羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け
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開発秘話

  • 2021年10月18日

美味しさ日々進化!ぷるもち水餃子の商品開発最前線

大阪王将の冷凍餃子の中でも長年愛されているのがぷるもち水餃子。今回はぷるもち水餃子の近年の開発ストーリーを、味の分野で開発している三條さんとパッケージなどの分野で開発している大菅さんに伺いました。 若手が大活躍して磨き上げられている、ぷるもち水餃子  編集オガワ 早速ですが、お二人はいつからぷるもち水餃子の開発に携われているのですか?  大菅さん 2019年からですね、新卒2年目から関わることになりました。        編集オガワ なんと2年目から。それはチャレンジングですね! 色々と悩んだのでは…?  三條さん 元々大阪王将の主力として人気があった水餃子ですので、プレッシャーはありましたね。私はリニューアルがミッションでしたので、元の味を落とさず、さらに良くすることに取り組んでいました。  編集オガワ その取組では、どのようなリニューアルがあったのでしょうか? 実は野菜が増えて味わい深くなっていた!ぷるもち水餃子  三條さん 餃子の中身の具材である野菜を5種類に増やしたことですね。しょうが、キャベツ、はくさい、にんじん、たまねぎ、とそれまでの野菜に加えにんじん、たまねぎを加えました。  編集オガワ あれ、にんにくは入っていないんですか?  大菅さん そうなんです!ぷるもち水餃子ではにんにくの匂いを気にせず毎日たくさん食べてもらえるように、という思いや、さまざまな料理に合うように敢えてにんにくは入れていないんですよ。  編集オガワ なるほど。そういえば最近スタミナ系の水餃子が作られていたような。  大菅さん スタミナ肉ニラ水餃子ですね、こちらはぷるもち水餃子と違ったシーンで使っていただけるように、しっかりにんにくとニラを効かせています。  編集オガワ 用途が違うんですね! 話が逸れましたが、リニューアルで野菜が増えたのにはどんな意図があったのでしょうか?  三條さん ぷるもち水餃子はそのままレンジでチンして食べていただいても美味しいように作られているのですが、大菅さんも話していたように他の料理に気軽に使えるのが良いところなんです。特にスープに入れると、簡単にスープが豊かになります。そこで私の最初の取組として、スープと一緒に食べるときにより相性が良いようにと考えて野菜を出すことにしました。  三條さん 野菜の品目が多いほうがスープの栄養も豊かになって嬉しいと考えたんです。  編集オガワ 確かにスープを作ろうとする時って野菜をたくさん入れたいーと思うかも。 他の素材の候補もあったのでしょうか?  三條さん ねぎ、にら、などの原料は候補にありましたが、にんじん、たまねぎの方が優しい感じがしたのと、やはりスープに合わせるということを考えて外しました。ねぎ、にらはパンチが出るけどスープを選ぶので、色々なスープに合わせる水餃子を、と考えたんです。私の好みもあるかもしれませんが。笑    編集オガワ なるほど、何でも使えるって確かに便利ですもんね。何かイメージするものがあったのでしょうか?  三條さん これは私が持っているイメージですが、中国の家庭の朝ごはんに着想を得ています。家庭によって違う餃子があって、おかゆがあって、という食事です。  編集オガワ 目指す水餃子の味、というのがあるのでしょうか?  三條さん 流行りの味を研究する為に水餃子の有名店に調査にいったりすることはあります。ただ私、ぷるもち水餃子は結構いい商品だと思っていて、大好きなんです。さらに磨きはかけたいですが、今の水餃子には私達のベストが尽くされています。  編集オガワ ぷるもち水餃子愛ですね! ちなみにこのリニューアルの後、今並んでいるぷるもち水餃子には更に改良が加わっているのでしょうか? 実は更にお肉が増量してジューシーになっていた!ぷるもち水餃子  三條さん 野菜の増量の次に、お肉の良さが出るように改良されています。豚肉の量を増加しこってり感を増やしているので、口にいれるとジューシー感が以前よりあって、甘みがよくでるようになっています。  