- 2021年9月7日
羽根つき餃子開発リーダーに聞いてみた、大阪王将冷凍餃子の歴史3 驚き!5フリー実現への道
大阪王将羽根つき餃子では前回紹介の「フタいらず」に続くアップデートとして追加されたのが香料・甘味料・着色料・保存料・化学調味料の5つを使わない、という5フリー。 ▼前回紹介の「フタいらず」開発秘話はこちら ▼5フリーのご紹介は大阪王将ブランドサイトから 今回は5フリー開発のストーリーを、引き続き平山さんに伺います。 驚き!5フリー開発のきっかけ 編集オガワ そもそも冷凍食品で、しかも餃子だったりするとジャンクだなー、添加物盛り沢山なんだろうなーなんて思ったりするんですけど、違うんですか? 平山さん 全然違います!そもそも冷凍食品って、冷凍という技術を使っているんで保存料はそもそも、それほど必要無かったりするんですよ。 編集オガワ なるほど。納得だけど、意外な感じ。 平山さん そうそう、意外とこういった点は知らないお客様も多くて、ご説明させていただくと驚かれる方も結構いらっしゃいます。大阪王将の冷凍餃子については5フリー以前から保存料は使用していなかったんです。 編集オガワ そもそも5フリー、なんてなんで始めようと思ったんですか? 平山さん 実は素材を生かした味、というものを追求していく過程で生まれた発想だったんです。私達は日々メインの餃子についても改善の可能性を探っているのですが、その中で美味しさを実現するための選択肢のひとつとして、香料や着色料、化学調味料に頼らずに素材の力でそれを実現できないかと。 編集オガワ なるほど、味を追求する中での着想だったんですね。しかし「水いらず、油いらずで羽根つき」の発想もそこからだったような…味にうるさい会社ですねー。 平山さん 味にうるさい会社なんです!それが良いところでもあり、開発の悩みの種でもあり…ちょっとした原材料の変換なんかもすぐ気付かれてしまうんですよ。 やっぱり元々が外食から始まっているので、特にルーツである餃子については妥協は許されません。 編集オガワ 上司の○○さんですか?! 平山さん ○○さんだけじゃないですよ!上司の更に上の✖︎✖︎さんもだし、△△の□□さんなんて…… 編集オガワ …別方向に話が進みそうなので、元に戻しましょう! そんな発想で取組み始めた5フリーですが、どこに苦労しましたか? 長い道のり…5フリー実現までの苦労 平山さん 味に関しては、化学調味料を使わないように味を仕上げるのが大変でした。不使用にすること自体は可能ですが、大阪王将のクオリティを落とさずに質感の高い味を作るのには非常に苦労しましたね。 編集オガワ それまで作っていた味の構成を変えるわけですから、大きな変化ですもんね。 平山さん そうなんです。水餃子にしても羽根つき餃子にしても、素材の加工をひとつひとつ見直して、その良さを最大限引き出す、というのが最初の取組でしたね。 編集オガワ (なんと面倒そうな…) 平山さん その上で、水餃子はどちらかと言えば早く完成形が見えました。先程説明したひとつひとつの素材の加工見直しに加え、味噌を入れてコクを出したり、調味料の見直しました。 編集オガワ 水餃子と羽根つき餃子で難易度が違うんですね。 平山さん そうなんです。レンジやスープで調理いただく水餃子と、焼き餃子である羽根つき餃子では、それぞれ求められる要素が違うんですね。 編集オガワ では、羽根つき餃子はどんな所に苦労したのでしょう? 平山さん 焼き餃子は焼くことによる香ばしさや具材の甘みが品位を上げるポイントでした。そこでこれまでのキャベツやにんにく、生姜に加え、ニラ、白菜などを加えています。 編集オガワ なんと、具材が増えてるんですね!化学調味料以外にも「フリー」にするために苦労した要素はありますか? 平山さん 着色料なんかも苦労しましたね。たれにも元々色とコク出しのために着色料を長年使用していましたが、代わりにりんご果汁を使うなど、工夫しています。 編集オガワ そうか、たれも5フリーなんですね。これだけのことを開発してしまうって、我が社のことながらスゴい! 平山さん 長いことかけて改良の試作を続けましたね。ですが私たち開発チームだけでなく、取引先の原料メーカー様にもアイデアをいただいたり協力をいただいたおかげで実現できた部分も結構あります。私達もまたメーカーですので、工場や品質保証といったメンバーにも、本当に何度もテストに協力していただきました。私たちだけではもっと苦労したか、実現も出来なかったかもな、と。会社全体が新しいことへのチャレンジに前向きなのは当社のいいところだなと思いますね。感謝です。 編集オガワ 他社に協力いただいたおかげでもあるんですね!この辺は食品メーカーとして大事なことですよね。そういえば平山さんはよく「私たち」という話し方をされますけど、開発チームはどんな雰囲気なんですか? チームの力で未来を切り拓く。開発チームと、その思い 平山さん 和気あいあいと働いていますよ!それぞれが自分のテーマで日々開発に取り組むので個人的なタスクは勿論あるのですが、そのタスクについても試食をみんなでして、意見を出し合ってアドバイスをもらったりしています。チームメンバーもグルメなのでちょっとしたひとことでも凄く良いヒントだったりするんです。 編集オガワ (上司とか関係なく、皆味にうるさいのでは…?) ここまでお話を伺っていて、開発って大変な仕事だなーと思いました。どんな想いで取り組んでいるのですか? 平山さん 大阪王将は飲食店から始まっているのですが、冷凍食品はお店とは利用いただくシーンが違うかな、と考えています。 編集オガワ そういえば東洋経済さんの大阪王将社長インタビューでもそんな話をされていましたね。 ▼インタビュー記事はこちら 平山さん そうです!冷凍食品の大阪王将は、お店の職人品質で味の追求はするのですが、家庭の味方になりたいと思っています。 今晩のおかずとしてあって良かった、いつも冷凍庫に置いておきたい、そんな食品を創りたいと思っています。焼き餃子なんかは、味は勿論ですが綺麗にやけたときは嬉しかったりするんですね。簡単・便利さだけでなく、そうした嬉しさや楽しさみたいなものも食品を通してご提供できたら良いな、と。 編集オガワ なるほど、そう考えると単に食品を作っているわけではないのですね。これから取り組んでいきたいことなどはありますか? 平山さん 感染症拡大の影響でお客様も中食が増え、中には「簡単・便利」だけでなく、多少手間がかかってもより本格的なものがほ欲しい、という声もいただいています。私達は両方に寄り添うなものを考えていきたいですね。 このような大きな環境変化だけでなくとも、お客様のライフスタイルは年々変わっていくので、3年後、5年後の生活を見据えて、開発も考えていきたいですね。 編集オガワ これからの冷凍餃子も楽しみです!ありがとうございました! 編集後記 これまで3回に渡ってご紹介してきた冷凍餃子の開発ストーリー。そこには個人プレーだけでなく他社様にも協力いただくことで実現できた、という工夫の数々やその根底にある「家庭の味方でありたい」という想いがあるということが分かりました。 大阪王将の開発チームは他にも個性豊かな面々が勢揃いですので、またストーリーと共に紹介していきたいと思います。 編集としても、こうしたストーリーと焼き立ての冷凍餃子をおつまみに、今晩の一杯をいただきます。