冷凍食品とは思えな~い」コメント撲滅運動!を宣言しましたが、その運動を推進するためにも、まずは冷凍食品の4つの条件、それがもたらすメリットをしっかりと伝えたいと思います。   歌って覚えてほしい♪ 「冷凍食品のはなし」と題して毎月書いてきて、2年目の後半になっているのですが、振り返ってみると、冷凍食品の4つの条件をきちんとご紹介していませんでした。 業界では、冷凍食品には4つ条件があると定義していますが、ご存じでしょうか? なんと、業界人でも、質問すると即座にちゃんと答えられる人は少ないのです。「急速凍結?」くらいの答は返ってくるのですが、ベテランより研修を受けたばかりの新入社員がスラスラと回答したりします。 もう20年近く前になるのですが、これではいけない、業界人から徹底しなくてはと、冷凍食品の4つの条件を盛り込んだ歌を私は作りました。歌といっても替え歌なのですが、本稿ではその替え歌にのってご紹介したいと思います。 元歌は、ちあきなおみ「四つの約束」です(60歳以下の人、分かるかなぁ~) 『冷凍食品四つの約束』 ♪たとえば私が冷凍食品食べるなら~4つの約束守って、守ってほしいの~ ♪ひとつ、「前処理」してよね 一つめの条件、それは「前処理」です。 前処理とは、洗って、切って、調理して(素材の場合はブランチング=下茹でなど)、可食部だけになっていること。つまり、魚をまるごと凍結した場合などは冷凍魚であって冷凍食品ではありません。 この前処理をすることのメリットは、解凍・加熱ですぐ食べられること、生ゴミが出ないことです。また、台所や厨房でやる下準備や調理を生産者が代って行うことで、お家で、またフードサービスの調理現場で「手間抜き」のメリットが生まれます。 ♪ふたつ、「急速凍結」 二つめの条件は、「急速凍結」です。 これはご存じの方が多いと思います。簡単に言えば、家庭用の冷凍庫で凍らせるような場合は「緩慢凍結」、冷凍食品の生産現場にある急速凍結機で凍らせるのが「急速凍結」です。凍らせる速度が遅いか早いかで品質に差が出ます。 ▲日本冷凍食品協会ウェブサイトより 緩慢凍結の場合は食品の中にできる氷の結晶が大きくなって、食品の組織を破壊してしまいます。これにより解凍した時に「ドリップ」と呼ばれる食品内の水分が流れ出てしまう現象が起こります。急速凍結の場合は氷の結晶は小さくなり、食品の組織を壊しにくくします。つまり、解凍した時に元の状態に戻りやすくなるのです。 組織が壊れにくいということは、食感や味、栄養素をそのまま保つこと、でもあります。 では、どれくらい早ければ良いかというと、最大氷結晶生成温度帯(凍りはじめから食品の水分の80%が氷になる温度帯)を30分以内に通過するのが目安です。家庭用の冷凍庫の場合はその10倍時間がかかります(5~6時間くらい)。ちなみに凍り始める温度は食品によって微妙に異なりますが、「最大氷結晶生成温度帯」の目安は、-1℃~-5℃です。そこからさらに-20℃くらいになって凍結完了となります。 ♪みっつ、しっかり「パック(包装)」して 三つめの条件は、「適切な包装」です。食品がむきだし状態ではなく、衛生的に包装されていること。また、型崩れしないようにするのも包装の役割です。 包装には、使う人に情報を伝える、という機能もあります。つまり、商品名、取り扱い方法、調理の仕方、法律で定められている項目(原材料や製造者、販売者等)などなど。きちんと読んで、おいしく解凍・調理をしたいですね。 ♪よっつ、「-18℃」♪(ここはコブシをきかせて歌いましょう) 四つめの条件は、「品温を-18℃以下で保管」していることです。 製造後の貯蔵、輸送、配送、販売まで、すべて一貫して-18℃以下で管理するのが冷凍食品です。一貫した低温管理をコールドチェーンと言います。チェーンがぴんとはった状態を想像してください。