4月13日に開幕した「大阪・関西万博」。プレスデーがひと足早く4月9日に開催されましたので、勇んで会場へ。「いらっしゃいませ」とおじぎする公式キャラクター、ミャクミャクの大きな像を撮影していたら、何やら見慣れた「大阪王将」の赤い法被。イートアンドグループ外食事業の皆さまが、商売繁盛、万博成功祈願の「宝恵駕行列(ほえかごぎょうれつ)」に参加していました。
サステナブルな外食産業へ
万博会場内で約1000席という大型飲食施設、「サスティナブルフードコート大阪のれんめぐり~食と祭EXPO~」(白ハト食品工業㈱運営)に、「大阪王将」も出店しています。オープン後、さぞかし話題になったことだろうと思っていたら、イートアンドホールディングス2025年2月期業績発表記者会見で、仲田社長が「炎上しました」と報告。メニューの中に、松阪牛トッピングの餃子があり、価格が2300円で「高すぎる!」との批判がSNS上で盛り上がった、とのこと。
開催前の万博グルメ発表会で、「大阪王将」メニューは、サステナブル飼料で育てた大阪ウメビーフトッピングの炒飯が話題でした(本コラム:2025年1月)。同フードコートでは、今回の万博のテーマ「いのち輝く未来社会のデザイン」に即して、外食産業のサステナブルを考える多彩な企業が出店しています。ロボット活用(大阪王将、くくる)やプラントベース食材のメニュー。フードコート自体の運営も、有料予約席を設けるなど、大阪らしい会場の賑わいと共に、外食産業の新しさも感じさせるフードコートです。
これから万博見学を予定している皆さま、「大阪王将」には、普通の餃子メニューもありますのでご安心を。
子どもたちに見てほしい未来の「れいとうしょくひん」
万博会場の「食」に関わる話題は、いろいろ取り上げられていますが、圧巻は小山薫堂氏プロデュースによるシグネチャーパビリオン「EARTH MART」でしょう。オープニングは「いただきます」。大画面で松本潤さんが白いごはんを黙々と食べる動画が終わると、「EARTH MART」の入口が開きます。そして、私たちの「食」が「いのち」とつながることを示す展示、さらに未来「食」を感じる展示へとつながります。
その中には、「FROZEN FOOD(れいとうしょくひん)」コーナーもあります。そして、梅干しをはじめ日本が生み出し世界に誇れる「食」のセレクション、テーブルを囲んで「食」を楽しむ意義など、いろいろ考えさせられる展示へとつながっています。
同パビリオンで紹介されている未来の冷凍食品は、さらに進化して、食材を無駄なく凍結粉砕・パウダー化して長期保存する展示が目を引きます。パウダーから再成形する時には、元の食品にもなるし、新しい食品にもなれる、という「未来」が展示されています。また、お米についても、ニチレイフーズの展示協賛により、破砕米の米粉と凍結粉砕食材を合体させた「再生米」が各種展示されています。
さて、パビリオン内各コーナーのひらがなパネルが気になったのですが、公式ガイドブックを読んで納得。小山薫堂さんは、小学生こそ見て、感じてほしいと分かりやすく、展示物も低い目線で確認できるようにと工夫したそうです。
※「進化する冷凍食」
簡単・便利なだけではない冷凍食品の価値
「EARTH MART」出口は、静けさの森エリアにある「EARTH TABLE~未来食堂~」へとつながります。同食堂は1つの建物に複数の店舗が軒を並べる長屋スタイル。ニチレイフーズのレストラン「テラスニチレイ」の隣は、ケンミン食品によるグルテンフリーラーメンを提供する「GF RAMEN LAB」、その隣はブラックモンブランの竹下製菓によるカフェ「Earth Sweets」です。
「テラスニチレイ」では、レジに続く店内壁面に各種動画を流していて、簡単・便利なだけではない冷凍食品の価値を伝えています。急速凍結で栄養をしっかりとキープして、長期保存ができ、使いたい分だけ使えてむだがなく、サステナブルである冷凍食品。そんな魅力を広く知らせていくこと、新時代の外食産業へ貢献していくことが同店の狙いです。
同社の万博出店は、1970年大阪万博以来2度目です。前回の「テラス日冷」は、冷凍食品のハンバーグなどを使用したメニューを提供して、冷凍食品を活用したチェーンレストラン隆盛の契機になりました。今回の万博では、直火炒め炒飯の冷凍食品をベースに、客の好みに合わせたカスタマイズ炒飯を調理ロボットが炒めます。
ロボットで炒飯を炒めるという調理は、「大阪王将」とかぶっているようですが、ロボットメーカーによると、「冷凍炒飯を炒めるプログラムとごはんから炒めるプログラムは全く異なります」とのこと。便利なロボットを使うのも、人間の知恵がまず重要、ということですね。
物価上昇、でも購入、その期待に応える業界へ
さて、日本冷凍食品協会は4月、“冷凍食品の利用状況”実態調査結果を発表しました。冷凍食品利用層の一般消費者を対象にしたアンケート調査結果です。今回の調査は、さまざまな食品の価格が上昇する中での購入意欲がひとつの焦点になりましたが、冷凍食品はほかの食材・食品に比較して購入量があまり変わらない、という結果が出ました。
昨年も「タイパ(タイムパフォーマンス)が良い」から冷凍食品を購入しているという方が多い、という結果が出ていましたが、今回も同様でした。「必要性が変わらない」から購入する、という意見が目立ち、暮らしの中で必要とされる食品になったのだぁと実感できる調査結果でした。
それはつまり、期待に応える食品産業にならなくてはいけない、という強い想いを業界人に感じさせるものでもあります。
未来に夢を抱く子どもたちにも「冷凍食品ってスゴい!」と感じてもらえるように、私も生産者の熱い想いを伝えていくライフワークをますますまじめに、力を入れていきたいと決意した春でした。