羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け
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冷凍食品ジャーナリスト山本純子の『冷凍食品のはなし』

  • 2023年10月26日

急速凍結100周年! 冷凍食品が盛り上がったAnuga2023

世界最大規模の食品展、ドイツの大展示場・ケルンメッセ全ホールを使用して開催された「Anuga2023」(アヌーガ/2023年10月7日~11日)を視察してきました。 隔年開催の同展は、“10の展示会を一堂に集めた” と言われるほどの大規模なもので、1日半という限られた視察でしたが、世界の食品の「今」を感じることができました。その大きなテーマは、サステナブル:持続可能であること、に集約できるかもしれません。 そんな中、冷凍食品の展示会場は、「急速凍結100周年」を掲げて盛り上がっていました。つまり、1923年、米国で世界初の急速凍結機をクラレンス・バーズアイが開発、今年でちょうど100年ということです。 DTI(ドイツ冷凍食品協会)のブースでは、冷凍食品の売場に立つバーズアイその人が大きな写真で紹介され「冷凍食品100周年」をアピールしていました。曰く、 「冷凍食品は1923年から、革新的で、フレッシュで、サステナブルであり続けている」 です。 感動です。現代の食のテーマであるサステナブルを冷凍食品は100年前から実践してきたのです。 DTIブースで、「ドイツ語のものしかない」と言われて渡された資料を、AI活用で悪戦苦闘しながら「冷凍100年 クールなサクセスストーリー」を読み解くと、バーズアイはイヌイットの食生活にヒントを得て、1923年にプレート式フリーザーを開発。1924年にはダブルベルトフリーザで特許を取得しました。これにいち早く目を付けた、後のゼネラルフーズ社が2200万ドルで買収、1930年3月6日に、世界初の冷凍野菜が米国で発売されました。 欧米では、その3月6日を「冷凍食品の日」(1984年~米国で制定)としているそうです。 ドイツでは、1956年に初の業界団体が設立され、1966年には冷凍食品宅配サービス企業が創業、以降、宅配サービス業態の発展とスーパーの売場拡大で冷凍食品需要が伸びてきました。1960年代にクリームほうれん草、1970年代にグルメフィレなど大人気商品も誕生して、人々の生活に広く活用されるようになっていったとのことです。 確かに2021年実績で、国民1人あたりの冷凍食品消費量第1位はドイツ(39.3g)。前年1位のアメリカを抜き、イギリスを抑えて首位に立ちました。冷凍食品の消費で、今最も勢いのある国です。 40kgのケバブ 行列ができた試食、一方で代替食肉が目立つ Anuga2023、冷凍食品ホールを巡ると、野菜、フルーツ、肉・水産加工品、ピザ、ベーカリー・スイーツ、世界各国からの提案商品などが主な展示です。日本での冷凍食品関係展示会とは、ちょっと雰囲気が異なる様相。日本では目立つめん類、レンジ対応の調理食品などは少数派です。 各ブース、大量に試食宣伝を展開していましたが、ひときわ長い試食待ちの行列ができていたのは、ケバブでした。 ポーランドのメーカー。聞くと40kgの塊は、2日ほどかけて凍結させて解凍にも2日ほどかかるという製品で。特注60kg製品もあるそうです。牛、鶏、ターキーの塊。他社製品にはビーガンのケバブもありました。 肉製品の注目度の高さと同等に注目を集めていたのは、代替プロテイン。フローズンばかりでなく随所にさまざまな提案商品があり、視察団員(今回、食品業界女性経営者ネットワーク:WF-NETで視察団を組んで来訪)からは、「代替プロテインの試食が多かった」という感想が出るほど。 私は親交のあるオランダのミートパッカー、VION社を訪ねてみましたが、そこで紹介されたのも、グリーンピースを原料にした代替肉ステーキ。 かなりステーキの雰囲気をした見た目にびっくり。食べ心地も同様でした。難を言えば、ジューシーさに欠けていたことと、噛み応え感がいまひとつ。しかし、ハンバーガーとして食べるミートパティなどは、ほとんどそれと分からないくらいの味わいとなります。同社が目指すのは「世界で最もサステナブルな食肉企業」とのことでした。 代替たんぱくでは他に、cricket:クリケット(こおろぎ)を原料とするたんぱく食も注目のジャンルでした。生産性の高いたんぱく質として今後利用が進んでいくようです。 JETROブース近くの行列は、オタフクソース JETRO(日本貿易振興会)ブースはじめその周辺では、日本企業の提案が来場者の関心を集めていました。中でも試食に行列ができていたのは、オタフクソースのブースで、お好み焼、たこ焼を焼いてオタフクソースを付けての提案。その甘辛いソースはヨーロッパ、特にスペインで大人気だそうです。 ハウス食品が、カレールウと共にカツカレーパン「KATSU BUN」を提案、フライするだけの日本式ワンハンド・ライトミールとして人気を集めました。エスビー食品(S&B)もブース展開。インド系のカレーではなく、日本のカレーライス、カレーパンが世界から注目される日も間近かもしれません。 ラーメンは既に、日本の食文化として人気を集めています。デュッセルドルフに現地販売会社を作って10年という実績を持つ西山製麺(札幌市)は、同社発祥の札幌ラーメンをはじめ、さまざまなタイプのラーメンを試食紹介していました。 シンギは、今年5月に同社が立ち上げた「時空食堂」ブランドのおにぎりをPR。同社本業の食品容器販売で取引のある駅弁業者の、人気駅弁をモチーフにした冷凍おにぎりです。「時空食堂」は、私が日頃唱えている、冷凍食品は「時空間超越食品」に似ていて親しみを覚えます。 日本料理といえば寿司。稲畑ファインテックの欧州拠点は、ベトナムで製造する冷凍寿司を出展していました。サーモンの握り寿司と巻き寿司(裏巻き製品)です。寿司は今やポピュラーな食品となって、街中に、ものまね的な怪しい寿司が散見される中で、日系企業の提案する寿司は、味わいや品質も高く、注目されていました。 他に、納豆、味噌、米、醤油、日本酒、和菓子などなど多彩な提案でした。日清製粉ウェルナも社名変更後初出展。天ぷらの試食をしながら、粉製品グローバルブランドのWELNAを紹介していました。キユーピーは独自ブースで「日本NO.1のマヨネーズ」を紹介。手応えありとのこと。 Anuga展示会場を回っていると、まさに世界をぎゅっとまとめたようにさまざまな人が行き交います。日本の知り合いにばったり出会ったこともあり、日本からのバイヤーも「何か目新しいものを」と多く商談に訪れていたようです。 食の世界は万国共通。食べて、あれこれやりとりして「おいしい」と言うと、「そうだろう」とにっこり。食べることは、互いの理解を深め、つながることだと実感した視察でした。