チェーンのどこか一つでも外れてまったら、つまり温度が上がってしまったら、ぴんとはったチェーンは落ちてしまいます。 もちろん利用する人も、購入してから持ち帰り、ストックしている状態までコールドチェーンを意識して扱うこと、適切な解凍・調理をすることで、冷凍食品は100%のパフォーマンスを発揮します。 -18℃以下を常に保って保管すれば、初期とほぼ同等の品質を約1年間保持できることが保存実験で分かっています。賞味期限が長いということは、ロスが出にくい、SDGsに貢献できる食品なのです。 ▲日本冷凍食品協会ウェブサイトより さらに、-18℃以下の温度帯では、微生物は活動できない。つまり菌が繁殖できないということは腐らない。腐らないものには保存料は必要ありません。冷凍食品は、保存料を使わなくて良い食品なのです。 ♪四つの約束守って、守ってくれたなら~冷凍食品おいしい~恋をしちゃうわ~♪ いまどきの歌にも 約20年前に作った「冷凍食品四つの約束」。カラオケで歌えば冷食協役員から「認定証!」と認められていたのですが、時は移り元歌を知っている方々の比率も低下してまいりました。そこで、元歌を映画「FROZEN(アナ雪)」から、「ありのままFROZEN」にしたところ、かなり浸透力がありました。 ♪ありのままのメニュー凍らせるのよ、ありのままでおいしくなるの ♪何も加えない ただ凍らせただけ ♪少しもまずくないわ そして、未完成の新曲は「手抜きじゃないのよ冷食」なのです。これも平成生まれは知らない元歌かなぁ。

  • 2023年12月21日

ついに常設“冷凍食品レストラン”がオープン

早いもので12月。1年あっという間だなんて言うようになると、年を取った証拠。日々ときめくことが少ないから時間が早く過ぎるのだそうです。そんな理由を「チコちゃん」に聞いてから、ボーッとしてないでいろいろなことにチャレンジしなきゃと思い、しかし思っただけで、やはりタラタラと過ごしております。 編集より、この1年を振り返った一文をとの依頼です。今年も冷凍食品について、いろいろとございました。 春に発表された統計では過去最高の冷凍食品消費量(2022年、日本冷凍食品協会調べ)となりました。冷凍めんの生産食数も再び20億食超(2022年、日本冷凍めん協会調べ)と勢いが良いです。2022年はまだコロナ禍中、業務用マーケットが活気のない中での伸長は、家庭用の需要増によって支えられました。 値上げにより数量が落ち込む傾向も見られますが、総じて今年も順調と言えます。さらに業務用市場も回復してきたのが2023年後半です。 また、本コラムでも書きましたが、イオンの「@FROZEN」をはじめ、冷凍食品専門店が多店化表明した年でした。通常の冷凍食品売場では収まり切らないほど、冷凍食品の世界は幅広く、豊かであるという証拠を示したと年と言えるでしょう。 冷凍食品とアイスクリームの食べ放題店「レンチン食堂」がオープン そして、ついに、12月1日、大阪で、冷凍食品とアイスクリームの食べ放題店「レンチン食堂」がオープンしました。 時間制で、約200品の冷凍食品、約40品のアイスを自由に食べられる。ソフトドリンクも飲み放題。アルコール飲み放題コースもあります。 さらに、お菓子をゲットできるクレーンゲームもやりたい放題というお店です。 名称は「レンチン食堂」。自分でレンジアップして、冷凍食品の便利さ、美味しさを体験することができる食堂です。場所は、阪神の「アレ」で飛び込み禁止の看板がある橋、道頓堀・戎橋のすぐ近く、「TSUTAYA EBISUBASHI」ビルの地下1階です。 運営するのは、TSUTAYA、蔦屋書店をはじめ国内外でクリエイティブな事業を展開するCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱)。同社は、日本アクセスが、「フローズンアワード」キャンペーンの10回目を記念して実施した期間限定イベント、「チン!