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冷凍食品4つの条件が生み出す多彩なメリット

2024年1月、能登半島地震、羽田空港衝突事故と天災、人災で明けた正月です。被災地に早く安心できる生活が戻るようにと願う毎日。

私の新年最初の仕事は、自身のウェブサイト「エフエフプレス」で、一年の計を記すべくコラムを書くことですが、その筆が止まるほど動揺し、さらに自分が乗っていた飛行機が羽田空港に降りることができず、出発地点に引き返したこともあって、なんとか気持ちを整理してから1月3日に書き上げました。

そのテーマは、冷凍食品が生活者にもたらす価値、メリットを正しく伝えることに引き続き尽力していきたい、というものでした。

2023年末には、高島屋の冷凍配送クリスマスケーキが崩れた状態で多数配達された一件に関連して、複数メディアからコメントを求められました。私が強調したのは、その事故は、生産管理の甘さが引き起こしたものと推察できること、そして、ひとつの事故と冷凍食品そのものの価値は、全く次元の異なるものである、ということです。

コメントを求めてきた1メディアの論調は、「冷凍食品強化に冷や水」でした。確かに百貨店業界では人ごとではない事故であり、生産委託先の管理を一層強化して品質保証を徹底する動きが強化されたと思われます。

崩れたケーキの画像を見て、ほら冷凍だから、、、といった誤解、混同を生まないためにも、冷凍食品の特性と生活者にもたらすメリットをしっかり伝えて、理解していただけるよう努力をしていかなくてはならない、ということです。

本コラムでは前回、「冷凍食品とは思えな~い」コメント撲滅運動!を宣言しましたが、その運動を推進するためにも、まずは冷凍食品の4つの条件、それがもたらすメリットをしっかりと伝えたいと思います。

 

歌って覚えてほしい♪

「冷凍食品のはなし」と題して毎月書いてきて、2年目の後半になっているのですが、振り返ってみると、冷凍食品の4つの条件をきちんとご紹介していませんでした。

業界では、冷凍食品には4つ条件があると定義していますが、ご存じでしょうか?

なんと、業界人でも、質問すると即座にちゃんと答えられる人は少ないのです。「急速凍結?」くらいの答は返ってくるのですが、ベテランより研修を受けたばかりの新入社員がスラスラと回答したりします。

もう20年近く前になるのですが、これではいけない、業界人から徹底しなくてはと、冷凍食品の4つの条件を盛り込んだ歌を私は作りました。歌といっても替え歌なのですが、本稿ではその替え歌にのってご紹介したいと思います。

元歌は、ちあきなおみ「四つの約束」です(60歳以下の人、分かるかなぁ~)

『冷凍食品四つの約束』

♪たとえば私が冷凍食品食べるなら~4つの約束守って、守ってほしいの~

♪ひとつ、「前処理」してよね

一つめの条件、それは「前処理」です。

前処理とは、洗って、切って、調理して(素材の場合はブランチング=下茹でなど)、可食部だけになっていること。つまり、魚をまるごと凍結した場合などは冷凍魚であって冷凍食品ではありません。

この前処理をすることのメリットは、解凍・加熱ですぐ食べられること、生ゴミが出ないことです。また、台所や厨房でやる下準備や調理を生産者が代って行うことで、お家で、またフードサービスの調理現場で「手間抜き」のメリットが生まれます。

♪ふたつ、「急速凍結」

二つめの条件は、「急速凍結」です。

これはご存じの方が多いと思います。簡単に言えば、家庭用の冷凍庫で凍らせるような場合は「緩慢凍結」、冷凍食品の生産現場にある急速凍結機で凍らせるのが「急速凍結」です。凍らせる速度が遅いか早いかで品質に差が出ます。

▲日本冷凍食品協会ウェブサイトより

緩慢凍結の場合は食品の中にできる氷の結晶が大きくなって、食品の組織を破壊してしまいます。これにより解凍した時に「ドリップ」と呼ばれる食品内の水分が流れ出てしまう現象が起こります。急速凍結の場合は氷の結晶は小さくなり、食品の組織を壊しにくくします。つまり、解凍した時に元の状態に戻りやすくなるのです。

組織が壊れにくいということは、食感や味、栄養素をそのまま保つこと、でもあります。

では、どれくらい早ければ良いかというと、最大氷結晶生成温度帯(凍りはじめから食品の水分の80%が氷になる温度帯)を30分以内に通過するのが目安です。家庭用の冷凍庫の場合はその10倍時間がかかります(5~6時間くらい)。ちなみに凍り始める温度は食品によって微妙に異なりますが、「最大氷結晶生成温度帯」の目安は、-1℃~-5℃です。そこからさらに-20℃くらいになって凍結完了となります。

♪みっつ、しっかり「パック(包装)」して

三つめの条件は、「適切な包装」です。食品がむきだし状態ではなく、衛生的に包装されていること。また、型崩れしないようにするのも包装の役割です。

包装には、使う人に情報を伝える、という機能もあります。つまり、商品名、取り扱い方法、調理の仕方、法律で定められている項目(原材料や製造者、販売者等)などなど。きちんと読んで、おいしく解凍・調理をしたいですね。

♪よっつ、「-18℃」♪(ここはコブシをきかせて歌いましょう)

四つめの条件は、「品温を-18℃以下で保管」していることです。

製造後の貯蔵、輸送、配送、販売まで、すべて一貫して-18℃以下で管理するのが冷凍食品です。一貫した低温管理をコールドチェーンと言います。チェーンがぴんとはった状態を想像してください。チェーンのどこか一つでも外れてまったら、つまり温度が上がってしまったら、ぴんとはったチェーンは落ちてしまいます。

もちろん利用する人も、購入してから持ち帰り、ストックしている状態までコールドチェーンを意識して扱うこと、適切な解凍・調理をすることで、冷凍食品は100%のパフォーマンスを発揮します。

-18℃以下を常に保って保管すれば、初期とほぼ同等の品質を約1年間保持できることが保存実験で分かっています。賞味期限が長いということは、ロスが出にくい、SDGsに貢献できる食品なのです。

▲日本冷凍食品協会ウェブサイトより

さらに、-18℃以下の温度帯では、微生物は活動できない。つまり菌が繁殖できないということは腐らない。腐らないものには保存料は必要ありません。冷凍食品は、保存料を使わなくて良い食品なのです。

♪四つの約束守って、守ってくれたなら~冷凍食品おいしい~恋をしちゃうわ~♪

いまどきの歌にも

約20年前に作った「冷凍食品四つの約束」。カラオケで歌えば冷食協役員から「認定証!」と認められていたのですが、時は移り元歌を知っている方々の比率も低下してまいりました。そこで、元歌を映画「FROZEN(アナ雪)」から、「ありのままFROZEN」にしたところ、かなり浸透力がありました。

♪ありのままのメニュー凍らせるのよ、ありのままでおいしくなるの

♪何も加えない ただ凍らせただけ

♪少しもまずくないわ

そして、未完成の新曲は「手抜きじゃないのよ冷食」なのです。これも平成生まれは知らない元歌かなぁ。