  • 2023年9月21日

急伸中!冷凍ラーメン その可能性は世界のRAMENに♪

「冷凍ラーメン」が伸びています! 冷凍食品のラーメンに加えて、“冷凍”で販売されているラーメンも含めて「冷凍ラーメン」と呼ばれるようになったのは、過去数年のこと。日本の国民食といえる「ラーメン」の中で、“冷凍”が最新ジャンルのラーメンとして注目され、需要が伸びています。 コロナ渦中に注目を集めた「冷凍自販機」の販売商品として、いち早く注目を集めたのもラーメンでした。 大手メーカーによる2023年秋冬の家庭用冷凍食品新商品も、ラーメン(中華麺)が最も注目されるカテゴリーになりました。テーブルマークは新発売の「まるぐ」ラーメンで、DJ KOOさんを起用したキラキラ・ノリノリのTVCMをこの9月からスタート。「具たくさんでGOOO!」なラーメンと訴えています。 さて、冷凍食品ファンの皆さまなら、具だくさんラーメンといえば、マルハニチロの「新中華街 横浜あんかけラーメン」、ニッスイの「わが家の麺自慢 ちゃんぽん」のラーメン両雄を思い出しますよね。発売25年超え、35年超えの人気商品です。 なぜ?今、具だくさんなのでしょう。推測ですが、おそらく「冷凍ラーメン」と言われるようになってから、より多くの方々から注目される商品になり、アプローチのしかたも変化してきたのではないかと思うのです。さまざまな商品が市場に出回る中で、冷凍だから提供できる高品質に気づく方々が増えることになりそうです。 ということで、今回は「冷凍ラーメン」について考えてみましょう。 ■「国民食」のはずが「ラーメン店離れ」現象? ラーメンは世界各国で人気を得ている日本食、というのは今や常識になりました。ラーメンをズズッとすすれる欧米人は、「私はクールだ!」と自慢するのだとか。訪日観光客も本場日本のラーメンが目当てという人が多いようです。 さぞかしラーメン業界は盛り上がっていることだろうと思っていたら、先日開催された「ラーメン産業展」(9/13~14、東京ビッグサイト)の開催趣旨の一文にびっくり。曰く『顧客の「ラーメン店離れ」が続いている状況』で『ラーメン業界の活性化・需要創造・販路拡大』を開催理念にというのです。 昨年秋、駒沢公園で開かれた東京ラーメンフェスタのイベントに出向いた時は、その熱気、行列に驚いたものです。「ラーメン店離れ」なんて、そんなはずはないだろうと聞いてみたら、どうやらラーメン愛好家が再生産されていない様子。 確かに昭和生まれの我々は、二次会三次会まで飲み歩き、シメのラーメンでビールを1杯飲んでやっと帰るという不健康習慣を常としていました。そして人気ラーメン店の注文の仕方も必至に覚えましたね。しかし、今どきは酒もほどほど、全く飲まない学生も多くなったと聞きます。がんこ親父がいそうなラーメン店も敬遠されそう。 さらに、塩分、炭水化物大量摂取もマイナスポイント。そして、1杯のラーメン800円以上など、お店で食べるラーメンのコスパが低下。おまけにコロナ禍中においてラーメン店は大打撃を受け、昨今は更なる値上げと苦境が続いています。 もちろん、ラーメンは根強い人気メニューであることに変わりはないのですが、足を運び相応の満足感を得られるかという価値観において、ラーメン店はかなり厳しい環境下にあるようです。 ■冷凍食品が注目を集め、奥様のお昼ごはんから脱却 「冷凍ラーメン」に話を戻しましょう。今になってブームといわれているのですが、じゃあ過去はどうだったかというと、売場に「ちゃんぽん」と「横浜あんかけ」があればOKという程度の売れ行きでした。冷凍食品業界が長年ターゲットとしてきた主婦層に受ける、お昼ごはん用のこの2品があればよくて、バラエティは強く求められていなかったのですね。 もちろん、じわじわと変化は起きていました。キンレイが『お水がいらない』シリーズを発売したのは2010年。看板商品の鍋焼うどんが冬場需要に偏った商品であることから、周年売れるラーメンの開発も併行して進めて、それが人気を得てきました。「ラーメン横綱」「横浜家系ラーメン」「塩元帥塩ラーメン」とご当地“監修”タイプのラーメンを続々と出して、売場の景色が変わってきました。 冷凍ラーメンでは、日清食品冷凍の取組みが早かったのですが、注目を集めるようになったのは、“汁なし”ジャンルの中華めん「冷凍 日清中華 汁なし担々麺大盛り」のヒットからでした。同品は2013年に発売し、現在の別添花椒入りスパイスを付けるリニューアルをした2015年からブレイクした商品です。いわゆる「シビ辛」ブームを起こした商品。 同社では、汁なしタイプ中華めんメニューを充実して、さらに汁ありでは“生麺ゆでたて凍結製法”の開発による『日清本麺』の発売に至りました。そして、冷凍ラーメンのコーナー化「ラーメン横丁」戦略を進めています。 ■餃子の相棒、ラーメンの人気は必然 コロナ禍を契機に、老若男女あらゆる消費者が冷凍食品のユーザーに広がったことも、新たなカテゴリーへの注目度を高めていきました。 昨年は、満を持してニチレイフーズが冷凍めん「冷やし中華」を発売。氷の特性を応用した、電子レンジのワンクックで冷たい麺ができる技術に世間が驚いたのです。 もちろん、従来の2強も対抗して中華麺に注力しています。マルハニチロは、「あんかけ焼そば」の生産体制を強化して、さらに魚介系スープの有名店コラボラーメンの開発に力を入れています。   ニッスイも、汁無しタイプに続き、今秋は王道を攻めて「味噌ラーメン」を発売しました。 『大阪王将』ブランドの冷凍食品、イートアンドフーズも、餃子、炒飯、から揚げの次にラーメンを開発して、「街中華の定食」戦略を打っていますね。 今秋、ラーメンの具にぴったりと発売した「暴走背脂ニンニクぶた餃」も、おもしろい提案です。 そう、家庭用冷凍食品の一番人気アイテムが餃子なら、その相棒、ラーメンも人気カテゴリーになるのは必至なのです。 ■生産食数3割アップ! これからも注目カテゴリー 「ラーメン店離れ」の背景に、店舗に出向かなくとも美味しいラーメンが食べられる、という新しい価値観を「冷凍ラーメン」が提供していることがあるかもしれません。しかも、店舗で食べる半額以下というコスパにインパクトがあります。 「冷凍ラーメン」が伸びていると冒頭に書きましたが、大手メーカーの統計(日本冷凍めん協会調査)では、昨年の冷凍めん生産食数20億食のうち、3億5千万食がラーメン。その3億5千万食のうち市販用は1億6千万食です。比率は少ないのですが、前年に比較して3割アップしています。 インスタントラーメン(カップめん、袋めん、生タイプ)が日本国内60億食(59億9914万食:2022年度日本即席食品工業協会調べ)に迫っている数値であることから見ると、市販用冷凍ラーメンの1億6千万食は、まだまだ食シーンに大きく影響する数字ではないように思えます。しかし、現在の勢いで伸び続けると想定したらどうでしょう。2億食、3億食と存在感を示す存在に成長していきそうです。 「輸出」の可能性も無視できません。実際、「西山ラーメン」(西山製麺)は、札幌ラーメンを世界に広めるべく海外を視野に入れてきましたが、10年前にドイツに販売拠点を開設し、続いて中東、北米にと販路を広げています。同社ではハラル対応のラーメン(写真)も開発しています。 また、味の素は東洋水産(マルちゃん)と合弁で、米国に冷凍めん工場を持ち(2015年~)、日本式RAMENを販売しています。 日本のラーメンは世界のRAMENに。もちろん、「冷凍ラーメン」の可能性も限りなく広がっていくのです。

  • 2023年8月24日

日本に冷凍食品専門店が根付いていく(かもしれない)元年

「冷凍食品専門スーパー」が2022年はヒットしそう!と「日経トレンディ」誌が予測したのは、2021年11月のことでした。当時は会津若松に本社を構えるスーパー㈱リオン・ドール コーポレーションが、一部店舗を「みんなの業務用スーパー リンクス」に転換して、冷凍食品約1300品目を揃えた店として注目を集めていました。テレビはじめ一般メディアは、コロナ禍中の冷凍食品に対する注目度アップも相まって、驚きをもって情報発信していましたが、業界の中では、めずらしい新業態とも言えず、「冷凍食品専門店?はてな?」の気持ちが強かったと記憶しています。 業務用食品問屋のキャッシュ&キャリー店と何が違うのか。スーパーマーケットが店舗の業態転換をして業務用冷凍食品を揃えたから珍しいのか。むしろ、独自商品を開発して実績のある「業務スーパー」(神戸物産)、プロの店「肉のハナマサ」(ジャパンミート子会社)の方が、冷凍食品専門スーパーではないのか、等々私も思いを巡らせていました。 イオン「@FROZEN」本格展開~約2000品目の「イオンスタイルレイクタウン」 ところが、明けて2022年8月末、イオンリテールが新浦安駅前の店舗、「イオンスタイル新浦安MONA」の一部に、冷凍食品1500品目を揃えた「@FROZEN」をオープンしたことで、『冷凍食品専門店』という業態の可能性がうっすらと見えてきました。 そして、1年を待たず2023年7月、同社が「@FROZEN」の本格展開を宣言しました。 2号店は7月29日、「イオンスタイル横浜瀬谷」店内に、そして3号店は8月10日、埼玉県越谷市の「イオンスタイルレイクタウン」内の独立ショップとしてオープンしました。レイクタウンの店舗は、通常の売場も含めて約2000品目の品揃えです。年度内にあと3店(11月イオン与野店、イオンスタイル品川シーサイド、2024年2月イオンスタイル新百合ヶ丘)の出店が決まっています。 8月10日にはプレス内覧会と記者会見も開かれて、収益事業なのか?という質問に対し、「確実に早くCASHが出るビジネスとして手応え」「MONAには固定客がつき、商圏も広がりました」との回答でした。 1号店の実験展開を経て、レイクタウンの目玉としたのは、「専門店の本格メニュー」 「全国各地のフローズンスイーツ」 そしてオリジナルの専売商品として新発売した「ご褒美フルコース」24品(㈱コダマ製品)です。フルコースが5~6千円で揃えられる、というのがポイント。 中でもブレイクに期待する商品は、「厚切り牛タンとごろごろシチュー赤ワインソース」(450g、税抜価格1980円)。 もちろん、グループ企業イオンサヴールが展開するフランス発冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」のコーナー、至高品質の視点でセレクトした「Z’s  MENU」(SL Creations)、レストラン「俺の」シリーズ、韓国料理各種など、1号店での好評シリーズは継続強化。カレー専門店の「エリックサウス」、デパ地下惣菜ロックフィールドの冷凍食品ブランド「RFFF(ルフフフ)」、阪急デリカアイ「ワンディッシュデリ」、JALの機内食スタイル商品、スープ、ベーカリーなどが注目の商品。ますます何にしようかと目移りするような品揃えが充実しました。 他に、専門店レベルの冷凍ピザ各種や、プレミアムなパスタコーナー、1号店でも充実していた「餃子」「中華」のコーナーも。地域名店餃子と共に『大阪王将』ブランド商品多数、味の素「ギョーザ」も並んでいます。 日常使いから「ハレ」の日まで、冷凍食品の可能性は無限大 「@FROZEN」の売場は確かに、楽しい。既存スーパーの売場には無い「発見」や「驚き」があります。夕食の惣菜やお弁当のおかず、常備する冷凍野菜を選ぶ売場ではなく、プチ贅沢の気分や「ハレ」の日に食べたいメニューが揃っています。ちょっとデパ地下でのお買い物や、お出かけした帰りの「道の駅」に似ているかもしれません。 ふと思ったのは、冷凍食品専門店先進国のフランス「Picard」、イギリスの「Iceland」「Cook」とは、少しコンセプトがずれるのかなということ。 「Picard」は、ホームパーティも含めての”普段使い”の、素材が良く、便利で美味しい、からだに優しい冷凍食品がコンセプトです。「Iceland」はどちらかというとリーズナブル路線のフルライン。一方後発の「Cook」は、ちょっとリッチな方々のためのこだわり冷凍食品専門店です。いずれも、品揃えはほぼ全て、自社の商品開発部門がオリジナル開発した商品です。 もちろん、「@FROZEN」はイオンの店舗とくっついていますから、普段使いは通常のスーパーの売場で買い、お出かけ気分の商品は「@FROZEN」でということになるのです。では、「Picard」のように将来的に「@FROZEN」が1000店規模になるのかなと想像してみると、どうなのかなぁ~とまたまたいろいろ思いを巡らすのでありました。 ひょっとしたら、日常使いの冷凍食品もある、「ハレ」の日の冷凍食品もあるという売場は、本来スーパーの店舗が拡大していくのに呼応して作られていくべきだったのでは。なぜ、通常のスーパーの売場で「ハレ」の商品が育ってこなかったのかなぁと振り返ってしまいます。 とはいえ、過去のことを考えても時は戻りません。今年、2023年は、日本における冷凍食品専門店元年、と未来に振り返ることができればいいなぁと願うのであります。

  • 2023年7月20日

暑い夏を「冷凍食品」で乗り切ろう!