編集オガワ 野菜の次は肉という順番なのですね。  三條さん はい。野菜を攻めた後「今度は肉感ジューシー感が必要なのではないか」と考え、その改良に着手しました。煮崩れしにくいように使っているので、スープと一緒に口に入れると、ハーモニーが楽しめるような作りになっています。  編集オガワ 話を聞いているだけでお腹が減ってきました、夕方だからでしょうか…(インタビュー時は17時頃) しかし次々と味の改良に着手していて勢いがありますね。開発を続けていて、味を決めるのに苦労は無いのでしょうか?  三條さん 今回の改良においては勿論苦労はありましたが、目指す味のイメージは、はっきりできていました。ただ実際にお店に置いていただくことを考えるとお求めやすい価格にする必要がありますので、それに合わせたレシピにする、という所は非常に苦労しました。  編集オガワ 日常的に色々なシーンで使っていただきたい、という思いからすると、価格は重要ですもんね。しかし、味を決めるのに苦労しない、というのはすごいですね。  大菅さん 三條さんは工場で一緒に働いていた頃、お弁当を作ってきているのを見ていたんですけど、それがいつも美味しそうなんです!普段から料理しているのが活きているんだと思いますよ。  編集オガワ なるほど! では今度はパッケージ関係を担当されている大菅さんにもお話を伺ってみたいと思います。大菅さんも三條さんと同じ頃からぷるもち水餃子の開発に携わっているということですが、パッケージというのはどういった所にこだわるのでしょうか? 冷凍食品って実はパッケージにも愛情が込められている!デザインにも職人技が光るぷるもち水餃子  大菅さん まずはお店でふと目に止まる美味しそうな、「しずる」写真を使うことですね。ぷるもち水餃子のリニューアルではスープに合う、というコンセプトがありましたので「あつあつで美味しそう」を意識して作りました。  編集オガワ この辺は三條さんとの連携な訳ですね。  大菅さん また、全体的に大阪王将っぽいイメージ、例えば力強さ、親しみ、お店の歴史で証明もされている味へのこだわりや楽しさをイメージとして出すようにしています。筆文字も手書きで、ある社員に書いてもらっていて、味をだしているんですよ。  編集オガワ パッケージの「ぷるもち水餃子」確かにあまり見かけないフォントだなーと思っていましたが、まさか社員の手書きとは!書く手が震えそう。笑  大菅さん お店のメニューを書いているような人なので、職人技ですよ。  編集オガワ そうなんですね、今度メニューの字も見比べてみようかな。 先程同じ職場でお弁当…というお話がありましたが、お二人は同期なんですね。同期でひとつの商品を開発していく、というのはどんな感じなのでしょうか? 同期の連携が若くして活躍している秘訣  大菅さん 私が考えたパッケージデザインは三條さんに意見を聞きますね。  三條さん 私も水餃子そのものを作っているのですが、味は大菅さんにもみてもらっています。同期なので、世間話も気楽にできてディスカッションが進みます。  大菅さん たまに、雑談だけのときもありますけどね。笑  編集オガワ いいコンビな訳ですね!そんな有望若手に育てられているぷるもち水餃子なのですが、理想というか、目標などはあるんですか? ぷるもち水餃子の理想像はまさかの●●●?!  大菅さん 私達はぷるもち水餃子大好きなのですが、この水餃子は市販のソーセージのような存在になってほしいと思っているんです。  編集オガワ え、ソーセージ?結構イメージ違いますが…水餃子をパリッとさせるんですか?? 違います!  編集オガワ (二人だと否定に圧力がありますね。)  三條さん ソーセージって、そのままボイルしても焼いても美味しいし、色々なスープに入れても合うじゃないですか。 水餃子にはそれくらい活躍できる場があるので、それを多くのお客様に知っていただくのが私達の考える将来像ですね。  編集オガワ なるほど!使えるシーンとして、ソーセージを目指したい訳ですね!  大菅さん ちなみに、ひと手間加える裏技なんですが、ぷるもち水餃子は焼いても美味しいんですよ!  編集オガワ 水餃子を焼くなんて!