羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け
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冷凍食品ジャーナリスト山本純子の『冷凍食品のはなし』

  • 2024年5月23日

冷凍食品はコミュニケーションツールになる!!

訪日外国人観光客が驚き、ニコニコして写真を撮る渋谷のスクランブル交差点。渋谷駅前のハチ公像を背にして対角にある「SHIBUYA TSUTAYA」(カルチュア・コンビニエンス・クラブ㈱:CCC)が、4月25日に全館リニューアルオープンしました。その3階と4階で営業する「SHARE LOUNGE」(https://tsutaya.tsite.jp/store/lounge/)のフリーフードコーナーに、今回初めて冷凍食品が加わりました。   時間制で利用料金を支払えば、快適空間で仕事や面談ができて、フリードリンク・フリーフード。つまり、飲み放談、食べ放談。従来フリーフードは、ナッツバー、お菓子、パンなどでしたが、そこに冷凍食品が初登場したわけです。 “冷凍食品食べ放題”といえば、本コラムでも日本アクセスのイベント「チン!するレストラン」(2022年東京、2023年大阪、2024年名古屋)、大阪・心斎橋のTSUTAYA EBISUBASHI地下に昨年12月オープンした「レンチン食堂」(CCCのチャレンジ業態)をご紹介しました。 “冷凍食品がいろいろ食べられること”は、ここ数年高い関心事になってきたようです。そして、いよいよ都内で、CCCが常設店のサービスとして冷凍食品食べ放題をスタートしたのです。 実際に体験してみると、何を食べようかというワクワク感があって、レンジを置いているところはちょっとオシャレなアイランドキッチン風なので気分が上がります。冷凍食品売場のようなショーケースから、自由に出して食べられる、という非日常感が楽しいスポットです。 家なら冷凍食品を食べる時は1人か、もしくは家族と一緒ですね。シェアラウンジならば、1人で食べることもありますが、友人と一緒にあれこれ選んで「それ、どう?」「あ、美味しいね」といった会話が出てきそう。もしかすると、ショーケース前で悩んでいる人に、「あ、それってこの間食べたけど美味しかったですよ」などといった会話も生まれるかもしれません。   渋谷のスクランブル交差点を眺めながら冷凍食品を楽しめる場所 「SHIBUYA TSUTAYA」の2階はスターバックスの新コンセプト店、その上3階・4階がシェアラウンジです。そのどのフロアもスクランブル交差点に面して大きな窓があり、窓側を陣取れば、人が行き交う光景を楽しみながら飲食ができます。外国人観光客の人気スポットにもなりそうです。さらに外国人が日本の冷凍食品を初体験する場にもなるかもしれません。 実際、大阪の「レンチン食堂」では、外国人の利用も増えつつあるとのこと。日本のクールな食文化体験に、冷凍食品が仲間入りしています。   シェアラウンジの3階と4階はコンセプトが異なり、3階は日本の人気サブカルチャーコンテンツ(最近はかっこよく“IPコンテンツ”と言います)のひとつである、フィギアの展示が楽しめるラウンジです。等身大フィギアもあります。席は2人がけソファ席が中心で、好きな趣味を語りあう場、と言えます。 一方4階は、落ち着いた書斎の雰囲気で、モニターを備えた半個室もあります。PCを持ち込んだり勉強したりといった、1人の利用を前提にしたシェアオフィス用途を想定しています。 シェアラウンジで数時間も居ればお腹が空くので、スナック的なものばかりでなくしっかり食事を提供できるサービスが必要だとCCCではかねてよりその対応策を検討していたそうで、昨年大阪で開催された「チン!するレストラン」の視察が冷凍食品の採用に結びついたと聞きました。 シェアラウンジの料金設定にはアルコールコースもありますので、仕事が終わってちょっと1杯のおつまみにも冷凍食品は活躍しそうです。   美味しくて満足、そして手軽 楽しい空間を提供できる冷凍食品 コロナ禍で在宅ワークが盛んだった時、自宅で手軽に、美味しく食べられる食事として冷凍食品は注目されました。もちろん、以前より、すぐに美味しいごはんを提供できるという冷凍食品のメリットは、さまざまな新しいビジネスにつながってきました。 一例は、SL Creations(SLC、元シュガーレディ、冷凍食品宅配大手)が展開している「オフィス プレミアム フローズン」(OPF)事業です。それは、いわばオフィスグリコの冷凍食品版。“置き冷食”です。企業が福利厚生の一環としてOPFを契約、毎月一定料金を支払うと、冷凍庫、電子レンジ、紙皿やカトラリーが設置されて、SLCの販売員が商品等の補充をします。企業の補助により、従業員は、1つ100円、200円といった格安の料金でSLCブランドのこだわり冷凍食品を購入でき、ランチを食べたり、残業のための夕食をとったりすることできる、というサービスです。 社員食堂を運営できない中小規模のオフィスで、従業員の食事問題は深刻です。よい環境が整っていないということが転職理由にならないようにと、福利厚生担当者は頭を悩ませているとか。 冷凍食品メーカーでも、そんな職場の食事問題解決策に対応した新しい取り組みをしています。日清製粉ウェルナは、冷凍自販機を活用した販売もできる「トレイフォーク付き 冷凍レンジ用パスタ」を開発、販売しています。 また、今年5月には日清食品が、ネット通販で販売している『完全メシ』ブランドの冷凍食品「完全メシDeli」を職場に届ける事業、「完全メシスタンド」の本格展開に入りました。これも“置き冷食”的事業です。しかも33種類の栄養素が入っている、という商品コンセプトから、健康経営に取り組む企業に高く評価されているようです。   当たり前の家庭用に納まりきらない冷凍食品 家庭用冷凍食品は、“家庭で食べる”から家庭用なのですが、どうやらそんな当たり前のことが当たり前でなくなってきているようです。 例えばトレーに入ったパスタや丼メニュー、お弁当タイプのワンプレート商品などは、ストックしておく冷凍庫と電子レンジ、そして食べる場所さえあれば、職場でも学校でも、屋外でも手軽にお腹を満たせます。紙皿や割り箸などを備えておけば、トレー入りでなくてもOK。 家庭用冷凍食品は、家庭の枠からはみ出ていて、もはや「お店以外用」?になっているのかもしれません。