2023年夏の東京は、梅雨明け前からの猛暑続きでバテバテの方続出(私見です)、先日出演したFMラジオ番組では、「出かけたくない!」時に便利な、レンジ調理で楽しめる“老舗のあじわい”冷凍食品、そして、約3分レンジして半解凍のタレとまぜると冷え冷えの麺ができる、ニチレイフーズの「冷やし中華」(酢醤油だれ/ごまだれ)をご紹介しました。予想通り、感動の嵐!!でした。 暑いから家でごはん、というときに、間に合わせの料理ではなく、松屋銀座の「ギンザフローズングルメ」で買っておいた『銀ぶらグルメ』や『浅草グルメ』シリーズをチンして幸せ気分。そして、冷たい麺も台所で火を使い、汗を流して作らなくてもOKなんて、冷凍食品の世界はどんどん進化しています。 ▼ニチレイフーズ「冷やし中華 ごまだれ」の調理過程 ▼松屋銀座「浅草グルメ 鳥安 あひ鴨葛餡がけ 七味仕立て」 ■まずは、コールドチェーンをチェック 今回は、暑い夏を冷凍食品で乗り切ろう!という話題。では、どんな冷凍食品がオススメ?というその前に、まずは、重要なコールドチェーンのチェック!です。 お店から家までの持ち帰りは、ぜひアイスクリームを思い浮かべてくださいね。炎天下にアイスをそのまま15分も持って歩いたらとけてしまいます。-18℃以下で保管・流通する冷凍食品も同様なのです。しっかり保冷マイバッグに入れて、ドライアイスや保冷剤を利用しましょう。そして帰宅したら、すぐ冷凍庫に。 さて、ご家庭の冷凍・冷蔵庫。季節による温度切替え機能がありますが、ご存じでしょうか? 冬期と通常~夏、季節によって冷蔵庫のパワーをセットできます。「大」「小」の切替えが付いているかもしれません。それが「冬期」のままになっていませんか?真夏に向けて要チェックです。 そして冷凍庫の開け閉めは手早く! PiPiPiとアラートが鳴るまで開けていたら、庫内の温度が上がって食品にダメージを与えてしまいます。素早く開け閉めするには、どこに何が入っているのかしっかり把握しておきましょう。今のうちに、きちんと整理しておくのも一手ですね。 ▼詳しくはこちらの記事もご確認ください! ■夏の傾向:お弁当減少、ランチ需要アップ 家庭用の冷凍食品が、お弁当需要中心に品揃えされていた10年位前までは、夏休みシーズンになると売場の品揃えは少し変わり、アイスとの境界線が移動してくると共に、お子様向けランチに米飯類や麺類、ピザ・スナックなどが充実していました。近年は、冷凍食品の売場スペースが広がったことで、夏だからといって以前ほど大きな変化は感じないかもしれません。実際、麺類の新揃えは、近年注目されているラーメンも加わって、ますます充実しています。夕食向け惣菜、外食気分の品揃えも増えています。腐らないからムダが無い冷凍野菜の人気も続いています。 夏場は、ビールのお供のおつまみ系、爽快感を求めてピリ辛系の品揃えが加わるはず。ぜひチェックしてください。 夏向きの麺、米飯、ピザ・スナック類に加えて、今年の夏に注目したいのは、『ワンプレート』商品。『ワンプレート』とは、おかずの主菜と副菜がセットされた商品や、主食と主菜・副菜がセットされたお弁当スタイルの商品です。少し前までは、ブランドメーカーではニップンの独壇場とも言ってよいほどのジャンルでしたが、大手メーカーが次々と参入してきました。 この『ワンプレート』冷凍食品の市場規模は、5年で300%、つまり3倍になったと推計されています(2018年→2022年、インテージSCIデータからニチレイフーズが推計:7月12日会見より)。 往年の業界人は、ワンプレートと聞くと、アメリカで一時期ブームになった「TVディナー」を思い浮かべますが、時代は変わり、テレビに夢中なので間に合わせのレンチンディナーというかつてのイメージではありません。きちんと美味しく、使用具材もバラエティ豊か、そして栄養バランスも配慮されているという、至れり尽くせりのセットメニューが近頃の『ワンプレート』です。 『ワンプレート』以外にも、トレイ付きの具付き麺類、トレイ付きのごはん類など、ランチ需要をつかんでいる商品群があります。コンビニ各社も、パスタ、カレーライス、丼タイプ商品をはじめ、『ワンプレート』の商品開発に力が入っています。 『ワンプレート』は、在宅女性のランチ需要を中心に伸びてきましたが、今後、子どもたちが1人で家にいるときのごはん、というニーズ、お料理が苦手なシニア層のニーズもつかんでいくことでしょう。1人で家にいて火を使わず安全に調理して、栄養バランス良く食べて、後片付けも簡単、もちろん美味しいという満足度の高い商品が揃っています。 ■にんにく、しょうが、ホームフリージングで無駄なく 夏のスタミナ、といえばにんにく。先日もわが家では、“ニンニクマシマシ”の「大阪王将 羽根つきスタミナ肉餃子」を食べて、初期夏バテ防止を図りました。夏を元気に過ごすパワーチャージを期待して、スタミナ料理に大活躍のにんにく。でも、生のにんにくは、うっかりしているとシワシワ、カチカチに。そんな経験をしている方には、ホームフリージングをオススメします。 「よし、スタミナ料理だ、にんにく!」とひとかたまりや一袋買ってきたときには、その日から数日内に使う分以外は冷凍しましょう。にんにくは1片ずつ薄皮付きでラップしてジッパーバッグに入れても良いですし(凍結していても結構簡単に皮むき、スライスができます)、調理するときにもっと便利に使いたい、ということでしたら、スライス、みじん切り、おろしなど好みにあわせて一気にカット(手袋オススメ)、料理1回分をラップしたものをたくさん作り、さらにジッパー付きバッグに入れておきましょう。とても便利です。 例えばイタリアンなら、オリーブオイル・冷凍スライスにんにくをフライパンに入れて、加熱すれば、生にんにくと同等レベルで香りが立ってきます。 同じように、しょうがもひとかたまりを全部使い切れずに、水分が抜けてしまうなど様子が悪くなって捨ててしまった、という経験があると思います。これもフリージング! にんにく同様、細切り、千切り、みじん切りなどにして保存しておくと、ロス無く使えます。切って冷凍するのが面倒な場合は、そのままラップに包んでジッパー付きバッグに入れて冷凍します(実は山本流)。この場合、少し初期投資の強靱なおろし金を買っておきます。いざ使うときには、冷凍庫から取り出し、ラップの端をすこし開けてガリガリと必要量をたくましいおろし金ですりおろします。塊はそのまま、冷凍庫に戻します。これも便利ですよ。夏場の生姜焼き、そうめんの薬味に、冷凍うどんをレンチンして冷水で締めたメニューにと活躍します。 ■夏の「うどん」 コスパとタイパでますます盛り上がりそう 冷凍うどんのレンチン、冷水締めの話題に繋がりましたので、最後は冷凍玉うどんのアレンジメニューのはなし。 冷凍うどんはかつて、冬場に売れて夏場は需要激減という、いわば季節商品的な冷凍食品でしたが、2014年あたりからテーブルマークが「レンジで解凍OK」をPRして、夏場も売れる人気商品になりました。つまり、火をつかって茹でて、水で締めるという作業からの解放。冷凍うどんの個包装パッケージをレンジでチン(1食約4分)、水で締めればOK。あとは、夏野菜など好みの具と好みのタレ(ドレッシングでもOK)をかければ、涼をとれる麺料理の完成となります。 実は、冷凍玉うどん、昨年あたりから需要急伸しています。食品の価格がどんどんアップする中で、冷凍玉うどんは価格がアップしても1玉60円~80円くらい。手軽でコスパもタイパも良い主食として人気なのです。確かに、具を足して、めんつゆなど添えても、1食200円以内でしょうか。 日本冷凍めん協会のホームページが先日大幅リニューアルされて、アレンジメニューがますます充実、見やすくなっていますので、ぜひチェックしてみてください。 https://reitoumen.gr.jp/ ちなみに、夏うどんメニューの私のお気に入りは、納豆、冷凍おくら、冷凍とろろなど一気に乗せるネバネバうどん。希釈タイプのめんつゆをかけて、青い野菜がほしいなと思ったら、冷凍きざみねぎ。生鮮でも、きゅうりのさいの目切りとかカイワレなど簡単なものがオススメです。 ▼夏におすすめのネバネバうどん 夏に負けない!「ネバーギブアップ!」とおやぢギャグ的なノリで食べます。  