いや、でもそれは日本で焼餃子で一般化されているのを見た中国の方の反応と同じか…? ぷるもち水餃子の開発にかける思い  編集オガワ ここまで色々伺ってきましたが、お二人はどんな時にこの仕事の達成感を感じますか?  三條さん 私は味として美味しいものができたときは勿論ですが、棚に並んでいるぷるもち水餃子をみて、ちゃんとお客様が手にとっている姿を見るとすごく嬉しいですね。あとはリニューアルで上司から味のOKがでても、ちゃんと工場で生産できているかは不安なんです。ですのできれいに生産まで流れると嬉しいというか、安心しますね。  編集オガワ やはり生産まで見て初めて、開発の喜びは得られるのですね。  大菅さん 私は、デザインの時点では勿論画像として、シミュレーションとしては何度も確認をするのですが、実物はやはり生産されたものでしか分からないんですね。特にぷるもち水餃子はトレーが入っていないので、お客様の目に留めていただけるように「くしゃっ」とならないようなパッケージ素材を選んでるんです。包材の中にぷるもち水餃子が入って、実物が届いたときに「ぴしっ」とパッケージが見えていると「できた!」という達成感がありますね。  編集オガワ パッケージデザインを手掛けているからこその喜びですね! お二人とも、本日はありがとうございました! 編集後記 入社から数年で主力の餃子の開発を任されている二人のインタビューでした。担当範囲は違いますが同期だからこそのコンビネーションで、遠慮なく意見を言い合える、というのは羨ましいなーと思う側面もありました。何よりもインタビューをしていて感じたのは、お二人のぷるもち水餃子への深い愛ですね。今度実際に、「焼きぷるもち水餃子」の作り方も詳しく聞いて、チャレンジしてみようと思います。 ちなみに、今回ストーリーを伺っている「ぷるもち水餃子」、日本アクセス様の「第9回 フローズン・アワード」にも参戦中です!当社の社長が直々にぷるもち水餃子を紹介していますので、良かったら動画をご覧ください。投票すると抽選で1,000円分のLINE pay残高をもらえるチャンスがあるんだとか…。ストックしてやー!

  • 2021年9月7日

羽根つき餃子開発リーダーに聞いてみた、大阪王将冷凍餃子の歴史3 驚き!5フリー実現への道

大阪王将羽根つき餃子では前回紹介の「フタいらず」に続くアップデートとして追加されたのが香料・甘味料・着色料・保存料・化学調味料の5つを使わない、という5フリー。 ▼前回紹介の「フタいらず」開発秘話はこちら ▼5フリーのご紹介は大阪王将ブランドサイトから 今回は5フリー開発のストーリーを、引き続き平山さんに伺います。 驚き!5フリー開発のきっかけ  編集オガワ そもそも冷凍食品で、しかも餃子だったりするとジャンクだなー、添加物盛り沢山なんだろうなーなんて思ったりするんですけど、違うんですか?  平山さん 全然違います!そもそも冷凍食品って、冷凍という技術を使っているんで保存料はそもそも、それほど必要無かったりするんですよ。  編集オガワ なるほど。納得だけど、意外な感じ。  平山さん そうそう、意外とこういった点は知らないお客様も多くて、ご説明させていただくと驚かれる方も結構いらっしゃいます。大阪王将の冷凍餃子については5フリー以前から保存料は使用していなかったんです。  編集オガワ そもそも5フリー、なんてなんで始めようと思ったんですか?  平山さん 実は素材を生かした味、というものを追求していく過程で生まれた発想だったんです。私達は日々メインの餃子についても改善の可能性を探っているのですが、その中で美味しさを実現するための選択肢のひとつとして、香料や着色料、化学調味料に頼らずに素材の力でそれを実現できないかと。  編集オガワ なるほど、味を追求する中での着想だったんですね。しかし「水いらず、油いらずで羽根つき」の発想もそこからだったような…味にうるさい会社ですねー。  平山さん 味にうるさい会社なんです!それが良いところでもあり、開発の悩みの種でもあり…ちょっとした原材料の変換なんかもすぐ気付かれてしまうんですよ。 やっぱり元々が外食から始まっているので、特にルーツである餃子については妥協は許されません。  編集オガワ 上司の○○さんですか?!  平山さん ○○さんだけじゃないですよ!