  • 2022年8月25日

冷凍の方が「栄養が摂れる?!」37年前の『事件』

「女子栄養大学の吉田企世子先生から電話がかかってきてね、どうもおかしいって言うんだけど、『先生、まったくおかしくありません。当然です』ってお答えしたんだ」と得意顔で語った、日本冷凍食品協会の比佐勤常務理事(当時、後に専務理事)の顔が浮かびます。下表「生鮮ほうれん草と冷凍ほうれん草のビタミンCが含有量」を見るたびに蘇る思い出です。もう37年前のことなんですね。 (一社)日本冷凍食品協会ホームページより 当時の女子栄養大学の研究室、吉田先生は学生に、生鮮のほうれん草と冷凍のほうれん草のビタミンC量を計測して比べるという課題を与えました。ところが、何度計っても生より冷凍の方が格段にビタミンC量が多く、「おかしい」ということになって、冷凍食品協会に問い合わせたのです。野菜・果実の栄養成分、品質研究が専門分野であった吉田先生ですが、生鮮・冷凍の分析結果は同等か生鮮が勝る、と予測していたのでしょうね。その時期は、表にある6月、初夏のことだったと推察できます。 冷凍野菜はいつでも『旬』 問い合わせを受けた比佐氏は、冷凍食品の賞味期限は約1年間なので、冷凍野菜は最も生鮮品が多く出回り価格も安定している旬の時期にまとめて生産できること。旬の野菜が美味しく栄養価が高いことは当然。冷凍野菜はブランチング(下ゆで)して急速凍結していること。急速凍結は食品の組織をなるべく壊さずに凍らせておく技術なので、適切に解凍すれば栄養価は旬の時期そのままであること、などを解説したそうです。 そう、ほうれん草の旬は冬場。その組織が壊れないように保たれているということは、冷凍ほうれん草はいつでも『旬』。説得力があります。 テレビで公開された最新実験結果でも、冷凍ほうれん草の「旬」の栄養を確認。 https://frozenfoodpress.com/2022/08/27/asaichi-frozen-vegi-vitaminc/ その当時、生鮮野菜と冷凍野菜の栄養量を比べる実験を行った例はなく、業界にとっては朗報、大喜びであったと思います。実際、それ以降、冷凍食品協会は、吉田先生の研究結果(1985年)を活用して、冷凍食品のメリットをPRしています。 余談ですが、「日本食品標準成分表」に、ほうれん草の栄養成分が、通年平均と夏採り・冬採り別に掲載されるようになったのは、2015年改訂(七訂)からです。  -18℃以下で1年間、これが経済的メリット 「冷凍食品では栄養が摂れない」「冷凍したら当然栄養は壊れているはず」といった誤解は、なかなか払拭できずにいるのですが、旬の時期に凍結した野菜と端境期の生野菜の栄養成分比較にふれると、皆一様にびっくりします。 年1回、旬の時期に作る、という話も、四季が巡って1年が経つ日本の消費者の感覚にフィットする話ですね。 さて、冷凍食品メーカーの多くが採用している約1年間という賞味期限、これは、-18℃以下を保って保管するという大前提の条件があります。もっと低い温度帯なら、賞味期限はより長く延ばすことができるのですが、製造した時の品質がほぼ同等に1年保つことができて、経済的にメリットのある温度帯として-18℃以下(華氏では0℉以下)が選ばれています(国際規格のコーデックス規格も同様)。 「グリーンピースのビタミンC保持に及ぼす温度の影響」(デートリッヒ、1957年)のグラフをご覧ください。急角度でビタミンC量が減少していく他の温度帯に比較して、-18℃以下ではほとんどと言ってよいほど保存日数の影響が低いことが表われています。 ちなみに、日本の食品衛生法による冷凍食品の品温は、微生物が繁殖できない-15℃以下と定められています。冷凍食品業界は、国の基準より厳しい国際規格を自主規格として採用し、より良い品質保持に努めているのです。  栄養バランスの良い食事は、、、自分で考えましょう 冷凍食品だけ食べてくださいとは言っていないのですが、時折、「冷凍食品ばかり食べて山本さんの健康状態が心配です」という意味不明のお気遣いをいただくことがあります。 ほぼ健康です。リスクは酒量のみ、と認識してできるだけ適量摂取に努力しております。 同じように「外食ばかりだと栄養が偏る」といった話も昔からよく聞きます。なんか変、と常々思ってきました。何をどれだけの量食べるかを考えて食事をすること、これは基本的な生きる力ではないでしょうか。 学校給食を長く取材していましたが、1日のバランス、1週間のバランスを考えること。多少太っていても気にせず、健康に過ごしている今より太らないように気をつけること、などなど、栄養指導をされている先生方からさまざまなお話をうかがいました。 冷凍食品はほぼ全ての商品に栄養表示があります。原材料も分かります。とても便利ですね。何を加えてバランスを取れば良いかが分かります。 かつて、大阪のテレビ番組に出演した際、「肉、野菜、炭水化物すべて入っている。餃子は”完全食”や」と力説した芸人さんがいらっしゃいました。ピザも似ています。 え、問題は量? 確かに。美味しいものはたくさん食べたくなりますからねぇ。