  • 2023年6月29日

「氷の朔日(ついたち)」に思う、冷たくて熱いロマン

6月1日は「氷の日」、古くは「氷の朔日(ついたち)」といって、日本人が氷とどうつきあってきたのかという興味深い歴史につながっています。 6月の梅雨に入ろうかという前に氷?ということではなく、この6月1日は旧暦で、つまり現代では7月。今年旧暦6月1日は、7月17日だそうです。確かに本州の梅雨明け時期で、強い夏の暑さを感じる頃。古の人も夏の日差しの中で、涼を得る氷に笑顔を浮かべていたことでしょう。 「冷力」は魅力的 今回、なぜ氷の話なのかというと、冷たい力、「冷力」を使う冷凍食品と氷はご縁が深いから。もちろん温度帯は違いますし、冷凍食品の歴史は100年とちょっとくらいですが、氷は機械で作る氷以前に、天然氷を利用した長い歴史があります。中国では有史以来、氷を生活に利用してきたといわれ、日本では日本書記の記述に氷室が発見されて仁徳天皇に氷が献上されたという下りがあるというので、古墳時代に遡ります。 冬の氷雪は極寒地のやっかいものですが、それを氷室に保管して夏に取り出せば、とても有益。山間部の生活の知恵は、天皇をはじめ高貴な方々の夏の楽しみのために蓄えられるものとなっていきました。氷の朔日は氷室を開けて氷を始めに取り出す日なのです。 「氷餅」を食べる日という記述もあり、正月のお餅を凍らせていたのか、今も昔も同じなのかと感心した記憶があるのですが、これは早とちりで、餅を乾燥させてカチカチにしたのが氷餅。冷たくはないですが、本物の氷とは縁のない庶民が、氷の気分でガリガリと噛んだり、あられにして食べたそうです。 清少納言が食べた元祖かき氷 ふわふわのかき氷が人気です。春にオープンした八重洲ミッドタウンに行ってみたら、コート姿でかき氷の店に並ぶ人がいて驚き、いちごみるくかき氷1800円という価格にも驚きました。 歴史に残るかき氷の記述は、清少納言の「枕草子」が有名です。「あてなるもの(優雅なもの)」のひとつとして、「けずりひにあまづらいれて あたらしきかなまりいれたる」。つまり、削り氷(けずりひ)は氷を小刀で削ったもの、つまり元祖かき氷。あまづら(甘葛)は今でいうシロップ。鋺(かなまり)は銀製の容器です。雅な平安宮中が想像できますね。 事業としての氷は、海外でも日本でも、自然を利用した天然氷の製氷からスタートしています。日本は開国した幕末期から米国の「ボストン氷」を輸入。日本での始祖は、「函館氷」(1869年、明治2年)に成功した実業家、中川嘉兵衛氏でした。 機械式の氷ができ、低温保存の冷蔵保管、そして冷凍へ 機械式の氷が日本に登場したのは、1879年、横浜・山手で、英国人による機械製氷会社が誕生しています。同工場は競売や売却を繰り返して、最後はニチレイグループ企業の製氷工場として1999年まで稼働しました。機械式の製氷事業は日本人資本の企業が1883年に設立されて以降、各地で起業が相次ぎます。さらに合従連衡されていくという歴史が実にドラマチックで、「ニチレイ75年史」(2022年2月刊)を夢中になって読みましたが、長くなるのでこれはまたの機会に。 さて、私が8年前まで勤めていた冷凍食品新聞社では、業界人とのお付き合いから、よく本を出してほしいという依頼が舞い込みました。そんな1冊に、「氷の文化史【人と氷とのふれあいの歴史】」がありました。 著者は㈱ニチレイアイスの初代社長を務めていた田口哲也氏。働きながら哲学論文を書いたという学者肌の筆者が、さまざまな文献から日本の氷の歴史をまとめ上げた一冊です。編集に携わったのは先輩編集者でしたが、それは興味深い内容で、「われ氷をアイス」と書いた著者の、仕事を超越した思い入れに熱いロマンを感じたものです。以来同書を手元に置き、学校給食の食育に関連した話題などによく活用させてもらいました。今でも6月にさしかかると新聞社には書籍の内容に問い合わせが来ていることでしょう。 ニチレイは、戦後1945年12月1日、戦中の統制会社から日本冷蔵株式会社として発足しました。事業は、陸上の冷蔵・冷凍施設。そして戦前からの冷凍魚をはじめとする食品加工事業の流れ受け継ぎ、多角的な食品事業を目指しました。 日本冷蔵の大株主は当初水産大手4社。被災した製氷工場を復旧し、同時に冷凍工場・加工場を活用した食品事業へと急ピッチで体制を整えていきました。製氷工場の再建が整った1953年の4月には東京工場を新設します。冷蔵、製氷、凍結を備えた大規模な工場・倉庫です。当時「超低温」といわれた、日本初のマイナス20℃の大型冷凍庫も備えていました。つまり、冷凍食品産業の近代史がここから始まったのです。 同社は翌1954年には、市販用調理冷凍食品の第1号「日冷 茶碗むし」を発売、1955年からは学校給食で人気を得た「スチック」(スティック状の魚フライ)の生産を開始しています。 戦後冷凍食品産業が飛躍的に発展していったその背景には、有史以来「冷力」が人々を幸せにする魅力を持っていたことと無関係ではありません。「氷を利用する」「製氷する」「低温で食品を保存する」「低温の物流網をつくる」、さらに「冷凍食品を開発し広く普及させる」といった先達の、未来を描くロマンに胸が熱くなります。 引用参考文献:田口哲也著「氷の文化史」、㈱ニチレイ「ニチレイ75年史」

  • 2023年5月25日

日本人が一番食べている冷凍食品は何でしょう?

クイズです。日本人が一番食べている冷凍食品は、何でしょう? 冷凍食品の概況やトレンドについて講演を依頼されることも多くなり、冷凍食品が「時空間超越食品」であること、「生鮮三品+惣菜で生鮮四品、さらに+冷凍食品で生鮮五品」といった持論を披露したりしているのですが、消費の実態などを説明する際に、「さて、クイズです。日本人が一番食べている冷凍食品は、何でしょう?業務用も含めてのランキングです」と聞くと、ほとんど正解が返ってきません。 「ギョーザ」、「コロッケ」、「炒飯じゃない?」「あ、うどん!」といった答が多く出て、いずれも不正解。業界人に聞いても、今まで正解はゼロです。 実はダントツ1位で「ポテト」、2022年の輸入量42万3757トン 答は「ポテト」。輸入冷凍野菜です。 正解を聞くと皆さま、「え?」「あのハンバーカーと食べる?」「あ、そうか~」と納得してくれます。 人気のポテト、2位の「うどん」を22万トン以上離して42万3757トン(2022年輸入実績)とダントツ1位です。しかも前年比で12.4%増と大きく伸びていて、主流の米国産、カナダ産に加えて近年は、ベルギー産やオランダ産など、ヨーロッパからのポテトも需要が伸びています。 日本のじゃがいもに比べると、大きくて細長い北米産ポテトは、細長いシューストリングカットができて、ハンバーガーチェーンや居酒屋おつまみなどに欠かせないメニューになっています。水分量が少なめで、フライするとホクホクした食感が魅力です。 一方、ヨーロッパ産のポテトは、日本のじゃがいもに似て黄色い色合い。しっとりほっこりの味わい。フライドポテトにするときも、皮付きカットや拍子木カットにして、マヨソース、チーズソースなど好みのディップで食べるのが一般的。本場ベルギーでの名称は、「フリッツ」です。 アメリカではフライドポテトのことを「フレンチフライ」と言います。つまりフランスのフライ、ですね。でもこれは、『ベルギーで体験した、フランス語を話す人たちが食べていた、美味しいお芋のフライ』を第一次大戦後、アメリカで再現した時に生まれた言葉のようです。 本当は、BELGIAN FRIIES(ベルジャンフライ)だと、ベルギー・フランダース農業物販売委員会(VLAM)ではPRをしています。 冷凍ポテトを料理にする 冷凍食品の一番人気、ポテトですが、単にフライにして塩味で食べるだけではもったいない。米国で定番となっているローディッドフライをご紹介しましょう。 ローディッド(loaded)とは、英語で「荷物を山積みにした」という意味です。山盛りのフライドポテトに、ソースや具材をたっぷりのせたアレンジメニューのこと。 例えば、ポテトの上にチーズソース、ミートソースと目玉焼き、ステーキをどっさりなどなど。 ポテトも、シューストリングはかりではなく、くし形のウェッジカット、小さい俵型のテーターパフ、網の目にカットしたワッフルカット、朝食向けでおなじみのハッシュブラウンなどを使ってみると、見た目も味わいも変化します。 ローディッドフライは、米国の野球観戦のお供。メジャーリーグの各スタジアムには、それぞれオリジナルのベースボールフライがあります。Instagramの@potatopower10で、チェックしてみてください。 ■ポテトの栄養~ビタミンCやカリウムにも注目 ポテトというと高カロリーイメージですが、中サイズ(148g)のポテトのエネルギーは110kcal。同量の白米に対して約半分のカロリーです。含まれるビタミンCは27mg、カリウムは620mgでバナナより多く、「カリウムの王様」と呼ばれているほど。たんぱく質は3g、食物繊維は2g。実際は栄養ぎっしりの食材です。 米国ポテト協会のアレンジレシピサイト https://www.potatous-jp.com/recipe/ 最近米国でバズっているという、パンを使わないハッシュブラウン・アボカド・トースト https://www.potatous-jp.com/feature/hash-brown-arrange/