上司の更に上の✖︎✖︎さんもだし、△△の□□さんなんて……  編集オガワ …別方向に話が進みそうなので、元に戻しましょう! そんな発想で取組み始めた5フリーですが、どこに苦労しましたか? 長い道のり…5フリー実現までの苦労  平山さん 味に関しては、化学調味料を使わないように味を仕上げるのが大変でした。不使用にすること自体は可能ですが、大阪王将のクオリティを落とさずに質感の高い味を作るのには非常に苦労しましたね。  編集オガワ それまで作っていた味の構成を変えるわけですから、大きな変化ですもんね。  平山さん そうなんです。水餃子にしても羽根つき餃子にしても、素材の加工をひとつひとつ見直して、その良さを最大限引き出す、というのが最初の取組でしたね。  編集オガワ (なんと面倒そうな…)  平山さん その上で、水餃子はどちらかと言えば早く完成形が見えました。先程説明したひとつひとつの素材の加工見直しに加え、味噌を入れてコクを出したり、調味料の見直しました。  編集オガワ 水餃子と羽根つき餃子で難易度が違うんですね。  平山さん そうなんです。レンジやスープで調理いただく水餃子と、焼き餃子である羽根つき餃子では、それぞれ求められる要素が違うんですね。  編集オガワ では、羽根つき餃子はどんな所に苦労したのでしょう?  平山さん 焼き餃子は焼くことによる香ばしさや具材の甘みが品位を上げるポイントでした。そこでこれまでのキャベツやにんにく、生姜に加え、ニラ、白菜などを加えています。  編集オガワ なんと、具材が増えてるんですね!化学調味料以外にも「フリー」にするために苦労した要素はありますか?  平山さん 着色料なんかも苦労しましたね。たれにも元々色とコク出しのために着色料を長年使用していましたが、代わりにりんご果汁を使うなど、工夫しています。  編集オガワ そうか、たれも5フリーなんですね。これだけのことを開発してしまうって、我が社のことながらスゴい!  平山さん 長いことかけて改良の試作を続けましたね。ですが私たち開発チームだけでなく、取引先の原料メーカー様にもアイデアをいただいたり協力をいただいたおかげで実現できた部分も結構あります。私達もまたメーカーですので、工場や品質保証といったメンバーにも、本当に何度もテストに協力していただきました。私たちだけではもっと苦労したか、実現も出来なかったかもな、と。会社全体が新しいことへのチャレンジに前向きなのは当社のいいところだなと思いますね。感謝です。  編集オガワ 他社に協力いただいたおかげでもあるんですね!この辺は食品メーカーとして大事なことですよね。そういえば平山さんはよく「私たち」という話し方をされますけど、開発チームはどんな雰囲気なんですか? チームの力で未来を切り拓く。開発チームと、その思い  平山さん 和気あいあいと働いていますよ!それぞれが自分のテーマで日々開発に取り組むので個人的なタスクは勿論あるのですが、そのタスクについても試食をみんなでして、意見を出し合ってアドバイスをもらったりしています。チームメンバーもグルメなのでちょっとしたひとことでも凄く良いヒントだったりするんです。  編集オガワ (上司とか関係なく、皆味にうるさいのでは…?) ここまでお話を伺っていて、開発って大変な仕事だなーと思いました。どんな想いで取り組んでいるのですか?  平山さん 大阪王将は飲食店から始まっているのですが、冷凍食品はお店とは利用いただくシーンが違うかな、と考えています。  編集オガワ そういえば東洋経済さんの大阪王将社長インタビューでもそんな話をされていましたね。 ▼インタビュー記事はこちら  平山さん そうです!冷凍食品の大阪王将は、お店の職人品質で味の追求はするのですが、家庭の味方になりたいと思っています。 今晩のおかずとしてあって良かった、いつも冷凍庫に置いておきたい、そんな食品を創りたいと思っています。焼き餃子なんかは、味は勿論ですが綺麗にやけたときは嬉しかったりするんですね。簡単・便利さだけでなく、そうした嬉しさや楽しさみたいなものも食品を通してご提供できたら良いな、と。  編集オガワ なるほど、そう考えると単に食品を作っているわけではないのですね。これから取り組んでいきたいことなどはありますか?  