羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け
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冷凍食品ジャーナリスト山本純子の『冷凍食品のはなし』

  • 2022年7月21日

冷凍食品買い方指南  カギは“コールド・チェーン”なのです

真夏、プールを出てアイスバーを頬張る至福の時、最後のひとくちがポトッと落ちて〈涙〉という経験、ソフトクリームがへなへなになって手がベトベトという経験、ありますか?私は、ボーっと考えごとをして、うかつに生きている子どもだったので、よくありました。 アイスはとけるまえに食べる!うっかりとけてしまったものを再凍結すると美味しくない!これ、鉄則ですね。スーパーでアイスを買おうというとき、お店に入って最初にカゴに入れる人はいないはず。特に夏は要注意です。買い物の最後にカゴに入れて、すぐレジにGO! 保冷剤かドライアイスを買うかもらうかして、まっすぐ家に帰り、すぐ冷凍庫にしまわなくてはいけません。 ところが、冷凍食品はというと、アイスほどには気遣っていただけていないような気がします。 ということで、今回は、「冷凍食品買い方指南」。 サブタイトルに掲げたように、そのカギは“コールド・チェーン”です。 お店では最後に買って保冷バッグ&保冷剤 『時間を止めて(急速凍結)』、『空間を超越する(マイナス18℃以下の保存・流通)』冷凍食品【前稿ご参照くださいませ】。マイナス18℃以下のコールド・チェーンをつなげて、売場に並べるまでは業界の仕事ですが、それ以降は、買い物をした皆様に託されています。 「チェーン(鎖)」をピンと張れば一直線ですが、どこかひとつの輪が切れたら、じゃらじゃらと落ちてしまいます。売場から皆様のご家庭の冷凍庫まで、ずーっとチェーンがピンと張れているかどうか、まずは意識することからスタートしましょう。 今やエコバッグの時代、冷凍食品を買う時は普通のエコバッグではなく、保冷バッグ持参を忘れずに。家を出るとき、冷凍庫にある保冷剤を入れておけばなお良いですね。保冷剤やドライアイスが有料の店もあるので、持参した方が節約になり、しかもエコフレンドリーです。 お店の中では、アイスと一緒に最後にカゴに入れて、すぐレジに向かいましょう。そして、保冷剤を持参してなければ、店でドライアイスや保冷剤を入手。そして、冷凍食品の上に置いて、しっかりチャックを閉めましょう。冷気は上から下に流れるのです。 注意したいのは、氷を使うのはNGということ。氷は冷凍庫から出してしまうとすぐ温度が上昇していきます。レジ横に置いてある氷は要冷蔵食品(10℃以下)の保冷用です。氷は、マイナス18℃以下の冷凍食品に接していると、時間の経過と共に冷凍食品の温度を上げてしまうことになるのです。 おうちでは 帰宅したら真っ先に、冷凍食品を冷凍庫にしまいましょう。そう、コールド・チェーンの最後のところです。 保管場所は、自分の使いやすいように、庫内を大きく4分割などして番地を決め、どこに何を納めるかをはっきり決めておくと良いですね。開け閉めの時間は短いほど良いですから。あれ。どこかなと探しているうちに庫内温度はどんどん上がってしまいます。 小分けにして使うものは、一度開封したら取り出し易い場所にまとめておくのも良い方法です。小分け使用の商品は、残りをジッパーバッグなどで保存するのも賢いやり方。乾燥しやすい麵類などは特におすすめです。 そして、『冷凍庫はみっちり保管』と記憶してください。空間が大きいと冷凍庫を開け閉めしたときにその空間に外気が入り込み、温度変化が起こりやすくなります、使った分を買い足していき、常にたくさん入った状態がベスト。 最後に注意いただきたいのは、冷凍=永遠ではない、ということです。 庫内が狭い家庭の冷凍庫は扉の開閉によって温度変化にさらされますので、家電メーカーでは、保存期間の目安は「3ヶ月」としています。もちろんそれを過ぎても腐らないのが冷凍の優れているところなんですが、印字されている賞味期限が何ヶ月先でも、買ってから2~3ヶ月以内を心がけて使い切るのが美味しく食べるコツなのです。 最近の冷凍食品はどれを食べても美味しくって、間違いなし。でも、せっかく美味しい冷凍食品を買っても、食卓できちんと100%の美味しさを再現しなくては、もったいない!!美味しく食べる第一歩は「買い方」。売場から家庭の冷凍庫までのコールド・チェーンがカギなのです。

  • 2022年6月16日

冷凍食品ジャーナリスト山本純子の
『冷凍食品のはなし』vol.1

1960年代のテレビアニメ、「スーパージェッター」をご存じでしょうか? 昭和のことはもはや故事、古典となってしまった令和の時代にこんな話題を振ると、なんか迷惑な年寄りになってしまいますが、『時の流れを超えてやってきた』少年ジェッタ-は、本当にかっこよかった。 ジェッターは、腕時計のようなもので「流星号応答せよ!」を呼びつけ(今のApple Watch風?)、どこから来るのやら空を飛んできて重量を無視して浮いているそやつに飛び乗り、マッハ15のスピードで飛んでいきます。少年少女の未来へのあこがれが詰まったアニメは、1965年1月7日にスタートし、最終回が1966年1月20日とのこと(何事もすぐ検索できる便利な未来になりました)。さて、その当時の家庭用冷凍食品はというと、1963年にスーパーの先駆け、ダイエー三宮店に初めて冷凍食品売場が登場し、ものすごいスピードで出店が続いたスーパーを通じて、人々の生活の中に入り始めた時期でした。 何が言いたいのかというと、時の流れを超える、未来から来たような『時空間超越』こそが冷凍食品の神髄、かっこよさ、ということです。   旬の食材も出来たての料理も、有名シェフのレシピによるごちそうも、急速凍結という手段で『時間を止める』。 そして-18℃以下という低温で保存して流通することで、約1年~2年、腐ることなく元の鮮度と品質を保ちながら、日本国内どこへでも、場合によっては海外へも、はたまた将来には宇宙にだって移動できる。行列ができるような有名店監修のラーメンも家庭にいながら楽しめる。つまり、『空間を超越できる』のが冷凍食品なのです。   『時空を止めて空間を超越する』というフレーズ、実は、わが国食品冷凍学の権威、鈴木徹先生(東京海洋大学特任教授)からお墨付きをいただいたもの。先生がかねてより唱えてこられた、「食品冷凍技術システム論」を私なりに解釈して表現したものです。 あるとき、「冷凍食品の最大のメリットとは?」と鈴木先生に聞かれ、「腐らないことです」と答えたところ、「そうだ!」と鈴木先生。「つまり、時間を止めて空間を超越する手段ってことですね」と私が言うと、「うまい表現だね」と褒めていただけた、という経緯です。 もちろん、時空間超越が可能になってから最後、冷凍庫から出して食卓に上るまでの扱いも重要です。システム論の『解凍・調理』のところを上手にこなすことが美味しさにつながります。“適切に解凍・調理をする”ことは、食べる皆様、厨房で調理する料理人の手に委ねられています。上手に解凍・調理して、素早く、美味しく、楽しく、快適な冷凍食品ライフを楽しんで頂きたいと思います。