  • 2023年4月20日

冷凍めんは美味しい! 年間20億食!!もはや「国民食」というはなし

今年2月、テレビ西日本制作の番組「ニッポンわが町うどんMAP5」の企画で、『冷凍うどん会議』に出席しました。うどん好きが集い、あれこれ語り合い、自分のイチオシ冷凍うどんを持ち寄り、試食しながら№1を選ぼう、という『会議』です。 うどんマニアも納得する冷凍うどんの美味しさ 出席者は、埼玉を日本一のうどん県にする会 会長・永谷晶久さん、年間400杯うどんを食べてきたうどんマニア第一人者・井上こんさん、うどん学を唱える香川大学名誉教授・合谷祥一先生、福岡でうどん食べ歩きを網羅してブームを巻き起こしている・岡澤アキラさん、そして冷凍食品ジャーナリスト山本純子というメンバー。司会はテレビ西日本の橋本真衣アナウンサーでした。 結局、美味しいうどんに上も下もない!ということで、№1は決まらないまま会議は終わります。そのVTRを見て「何を見せられたんだ!!」というオチだったのですが、うどん好きやうどんを研究している先生まで、「美味しい冷凍うどん」の要請に応えてくれるほど、冷凍うどんは、その美味しさで認知されていると再認識できました。 番組で、どんな美味しい冷凍うどんが?と気になった方は「エフエフプレス」の番組リポート記事をぜひご覧ください。 冷凍めんのコシは「水分勾配」 『冷凍うどん会議』の中で山本は、冷凍うどんのコシ、美味しさのヒミツを日本冷凍めん協会提供のイラストを使って説明しました。 イラストは、ゆでたての状態のめんの断面と、時間が経ってのびてしまっためんの断面の比較です。ゆでたてで凍結して「時間を止めた」冷凍めんは、外側の水分量が80%程度、中央は50%程度です。水分勾配(こうばい)というのですが、この水分量の差が「コシ」として美味しく感じられるのです。 ちなみに、九州人はやわらかいうどんしか食べない、とよく聞きますが、岡澤さんのプレゼンした因幡うどんは、口当りがやわらかい食感の中にも適度なコシがありました。 もう一つ、山本が番組内で訴えたことは、冷凍めんはもはや「国民食」だということ。年間生産食数は、20億食。つまり日本の人口で割ると、国民1人あたり、年間約16食。国民は、月に1回以上必ず冷凍めんを食べている、という計算になります。これはもはや「国民食」と言うべきではないか、という話。実際、日本冷凍めん協会では、かつて、冷凍めんは国民食!と打ち出すPRをしたことがあります。 まあ、とにかく、冷凍めんは美味しい。うどんは釜揚げ状態、パスタはアルデンテ、そばは打ち立てゆでたて、ラーメンももちろん、湯切りしてスープを注いだ出来立ての再現、ということです。 2022年の冷凍めん生産量は、20億416万食、12.2%増 2023年4月、日本冷凍めん協会が発表した「冷凍めん年間生産食数調査」によりますと、2022年の冷凍麺生産量は、20億416万5千食で前年比12.2%増と大きく伸びています。コロナ禍により業務用の生産量が大きく落ち込んだ2021年から転じて、過去最高だった2020年実績(20億943万7千食)に次ぐ史上2番目の数量です。 冷凍めん生産量20億食のうち、「うどん」は11億食。55%を占めています。そしてその9割近くが「素材めん」、つまり「玉うどん」です。 コシの強さが人気のさぬきうどんを筆頭に、稲庭風も夏場にのどごしが良く人気です。最近は、相次ぐ食品の値上げラッシュの中で、リーズナブルで便利な主食系素材として家庭用玉うどんの人気が急上昇と聞きます。 品目別に見ると、大きな伸びを示しているのは「中華めん」です。つまり、ラーメン。なんと、前年比120.7%、3億5200万食。特に市販用は130.7%とすごい伸びでした。 冷凍ラーメンのブーム、昨年中頃から顕著ですね。スーパーの冷凍食品売場では、扉1枚のスペースが冷凍ラーメン、という店も増えてきて、選べる楽しさが提供できるようになりました。 業界団体は今年40周年。冷凍うどんは来年50周年 年間20億食の数字はインパクトがあって、「国民食」と堂々と言えますね。振り返れば冷凍めんが脚光を浴びたのは、瀬戸大橋が開通した1988年。本場の香川県でさぬきうどんを食べ歩こう!とさぬきうどんブームが起こりました。そんなブームの最中、現地の人々から「へたなところよりカトキチのさぬきうどんの方がうまい」といった声もあり、冷凍うどんがブレイクしていったのです。冷凍うどんのパイオニア、カトキチのさぬきうどんが発売されたのは1974年。来年、50周年ですね。カトキチブランドは、今はテーブルマークに継承されています。 日本冷凍めん協会は、さぬきうどんブームの一歩手前、1983年11月に設立され(当時は、冷凍めん協議会)、今年40周年を迎えます。 冷凍ラーメンブームが来ていると書きましたが、その前、2013年には冷凍パスタが急激に伸びた、冷凍パスタブームがありました。1食のメニューになっていて、バリエーション豊富。レンジ数分で手軽に、美味しく食べられる冷凍パスタは、いまやすっかりお手軽ランチとして定着しています。冷凍ラーメンもブーム云々ではなく、これから冷凍食品の人気ジャンルとして定着して発展していくことでしょう。私は、冷凍パスタと同じような道のりで、生活者の皆様に認知され、品揃えも広がっていくのではないかとみています。 もちろんラーメンの世界には、即席麺、カップ麺、チルド麺とライバルが目白押し。ですが、冷凍めんが最もお店のラーメンの味わいを再現できるのではないでしょうか。冷凍ラーメンは、今後も人気が続き、圧倒的な美味しさでライバルたちを脅かす存在になるのではないかと思います。 「大阪王将」ブランドでも、近年ラーメンに力を入れていますね。餃子、炒飯、そしてラーメン。おなかいっぱいになれる街中華の定食。すべて冷凍食品で可能なのです。いやぁほんと、冷凍食品ってすごいです。