平山さん 感染症拡大の影響でお客様も中食が増え、中には「簡単・便利」だけでなく、多少手間がかかってもより本格的なものがほ欲しい、という声もいただいています。私達は両方に寄り添うなものを考えていきたいですね。 このような大きな環境変化だけでなくとも、お客様のライフスタイルは年々変わっていくので、3年後、5年後の生活を見据えて、開発も考えていきたいですね。  編集オガワ これからの冷凍餃子も楽しみです!ありがとうございました! 編集後記 これまで3回に渡ってご紹介してきた冷凍餃子の開発ストーリー。そこには個人プレーだけでなく他社様にも協力いただくことで実現できた、という工夫の数々やその根底にある「家庭の味方でありたい」という想いがあるということが分かりました。 大阪王将の開発チームは他にも個性豊かな面々が勢揃いですので、またストーリーと共に紹介していきたいと思います。 編集としても、こうしたストーリーと焼き立ての冷凍餃子をおつまみに、今晩の一杯をいただきます。

  • 2021年9月4日

羽根つき餃子開発リーダーに聞いてみた、大阪王将冷凍餃子の歴史2 フタいらず実現への道

大阪王将の羽根つき餃子、水や油をひかずに焼けるだけでなく、フタをしなくてもそのまま焼けて、綺麗に羽根がついてしまうって、ご存知でした? 実はお客様にもそのことを知らないままフタをして調理されている方もいらっしゃるようで、2021年2月にTBSさんの『坂上&指原のつぶれない店のでご紹介いただいたときにも、皆様が驚かれているのを嬉しく思いつつも、私達の広報活動が足りていないかも…なんて反省もしたものです。 外食のお店から冷凍餃子を作り始めるまでを教えていただいた前回ですが、 今回はアップデートにより「フタいらず」「油ハネない」が実現するまでの経緯について、リーダーの平山さんに伺いました。 第二章 冷凍餃子としてはセンセーショナルな「フタいらず」ができるまで  編集オガワ 前回羽根つき餃子ができるまでのお話を伺いましたが、なんで「フタいらず」なんてやろうと思ったのですか?  平山さん 私達は常に味を良くしていく、ということは考えているのですが、合わせて「水いらず」「油いらず」から更に便利にするには?ということを考えていました。 そんな中で、「フタがなくなったらもっと便利に、アウトドアでも焼いてもらえるのではないか」なんていうことを考えたんです。電子レンジで調理する食品ではなく焼いて調理するものですので、逆にそうしたシーンでの利用方法も楽しんでもらえるかな、と。  編集オガワ なるほど、    平山さん お客様に実際に冷凍餃子を焼いていただいているシーンなんかを見させていただいたこともあるのですが、一人暮らしをされているお客様の中にはそもそもフタ自体をもっていらっしゃらない方もいることを知ったこともあって。そうしたお客様は、そもそも大阪王将の羽根つき餃子を召し上がっていただけない事情があることも後押しの理由になりました。  編集オガワ 確かに。仕事が忙しかったり、そもそも外食やコンビニ中心の生活をしている方は、フタはわざわざ買わないかもしれませんね。僕も新卒で激狭の部屋に住んでいる頃はフライパンを置くスペースも勿体なかったです。笑  平山さん …  編集オガワ 今はフライパンもフタもありますよ!そんな中で、フタいらずの開発が進んでいくわけですが、こちらはどのような苦労があったのでしょうか?  平山さん やはり焼き餃子というお料理を作る中でフタが果たす役割は大きくて。まず「蒸し」の機能があるんですね。フタがあることで水分が水蒸気になって、餃子を芯まで温め、皮にも美味しく火が通っていくんです。 これがフタをなくすと、まず水分が無いので皮が乾いてカピカピになってしまうんです。  編集オガワ それは美味しくなさそうですね…  平山さん フタのもう一つの機能である「油ハネを防ぐ」というのもやはり難題で。フタをしていないので当然ながら油がハネてしまう。研究室のコンロ周りは毎回油まみれになってしまって、掃除が大変でした。笑  編集オガワ 味を創ったり、配合を考えたり、といった努力とは別の領域の、産みの苦しみですね。フタいらずで油ハネない、というのはどんなことを研究した結果できたのでしょうか?  