するレストラン」(2022年東京、2023年大阪)にヒントを得て、常設の新業態へのチャレンジを決めました。プロジェクトの段階から日本アクセスが全面バックアップしてきました。 同店が狙う客層は、若者と訪日外国人観光客だそうです。レンジで美味しく仕上がる冷凍食品は、外国人にとって驚くべき日本の食文化なのです。オープン初日はガラガラだったという噂も聞きましたが、来店客による動画などSNSが拡散されれば、行列の絶えない人気店に育ちそうです。 ラーメン、うどん、パスタ、炒飯(同店では「焼き飯」表記)、中華惣菜、お好み焼、たこ焼、ハンバーグ、メンチ、コロッケ、和菓子などなど、日本の多様な「食」が楽しめます。外国人が訪れたい人気スポットと話題になって、日本発の冷凍食品が世界に羽ばたいていく力になる店かもしれません。 314万8354票を集めた「フローズンアワード」 さて、その日本アクセス主催の「フローズンアワード2023」は、今年も10月1日~11月30日まで開催され、エントリー47社、235商品のPR動画を観てキャンペーンに応募した数は、314万8354票、前年比118%でした。その得票数からグランプリに輝いたのは、冷凍食品部門が味の素冷凍食品「ギョーザ」で、4年連続受賞。アイスクリーム部門グランプリは、オハヨー乳業「昔なつかしアイスクリン」の初受賞でした。 恒例の「ゲスト特別賞」で、冷凍食品ジャーナリスト山本純子が選んだのは、来年発売50周年を迎える冷凍さぬきうどんをリスペクトして、テーブルマークの「丹念仕込み 本場さぬきうどん」でした。 冷凍めん年間生産量20億食のうち、11億食がうどん。多くは玉うどんですが、その中にもプレミアムなアイテム、上質の味わいがあることを広く知っていただければと思い、選びました。同シリーズで「丹念仕込み やわもちうどん」もあり、これも美味しい商品です。 消費者も業界も盛り上がる冷凍食品シーズンに 今回のフローズンアワードでは、動画優秀賞(商品への愛が溢れる動画)、裏PRアワード(社員全体で盛り上がった)の2賞が新設されました。多少手前味噌的な賞ですが、これも、一般消費者のみならず、業界人も相まって盛り上がる業界の大販促として重要なのだと思います。 生産工場で働く人から営業・販売、事務にいたるまで、自社の作る製品を愛し、PRしていこうと思う人たちがいてこそ、良い商品が次々と生まれ、育っていくんですね。「冷凍食品月間」である10月から11月まで、業界が盛り上がる冷凍食品シーズンをしみじみと嬉しく思いました。 後ろから失礼、という写真ですが、法被やジャンパーを着たり、帽子をかぶったり、特大パネルを持ち込んだりと表彰式も熱く盛り上がっていました。 「冷凍食品とは思えな~い」コメント撲滅運動 今月、TBSテレビ「ひるおび」からの依頼で、『本当に美味しかった冷凍食品』というタイトルで、商品紹介をしました。私と料理家、インフルエンサーなど3氏が、『美味しい冷凍食品』をそれぞれ紹介する、という企画です。紹介者はVTR出演のみ。 スタジオでは、おなじみのタレントによる試食が行われたのですが、「美味しい!冷凍食品とは思えな~い」という表現が複数回あって、がっかりでした。褒め言葉として使われるようなのですが、この言葉には“冷凍食品は美味しくない”という気持ちがこもっています。 「美味しいのものをそのまま冷凍食品にして適切に解凍すれば美味しいのはあたりまえ。むしろ、冷凍食品だから、その美味しさがそのまま時間を止めて空間を超越して楽しめます」 生出演ならすぐ訂正もできるのですが、そうもいかず、テレビの前で「またか」とつぶやくのみでした。残念。 冷凍食品の真の価値、本当の実力、メリットの認知に未だ道半ば。ということで、「冷凍食品とは思えな~い」コメント撲滅運動を宣言して、2023年の幕を閉じたいと思います。