  • 2023年3月23日

台湾の冷凍食品トップメーカー「桂冠」訪問記~世界のブランドへ 

3月初旬、日本食品業界の大イベント、FOODEX JAPAN2023が開幕した時、私は遠い空の上、、、いえいえ、生きています。元気にこのコラムを書いています。 3年数カ月ぶりの海外取材に、心ワクワク。台湾に向かう空の上でした。 訪台の目的は、台湾の冷凍食品トップメーカー、桂冠實業股份有限公司(台北市、王亞倫社長)の取材です。2019年、王亞倫社長に「取材に行きます!」と固い約束をしながら、新型コロナウイルスの流行でそれが果たせぬまま3年余り。ようやく再開できた最初の海外出張です。 久しぶりの海外取材というワクワク以外にも、心躍る理由はたくさんありました。それは懐かしい方々との再会。 1991年、台湾の冷凍食品業界団体設立の際、私はその設立セレモニーの取材に参りました。以来30余年、桂冠(Laurel)の発展を現地で確認できることが興味深いのはもちろんのことですが、王亞倫社長の実父で当時社長だった王正一氏、同氏の弟で現会長の王正明氏との再会を果たすことができました。また、1990年に東京の日本冷凍食品協会事務所で出会って以来、親しくして頂いている陳建斌氏(当時台湾政府農業委員会の加工食品担当官、後に生産局長、前財団法人農業科技研究院院長、現財団法人台湾香蕉(バナナ)研究所董事長)との面談も旧交を温める嬉しい旅でした。 ▲1991年に取材した桂冠實業創業者王正一氏(前列㊥)、王正明氏(同㊨現会長)と嬉しい再会 さらに、台湾食品業界の女性経営者で構成する、台湾WF-NETの歴代会長との懇談もスケジュールにありました。台湾WF-NETは、日本のWF-NET(食品業界女性経営者ネットワーク、2014~)が2013年に台湾視察をした時の交流会を機に設立された団体です。桂冠實業の王亞倫社長も、もちろんメンバーの1人。 ▲台湾WF-NETメンバーとも3年半振りの再会 ▲桂冠實業の王亞倫社長(台北市内の同社ジョイン・キッチンで) 日本のWF-NETは、食品業界の中でかなり少数派である女性経営者の交流の場として発足しましたが、台湾では「女性の方が強い!」とよくうかがいます。実際、台湾WF-NETメンバーの皆様にお目にかかるたびに、いつも元気なパワーを頂くことができます。 「湯圓」市場シェア90%、鍋用具材50%超、レンジ食品50% さて、「桂冠」ブランドの主要冷凍食品を紹介しましょう。 ▲市場シェア約90%を誇る「湯圓(タンユエン)」 まずは、「湯圓(タンユエン)」。台湾で日常愛されているもち米団子(デザート)です。冬至の時には必ず食べるという風習があります。丸い形から「円満」を願うそうです。団子の中身は、黒胡麻あん、小豆あん、ピーナッツあんををはじめ、さまざまなバラエティがあるほか、あんの無い小さなサイズもあります。 ▲日本ブランドとのコラボも多数。からだの外からもお腹の中からも温めるユニクロ・ヒートテックコラボ!! ▲小湯圓 日本ではタピオカミルク以来、台湾食品のブームが続いていますので、湯圓ファンになっている若い女性もいるようです。私は、久しぶりに食べましたが、その美味しさと進化ぶりに驚きました。 もちろん湯圓を作るメーカーは他にもありますが、なんと、桂冠ブランドは市場シェア90%。圧倒的な美味しさ、品質で他の追随を許しません。 その秘密は、厳選したもち米を仕入れ、古来の方法に基づき団子を作っていること。白玉粉から製造する他社製品とは格段に差別化されているのです。 ▲桂冠第二工場に搬入された湯圓の原料もち米 新北市(台北市北部)の第二工場に毎日入荷されるもち米です。このこだわりが高品質の理由。 鍋料理のことを台湾では「火鍋」と書きますが、さまざまなスープで食べる鍋用の各種具材も「桂冠」ブランドの得意カテゴリーです。市場シェアは50%超えです。 スーパーの売場を視察すると、ちょうど鍋シーズンの盛りなのでずらりと並ぶ鍋用具材。売場は消費者ニーズに合わせてブランド別に陳列していました。その中で「桂冠」は扉2枚分と圧倒的な品揃え。しかも価格レベルが高いのにもかかわらず売れていました。 人気№1の具材「桂冠蛋餃」(卵餃子)は、魚すり身の具を卵の皮で包んだ水餃子です。卵焼きにスープが浸みてジューシー。食べてみると、なるほど~と人気の理由が理解できます。 ▲圧倒的人気の鍋用具材「卵餃子」 需要が伸びている新カテゴリーはスパゲティ、炒飯です。高さのあるトップシール容器に入っていて、少しシールを開けてレンジ調理でOKです。このレンジ対応商品でも「桂冠」ブランドは約50%の市場シェアを獲得しています。 実は、かつて取材した台湾のメーカーはほとんど経営母体が変わっています。唯一、変わらずトップブランドとして発展したのが「桂冠」です。王亞倫社長から「イノベーション、誠実さ、責任感をキーワードとした家族経営企業」と紹介がありました。現在経営の中枢にいるのは王社長はじめ創業者兄弟の姉弟たち、つまり従兄弟同士です。 ▲営業・マーケティングを統括する王振宇副社長(手にしているのは新規事業製品、高齢者向け栄養食品) 王振宇副社長は営業・マーケティングセンター統括。手にしているのは、2018年から取組んでいる新事業、高齢化社会に対応した高たんぱく栄養スープ・健康食品です。専門医や健康雑誌とコラボした開発商品です。 1970年設立のきっかけは「大阪万博」、以来台湾の冷凍食品業界をリード 創業者、王正一氏によると、冷凍食品事業を始めたきっかけは、1970年の大阪万博訪問。王氏の家業は製氷業でしたが、冷凍冷蔵庫が普及しはじめた時代です。家庭で氷ができるようになり、事業の先細りを予感し始めた頃に、大阪万博でひらめき、冷凍食品事業会社として桂冠実業を設立しました。 日本にとっても大阪万博は、冷凍食品を活用したセントラルキッチンの威力を実証したイベントです。また、米国発のファストフードの可能性を確認した年でした。 冷凍食品を活用した家庭団らん料理を広める 今回のトピックスのひとつ、それは、桂冠が食卓フォーラム「好好説頓飯」を世に投げかけていること。2018年からの取組みで、家族で楽しくお話しながらの食事、という意味です。冷凍食品を素材にさまざまなメニュー提案をする拠点となるキッチン「桂冠窩廚房」(Joy’in Kitchen)も台北都心に設けています。 台湾は日常の外食が根付いていますが、家族で冷凍食品を使った料理をして、楽しい時間を過ごしましょうという提案は、ある意味斬新なプロモーションと言えそうです。家族の食卓が基本と考えてきた日本で、個食が増えてきたこと、そんな時に冷凍食品が活躍していることを考えると、相反するトレンドで冷凍食品がそれぞれ伸びていることに驚きます。 来年4月、屏東に第三工場、保税機能いかして世界へ 大きなトピックスは、来年4月、桂冠第三工場が台湾南部の屏東・農業科学パーク内に完成することです。桂冠の冷凍食品売上は、コロナ禍によって7%アップの実績(2021年)とさらに大きく伸ばしているそうですが、都心の第一工場、第二工場はフル稼働。そして人手不足の悩みがありました。南部に最新の新拠点を設けること、さらに、工場スペースに余力を残し、保税機能を生かして国内外企業とのコラボレーションを計画しています。 ▲2024年に完成する桂冠第三工場は保税機能を持つ加工施設 確かに台湾南部で保税機能のメリットを生かせば、同新工場を生かして製造し、東南アジア圏への商品供給も可能です。もちろん台湾マーケットで人気の日本仕様(日式)商品をトップメーカー桂冠の販売ネットワークにのせることもできそうです。 同社では既に1995年中国・上海に工場を設立し、上海地区で、鍋用具材トップメーカー、湯圓市場シェア30%など、華東地区の冷凍食品リーディングブランドの地位を築いていますが、王亞倫社長は、「第三工場の完成を契機に国際戦略を加速させます」と今後の夢を語ってくれました。 桂冠:Laurelが世界の冷凍食品ブランドとして躍進する時代。ぜひ見届けたいもの。もちろん日本企業のブランドの世界進出もです。 冷凍食品を追いかけて42年目の私ですが、これは50年目くらいまでを目指して頑張らねばならないなぁと思った次第。頑張ります。

  • 2023年2月23日

スーパーが力を入れる冷凍食品 ~スーパーマーケット・トレードショー2023

国内最大規模のスーパーマーケット関連展示・商談会、「スーパーマーケット・トレードショー2023」(SMTS:一般社団法人全国スーパーマーケット協会主催。2月15日~17日、幕張メッセ)の会場で、初の冷凍食品企画展示「冷凍×食」が賑わいました。 かつてはスーパーマーケットの中で売上構成比も低く、軽んじられている感のあった冷凍食品ですが、今では戦略ジャンルになってきた、ということです。業界を取材して41年、こんな驚くことに巡り会うとは、しみじみ感慨深いSMTSでした。ということで、今回は少々まじめに会場のリポート。 SMTS主催者企画展示は、ライブステージで9本のセミナー、全国スーパー冷凍PB試食体験9品、新商品約100品のピックアップ展示、冷凍自販機はじめ最新情報・トレンド展示で構成されました。余談ですが、空きスペースが気になって主催者スタッフに聞いたところ、冷凍自販機「ど冷えもん」のサンデン・リテールシステムが、半導体不足の影響で新規営業を控えざるを得なくなり、急きょ展示を取りやめたとか。海外由来のいろいろなモノ不足がこんなところにも影響しています。 企画展示のアンバサダーは、「冷凍王子」こと、西川剛史さんが務めました。 生鮮+惣菜(生鮮4品目)、そして生鮮5品目は冷凍食品 私もライブステージ・セミナー講師の依頼を受け、「冷凍食品は生鮮5品目 いまこそFresher Than Fresh!」をテーマに掲げて講演しました。 予約制のセミナーではなかったので、自己紹介をどうしようかと考え、思いついたのは、「マツコの知らない世界に3回出た」でした。初対面の方はそれだけで、ああ、冷凍食品に詳しい人、そして熱心すぎて面白い(変な)人、と理解してくれます。 「生より新鮮」は、前回の本コラムで記した通りです。収穫後鮮度がどんどん落ちて、栄養価も損なわれていく生鮮に対し、冷凍食品は鮮度も栄養価もとれたて、作りたての状態で時間を止め、空間を超越して食卓まで届けることができます。冷凍食品は、鮮度の高い生鮮5品目と考えたときに、スーパーマーケットでは、今よりもっとふさわしい場所で販売すべきではないか、と訴えました。 つまり、生鮮3品に続いての壁面か、レジに近い惣菜の対面に位置する場所です。そんなレイアウトなら、今日明日に食べるもの、明日以降食べるものをと考え、選ぶ来店客に、店側からこの商品でこんな食卓をと提案しやすくなると考えます。惣菜を閉店間際まで揃え、値引きして、廃棄するロスも削減できます。 究極、冷凍食品各種と、冷凍食品にはない、殻付き生卵や生野菜サラダがあれば、食卓は整います。 大阪王将「街中華」に行列、地域を生かした商品に関心集まる さて、SMTSの「冷凍×食」は、主催者企画展示ゾーンと50社を超える出展社ブースで構成されて、通路は人だかり。大手NBの出展は、「大阪王将」の『街中華』を再現し、VIP食堂を併設したイートアンドフーズのブース、マルハニチロの「サカナクロス」コンセプトを訴えたブースでした。 一番目立ったのは、黄色い「大阪王将」の看板と白い暖簾が来場者を引きつけたイートアンドフーズのブースです。試食には常に行列ができ、VIP食堂も大盛況でした。プレス発表前ですが、新商品の「極みの大粒 肉餃子」(標準24個:720g)、「極みのもっちり厚皮 肉汁爆弾餃子」(標準20個:700g)も試食披露していました。 “肉汁爆弾”とは、大阪王将ブランドらしいキャッチーなネーミングです。確かに、丸くてもっちりした皮をひと噛みすると、熱々の溢れる肉汁。新しい食卓の一品になりそうです。 マルハニチロの「サカナクロス」は、世界の水産をリードする同社らしく、魚とテクノロジー、魚とスポーツ、魚とサステナブルなど、掛け合わせることで新たな価値を創造して、社会の役に立つというコンセプト発信。大画面で迫力ある映像も流しながら、マルハニチロ社員による熱意溢れる説明に聞き入る来場者の姿が印象的でした。 そう、ものを作るだけではない、生活をデザインするのも食品産業の重要な役割なのですねぇ。 全国ご当地の商品が多彩に並んだことで、かなり見応えのあるゾーンになっていました。その中でも青森県は自治体としての唯一の出展でした。官民連携の『冷凍ベンチャー事業』を昨年度から推進中で、「青森といえば冷凍食品」を目指して、特産品を生かした商品開発、販路の開拓を官民協力で実践しています。 地域で見ると、目立ったのは九州勢でした。新商品の生パスタと窯焼きピザのピザレボ(福岡市)、“魚やがパスタ”とPRする「海鮮パスタシリーズ」の柳川冷凍食品(福岡県柳川市)、太宰府天満宮参道の名物「梅ヶ枝餅」を製造・販売する㈱やす武が「冷凍 梅ヶ枝餅」を紹介しました。確かにお餅は冷凍適性に優れた素材です。 離島の冷凍食品も注目の的でした。島の魚と中華料理研究家による「匠の百皿-HYAKUSARA」(㈱島のごちそう、鹿児島県・獅子島)は、高級中華の価格帯レベルです。 島の漁業を維持、発展させるための開発食品。冷凍食品の『時空間超越システム』はこんなところに生かされます。 スーパーの冷食60年。『超高速凍結機』がロス削減に貢献する近未来の話 国分グループ本社のブースは、2月14日に発表した、『超高速凍結機』㈱ゼロカラ(本社:神奈川県横浜市、荻野龍哉社長)との業務提携について、詳細を発表する場になりました。 ゼロカラは2017年11月に創業したスタートアップ企業ながら、ブライン凍結機(冷媒液に包装した食品を浸ける凍結機)の商品棚をダイナミックに上下させることと、熱交換効率をアップさせる工夫により、「世界最速凍結機」を謳える凍結機を開発して急成長しています。 もちろん、高性能凍結機で商品を作っても、その出口、しっかりと管理できる物流と販売先が確率していなければ、無用の長物。冷凍食品はシステムで成り立つものなので、凍結機の性能ばかりを追いかけても、最終的なお皿の上に高品質の食品が乗るかどうかは確約できません。今回の業務提携は、急速凍結以外のトータルサポートを国分が担うことによって、サプライチェーンを創造していこうというプロジェクトになります。 夢に描いた「日配品の凍結も可能」という中村典正部長(国分グループ本社低温フレッシュデリカ統括部戦略推進室低温推進部長兼国分フードクリエイト常務執行役員営業統括)。「来年は恵方巻をやりたい」とのこと。海鮮海苔巻きの試食をしました。恵方巻は毎年、食品ロスの槍玉に挙がるもの。冷凍食品の発展は、SDGsの目標達成にも通じるのです。 ちなみに、今年、2023年は、日本のスーパー初の冷凍食品売場(ダイエー三宮1号店)が誕生して60年。同店に冷凍食品を納入したのが、中村氏の実のお父様、中村博一氏(現ナックスの前身、中村博一商店創業者)です。60年を経て、夢を受け継ぐ姿に感動しました。『夢とロマン』の冷凍食品事業。久しぶりに昭和時代のフレーズを思い出しました。