平山さん まず最初に研究室でそれを実現するには、やはりレシピが重要ですね。得に今回は羽根の素になる部分のレシピ、水と油の配合がカギです。  編集オガワ 前回の羽根つき餃子を開発するまでにも重要だとお話されていた、水と油の配合ですね!でも考えてみると「水と油は混ざらない」なんて言葉があるくらいなのに、不思議な話ですね。  平山さん そうなんです!水と油は混ざらないからこそ、うまーい具合に水の中に油のつぶつぶが入っている状態を作り出すことが大事なんです。油の粒が細か過ぎてもだめだし、大きすぎてもだめ。その絶妙な状態を見つけるまでが難しいんですね。また、そういった状態を作り出すための最適な油を選んだり、配合だけでなく羽根の素の原材料をすべて見直すつもりで取り組んでいました。  編集オガワ 最初の羽根つき餃子ができるまでもそうですが、こちらもすごい苦労ですね。実際に最適なレシピができて、どうでしたか?前回では、工場で生産が始まるまで苦労がありましたが…  平山さん 今回は、これまでの経験があったので、最初に羽根つき餃子を開発するときほどは苦労しませんでした。といっても、新たに開発したものですので、ちゃんと作れるかな、とドキドキはしますね。  編集オガワ 経験が生きているんですね!  平山さん 発売前に、お客様に試食いただいたときに「焼けていく具合が見えていいね」と言っていただいたのは嬉しかったし、私達が気づいていなかった発見でしたね。 また、火が強すぎると、フタを開けたときには真っ黒、というような失敗も起きてしまう可能性があります。 フタがあると、透明のフタでも覗き込む必要があったり、または少しフタを開けてしまったり、といったこともあって、そうしてしまうとフライパンの温度が下がってうまく焼けなかったりするんです。 フタがないことで羽根が焼けていく具合が直感的にわかるので、うまく焼ける確率が上がったかな、と思います。  編集オガワ 確かに、パッと見て焼けてるかわかれば、焦げる前に火を止められますね!  平山さん 私達は「餃子を焼く」という工程を少しでも便利に、と考えていましたが、実際の調理って他の家事をしながらだったり、他の料理をしながらだったり、忙しいんです。餃子を焼くにしても、焼き具合ばかり気にしていられないんですよね。そうした忙しいなかでも、うまく焼ける餃子になったかなー、と思っています。  編集オガワ なるほど、家事全体のことを考えても便利なものができた、という訳ですね! テレビでも紹介された新しい便利機能が「フタいらず」。本来混ざらない「水と油」の混ざり具合で油がハネないようにする、というのは僕のような素人からすると不思議な話です。 次回はフタいらずに加えて開発された「5フリー」の開発秘話をうかがいます。

  • 2021年9月1日

羽根つき餃子開発リーダーに聞いてみた、大阪王将冷凍餃子の歴史

大阪王将の冷凍食品では最も代表的と言える羽根つき餃子。 パッケージから出すと冷凍された餃子の周りについている羽根の素の独特なフォルムや、焼き上がりのパリッとした香ばしい羽根の仕上がりを見ると「どうやったらこうなるの?」とつい思ってしまいます。 今回はその羽根つき餃子ができるまでのお話を、商品開発マネージャーの平山さんに聞いてみました。 序章 大阪王将が自社製冷凍餃子を始めるまで 編集オガワ 早速ですが、そもそも大阪王将は外食のお店ですよね?どんな経緯で冷凍食品を始めたのですか? 平山さん もともとは大阪は京橋でお店を出し、外食しかやっていなかった大阪王将ですが、ご家庭用の食事という目線では「ナホ」というテイクアウトの形で餃子の作っていました。その後、餃子専用の工場もでき生協様向けに餃子をつくっていくことになり、更には一般にスーパー様でも餃子を購入いただけるように、ということ冷凍餃子の開発が始まりました。 編集オガワ 持ち帰り用の生餃子、というのは冷凍ではないですよね。なぜ冷凍で作ろうと思ったのでしょうか?誰かノウハウを持っていたのですか? 平山さん 最初は誰もわかっていませんでした、自社の工場ができる前は調味料やレシピを送って他社様に委託していたんです。そこから委託先さんにも指導を仰ぎながらノウハウを積み重ねて自社内製化を進めることができたんです。現在もこうした委託企業と協同して品位や、品質の向上を図っているんですよ。 