  • 2023年1月19日

Fresher Than Fresh! 生より新鮮? そんなことが起こるのが冷凍食品

タイトルに掲げたFresher Than Fresh(生より新鮮)とは、米国の業界が50年以上前に使用していた、冷凍食品の良さをPRするキャッチフレーズです。今こそ、この冷凍食品のメリットを広く認識していただきたい!そのためにもっと積極的に活動しよう!と2023年新年に決意した次第。 本コラムでも、NHK「あさイチ」の放送(2022年8月)で、衝撃が走った、「冷凍ほうれん草の方が、夏場の生鮮ほうれん草よりビタミンC量が格段に高い」という話を書きましたので、『生より新鮮』な事実が記憶に残っている方もいらっしゃるかと思います。 もちろん、野菜に限ることではありません。「急速凍結」して、マイナス18℃以下の低温温度帯で保存する冷凍食品は全て、鮮度がそこでストップ。そして、腐りませんので『生より新鮮』です。お惣菜は消費期限が1日限りですが、調理冷凍食品は賞味期限が約1年。解凍調理した時点で、いつでも『出来立て』になります。 冷凍とは鮮度を保つ手段です。欧米諸国では当たり前に認識されていることなのですが、日本ではなぜか、「冷凍」と聞くと「生鮮より劣るもの」と聞こえてしまう人が多いようです。こんな誤解はそろそろ解消していかなくてはなりません。 家庭で食べる刺身も冷凍が評価される時代に 先日、食品冷凍学の権威、鈴木徹先生(東京海洋大学特任教授)が出演したテレビ番組の中で、ローソンが販売している冷凍刺身が話題になりました。解凍した刺身をゲストが食べて、「え、美味しい」「新鮮!」「冷凍とは思えない(この言葉はちょっと問題)」といった感想が出ました。冷凍で販売されている刺身をきちんと解凍すれば、鮮度よく美味しいのは当然です。「解凍」表示をしてスーパーで販売している刺身を買ってきて数時間後に食べるより、明らかに鮮度が良いわけです。 ちなみに、マグロのサクなどカチカチの冷凍魚を解凍するときに、最も良い方法は、きちんと密閉パックした状態で行う「氷水(こおりみず)解凍」です。鈴木先生がずいぶん前から提唱している最適の解凍方法です。最近先生にお目にかかった時に『鈴木式解凍法』と名付けて普及していく、とうかがいました。ぜひ、皆様も『鈴木式』を体験してみてください。 今年ブレイク必至!冷凍パン 野菜、魚、肉が生より新鮮! ごはんは炊き立て、麺はゆでたて、そして、パンも焼き立て! それが冷凍のメリットです。今回は、そのパンの話をしたいと思います。 昨年12月12日に行われた「第10回フローズン・アワード」(日本アクセス主催)の表彰式で、消費者投票で選ぶ順位とは別に、「ゲスト特別賞」が設けられ、私は、冷凍パンの「バゲット ガーリックバター」(デルソーレ)を選びました。 約10年地道に拡販してきた良い商品です。選定コメントでは、冷凍適性が高いジャンルとして、「めん、ごはん、次には家庭用でもパンの需要が伸びるでしょう」と話しました。 実際、2016年から本格展開しているフランス発の冷凍食品専門店「Picard(ピカール)」(運営:イオンサヴール)では、オーブン調理で焼き上げるクロワッサンが一番の売れ筋です。 ホテル・レストランなど業務用で実績のある、群馬県桐生市のスタイルブレッドは、近年家庭用ブランドにも力を注ぎ、「Pan&(パンド)」ブランドで焼成済み冷凍パンを展開して、じわじわと人気が高まってきています。 ほかにも、「Pasco(パスコ)」ブランドの敷島製パンが、凍ったままでも食べられる「ホイップメロンパン」で話題を呼び、最大手の山崎製パンが冷凍でも「焼きカレーパン」を発売、駅ナカショップで冷たいクリームパンを展開する八天堂(広島県三原市)が「出来立てを超えたくりーむコッペパン」発売などなど、近年冷凍パンの話題は目白押しです。 都内の人気パン店では、焼き立て時刻に行列ができるほどですが、よく考えると、その場で食べるか、少なくとも当日食べなくては、焼き立てのふんわり、しっとりした美味しさは失われてしまいます。焼き立てをすぐ楽しむ方法として、冷凍パンが最も手軽で良い選択ではないかと思うわけです。 パンをカピカピにしてしまい食べられない、カビが生えてしまったので捨てた、そんな経験のある方は多いと思います。むだにする心配がない冷凍パンを上手に利用する方が、環境にも優しく、お財布にも優しいですね。 冷凍生地で焼き立て販売、冷凍パンを販売する、ロスゼロのチャレンジ! イートアンドグループのベーカリーショップ、アールベイカー(R Baker)では、昨年5月、オーダーを受けたら冷凍生地を使用して焼き上げた、「エピ」やミニサイズの「ピザ」を販売する店。その他に販売する商品は全て「冷凍パン」、というチャレンジングなお店を都内にオープンしました。その名は「YOUR OVEN(ユアオーブン)」。小田急線の祖師ヶ谷大蔵駅から3分の商店街にできたコンパクトなお店です。 昨年、店頭でオーダーして食べてみました。オーダーを受けたら約3分~5分ほどで出来上がりでした。ベーコンエピというと“噛みしめる!”イメージですが、同店のエピは、ふんわりもちもち~。エピはフランス語で「麦の穂」という意味だそうです。 この形は火が入りやすいそうで、ちぎって食べやすいメリットもあります。代表的なベーコンのほか、チーズ、豆入りなどのバラエティもありました。 ピザは直径約13センチで、これももちもちタイプ。やっぱり焼き立ては美味しいです。そのあたたかさ、小麦の香りで幸せな気分になれますね。 通常のパン屋さんは、売れ残りがロスになってしまいますが、ユアオーブンは、冷凍生地で作る焼き立て販売、冷凍パンの販売ですので、ロスがゼロ。冷凍パンを買った方はお家で焼き立てを味わえます。すばらしい発想だと感心いたしました。 視察した足で、同店に冷凍生地、冷凍パンを供給している、セントラルキッチンを訪ね、中間店長にお話をうかがいました。 「小麦粉に米粉を入れることによって、しっとりやわらかい生地が出来上がります。冷凍に非常に向いています。美味しくて腹持ちもいいですよ」とのこと。 現在はこのセントラルキッチンで、ミックス、発酵、焼成、凍結まで対応しています。焼き立てをフリーザーに入れるシーンにワクワク。冷凍ってやはり素晴らしいシステムです。今後、ロスを出さないベーカリーとして多店化していくのではないか、その第一歩を目撃しているのではないかと、気持ちが高ぶっていきました。 出来立て、Freshが冷凍の神髄!「冷凍とは思えない」という発言がなくなりますように!  

  • 2022年12月15日

人がほとんどいない工場が今どき~しかも「停まらない!」 それは人間愛かも

今回は『工場のはなし』です。 “食品工場の自動化・DX展”とうたっている「第3回フードテック ジャパン」(2022年12月7日-9日、幕張メッセ)会場で、取材をしていた時の会話。 「なるほど、この機械が完成したら、この場所で作業していた人たちがいなくなる訳ですね。じゃあ例えば一千万円払っても、給料を考えたらすぐ元がとれる。2年くらいで」 「いえいえ、16時間連続で動いてくれますから倍で考えてください」 「そうか!二交代」 「しかも歩留まりがいいです。レシピ通り。誤差は2%未満! 人の場合は10%近く」 「それもすごい。コストアップが深刻な昨今、即採用ですね」 少し沈黙があり、にっこりして、 「人が1日中ずっと同じことを繰り返すなんて、そんなつらい仕事はもう無くしていかないと、、、」 コストのことばかり考えていた自分を恥じました。そして、チャップリンが機械の歯車に挟まれる映画のシーンが浮かんだのです。ああ、この方は、世のため人のためになる食品機械の開発が嬉しくて、生きがいなんだと敬服した次第。展示会場には、DX、IoT、AI、ロボットなどなど、さまざまな無機質な横文字が溢れていましたが、技術開発の原動力は人間愛かも、と考えながら帰路につきました。 都市化が進むと共に、商品は効率よく生産され、付加価値を付け、流通、販売、消費されていく訳ですが、その便利さのために、人に負担のかかる作業が必須になるという矛盾もありました。それはモノクロ映画の時代からの大問題。それがすっきり解決されていく、というのが今どきの工場です。   日本最大最速級の餃子工場は『停まらない』 2022年9月に竣工、11月に稼働開始したイートアンドフーズ関東第三工場も、まさに今どきの工場です。しかもかなり先を進んでいます。そのキャッチフレーズが「停まらない工場」(仲田社長)です。 「停まらない」って、忙しそうな感じに聞こえますが、製造ラインに人は数えるほどしか見当たりません。AI、IoTを活用して、餃子の生産工程を一括管理しているからです。ちゃんと餃子が包まれているか、トレイに規定の個数がはいっているかなどなど、監視チェックしているのは、人に代ってカメラです。カメラは、いわばコンピューターの目。人の目よりも正確に、大量に学習している情報に基づいて不備のあるものはラインからはじいていきます。 ▲人手がほとんど不要という餃子成型ライン。「ずーっと見ていたい」と熱心に見学する冷凍食品マイスター、タケムラダイさん㊥、㊨は自慢の工場が完成してニッコリ、イートアンドフーズ山本浩専務。 自動化装置は最先端です。餃子の原材料は別室で下処理したものをAGV(無人搬送機)が一時保管庫の前まで運んでいます。大量の重い原材料を人力で押して運ばずとも良いのです。 そして、「停まらない」との言葉を生んだ、画期的なアキューム装置(トラブル対応中の製品の一時回避装置)。これには驚きました。 もちろん、大量生産する冷凍食品工場では、稼働時間中フル稼働して、生産計画通りに、流れるように製造するのが理想的。しかし、いくつかの製造工程の中でひとつトラブルが起こるとその流れがストップ、ロスタイムとなります。ちょこちょこ停止することを「ちょこ停」と言うそうですが、その「ちょこ停」が起こる度に生産効率は低下します。つまり、それがコストアップにもつながってしまうということです。それを避けるのがアキュームレーション。日本語では「蓄積」でしょうか。 数年前、アキューム機能を他のメーカーでも見たことがありますが、それは、トラブルが起こった時に、その前工程の速度を低下させるものでした。当時も「コンピューターってすごい」と驚いたものですが、今回導入されたイートアンドフーズのアキューム装置は、さらなる驚きがありました。生産速度を落とさず、さらに、凍結した製品の品質をしっかりと保っているのです。 トラブル解消後のアキューム装置動作に胸がときめく イートアンドフーズ関東第三工場のアキューム装置は、包装ラインにトラブルが起こった時に作動、餃子のトレイを並べて、1段、また1段と装置に積み上げていきます。そして、中は保冷機能付き。 トラブル解決後は、積み上げていた餃子のトレイを少しずつラインに戻していきます。その戻し方がすごい。ラインの流れを止めず、頃合いを見て1つずつと丁寧なのです。まるで高速道路のパーキングエリアから、運転のうまいドライバーが本線に合流するかのような手際の良さ。思わず機械に向かって「えらい!上手!賢い!」と褒めていました。 冷凍食品にとってとても重要なポイントのひとつにコールド・チェーンがあります。出荷から流通・販売、そして調理されるまでの冷凍庫での保管状態も含め、マイナス18℃以下の温度帯を繋いで保つことです。これまで、その品温管理は工場出荷の段階からと考えていましたが、同工場のアキューム装置を見て改めました。 製造工程でも品質維持を重視するきめ細やかな配慮。同社の『餃子愛』を強く感じた視察でした。 もちろん、機械も間違うことがあるでしょう。それをコントロールするのが人の仕事。 美味しい冷凍食品は人を幸せにしてくれます。そして、美味しい冷凍食品を作る人たちが幸せであることも重要と、しみじみ感じ入っている2022年末です。

  • 2022年11月17日

冷凍食品消費大国へ!1人当たり消費量23.1kg 日本は世界第5位ですが…

「日本を冷凍食品消費大国にしたい!」というのが、冷凍食品『愛』が強すぎる3人組、F3(エフスリー:冷凍生活アドバイザー・西川剛史さん、冷食マイスター・タケムラダイさん、そして冷凍食品ジャーナリスト山本純子)の合い言葉。F3は、2022年4月TBSテレビ「マツコの知らない世界」に3人揃って出演した際に生まれたトリオの名前です。 「日本は、もう消費大国じゃな~いの~?」というマツコさんに、国民1人当たり冷凍食品消費量は世界5位、しかも4位との差が大きいというグラフを見せたところ、「えーー!!」という反応がありました。確かに、日本は冷凍食品の開発、生産、流通で冷凍食品の先進国であってしかるべきですね。今回はちょっと深掘りをしてみましょう。   実は、もう少しだけ多めに消費しているという発表 2021年の日本の国民1人当たり冷凍食品消費量は23.1kg。日本冷凍食品協会では、国内生産量と冷凍野菜輸入量、冷凍食品協会会員による調理冷凍食品輸入量を合計したものを「冷凍食品消費量」としてまとめています。同年では290万トン。それを人口で割ると23.1kgとなります。 【表 資料 2022年統計速報文書 表-12】 〔資料:(一社)日本冷凍食品協会 令和3年(1~12月)冷凍食品の生産・消費について(速報)〕   「冷凍食品消費量」としてはいますが、発表時に協会では「調理冷凍食品の輸入については、当協会会員だけを対象にした調査であり、会員以外の商社、流通業者等が輸入しているものを考慮すると、実際の「消費量」はこの290万トンを上回るものと考えられる」と注釈を加えています。調理冷凍食品の輸入量調査数値は、協会会員38社を対象としたもので、同年は23万6千トン余でした。ではその他がどのくらいあるか?といっても、よく分からない、というのが実際です。輸入通関の際の品目が多岐にわたっているため、つかみきれないということです。   国内生産量はもう少し規模が大きい 経済産業省が今年2月、冷凍食品産業の伸長ぶりをリポートしています。 https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20220221hitokoto.html 同リポートで掲出しているのは、2019年までの工業統計調査による「冷凍調理食品の製造品出荷額」ですが、同年で1兆1999億円です。リポート内でも言及していますが、出荷額の多くは大手資本の企業が占めています。さらに中小企業でも大手の下請けも多いかと推測できます。その他いろいろな事情を置いて、少々乱暴ですが単純に同年の冷食協統計数値と比較すると、協会会員生産量の比率は約6割となります。 業界人が聞けば、なるほど、それくらいかなぁと思わせる比率かもしれません。 各国消費量、初の1位にドイツ、台湾が急伸 【表 棒グラフと数値表の2点】 〔資料:(一社)日本冷凍食品協会「令和3年 冷凍食品に関連する諸統計」から作成、海外資料はユーロモニターインターナショナル、日本の消費量は冷食協数値〕   2022年10月に日本冷凍食品協会がとりまとめた「令和3年 冷凍食品に関連する諸統計」に掲載されている世界各国の「冷凍食品の国民1人当たり年間消費量」数値と、先に示した日本の消費量数値を合わせて表にしました。日本は世界5位と変化は無いですが、上位4カ国はコロナの影響やインフレの影響でしょうか、乱高下しています。従来、アメリカとイギリスがトップを競いあっていたのですが、2021年は初めてドイツがトップに。 ドイツ?と疑問に思うかもしれませんが、昔、イギリスの冷凍食品専門店を視察した際、ドイツ産の冷凍食品が意外に多くあったことを思い出しました。ドイツ在住日本人のブログなど検索してみると、ありました、冷凍食品の話題。そして、冷凍食品宅配企業が2社あり、そのサイトを見てみると、ドイツ語なのでよく分かりませんが、写真を見る限りかなりバラエティ豊かなアイテムが揃っています。多くの家庭が地下室に大きな冷凍庫を持っていて、ストックしているとか。 注目したいのは、台湾の急伸。台湾の友人に聞いてみたところ、「コロナでかなり使用量が増えた」とのことでした。朝昼晩、全て外食でOKという食文化かと思っていたのですが、コロナ禍で大きな変化が起こったようです。 早く実際に海外に行って確かめたいものですが、日本に限らず、世界の冷凍食品事情も大きく変わったのだと実感した次第。 さて、日本の1人当たり年間消費量ですが、どうやら実際は30kgぐらいになっていそうです。「冷凍食品消費大国」一歩手前まで来たということでしょうか。勝手に机上の数字を掛けたり足したりしただけですが、ご参考まで。