編集オガワ 我が社だけではなく、他の会社にご協力いただいて初めてできたんですね。 平山さん 最初は「美味しい冷凍餃子を作るんや」って、気持ちと勢いで初めて、何とかしてしまうあたり、弊社らしいなと思う部分もありますね。笑 編集オガワ この冷凍餃子は、すでに「羽根つき」だったのでしょうか? 平山さん いえ、最初は「羽根つき」ではありませんでした。最初は大阪王将として冷凍餃子を発売し、その後リニューアルで「たれ付」の冷凍餃子を発売したんです。これが多くのお客様に気に入っていただけるきっかけになりました。 編集オガワ なるほど、それで今も羽根つき餃子はたれが付いているんですね。 羽根付き餃子 開発のきっかけ 編集オガワ 「羽根つき」になったのは「たれ付」の後でしょうか? 平山さん そうです、ちょうど私が入社したのがこの頃で。入社したてで会社にも慣れていませんでしたが、新分野への挑戦をするチームに加入することになり、驚いたのを覚えています。 編集オガワ 最初から「羽根つき」にしよう、という話にはなっていたのですか?なぜ羽根を付けようと思ったのでしょうか? 平山さん そうですね、「たれ付」の次に「羽根つき」の構想はあったようです。そもそも私達は餃子の味にはそれまでの開発でも継続的に取り組んでいて、「今よりも更に、ご家庭で本格的な餃子を冷凍で実現するにはどうすればよいか?」を考えた結果、羽根つき餃子のアイデアが出てきたそうです。 そして、「羽根」を開発する過程で「油いらず、水いらず」の調理法も合わせて実現できることになりました。 編集オガワ 大きな変化ですね。どうやってそのようなことが実現できたのでしょうか? 平山さん 「羽根つき」で「油いらず、水いらず」を実現するには「羽根」の素である穀物粉と水、油の配合が鍵なんです。 当時はまだ開発メンバーも少なかったので、とにかくその配合を何通りも考え、それを作っては焼き、作っては焼き、を繰り返して最適なものを探す、という開発をしていました。当時は水と油の粒子を観察するための顕微鏡も持っていなくて、近くの大学に借りていたこともあったんですよ。笑 もちろん、今はしっかりした顕微鏡を購入してもらっていますが。 編集オガワ もしかして、関東工場の近くの東洋大学ですか? 平山さん そうです、それがきっかけで東洋大学さんとの産学連携の研究への取組が活性化しました。 編集オガワ それだけの苦労があった、ということは、最初に羽根付きが成功したときにはすごい達成感があったのではないですか? 平山さん それがそうでもないんです。 研究室でうまい配合ができてうまく焼けたとしても、それが工場のラインでちゃんと再現できないと、お客様の元に羽根つき餃子を届けることができないんですね。なので研究室で成功をした後は工場での成功を目指す努力が必要で、これが更に大変でした。 編集オガワ 工場で安定してつくる、というのは大変なんですね。どんなところが難しいのでしょうか? 平山さん それまでのたれ付餃子とは大きく仕様が変わるので、設備や餃子を載せるトレーも変更の必要がありました。 変更した設備を使って重量がぶれないようにしたり、餃子をうまくトレーのポケットに入るようにしたり、バッター液を安全に安定して仕込むようにしたり、と全行程で試作と同じようにトライ&エラーを繰り返していましたね。 生産部や品質保証部といった開発以外のメンバーも総出でテストや会議を繰り返していました。 編集オガワ 聞いているだけでも気が遠くなるような苦労ですね。 平山さん そうですね、ですので研究室での成功よりも、むしろ達成感があったのは工場でちゃんと餃子ができたときですね。どちらかというと達成感、というよりは「やっとうまく流れたー」という安堵の気持ちの方が強かったと思います。 「水や油を使わずに餃子を焼けるしくみ」と「羽根がつくしくみ」というのはそれぞれ別物に感じますが、「羽根を追求した結果水や油を使わない方式に行き着いた」というのは面白い話ですね。 まだ設備が整っていない頃からトライ&エラーを繰り返して冷凍餃子が作られることになったと考えると、今の「フタいらず」というのはいったいどうやってできたの?なんて思ってしまいます。 次回はその「フタいらず」開発秘話を伺います。