- 2023年8月7日
自然冷媒って何?大阪王将の冷凍食品作りにおけるサスティナブルな取組「主要冷凍冷蔵設備を自然冷媒へ切替」をインタビュー
7月11日、当社のプレスリリースでこのような発信をしております。 その内容は羽根つき餃子のような、大阪王将の冷凍食品を冷凍する「主要冷凍冷蔵設備を自然冷媒へ切替」というもの。なんでそのようなことを?自然冷媒って何?ということで、こちらの話について、イートアンドフーズ株式会社でエンジニアリングを担当している藤井さんにお話を聞いてみました! そもそも自然冷媒とは?冷媒切替で何が変わるのか聞いてみた 編集オガワ まず、7月に主要冷凍冷蔵設備を自然冷媒へ切替えたことについてお話いただけますか? 藤井さん これまで、エンジニアリング部署では工務や保全の業務として設備導入や改善を行っていましたが、今回はフロン系冷媒から地球温暖化係数の低い二酸化炭素を使った自然冷媒への切り替えを行いました。 編集オガワ 自然冷媒への切替えの背景や理由について教えていただけますか? 藤井さん 冷媒の歴史としてオゾン層の破壊してしまう冷媒のフロンを減らしオゾン層を保護しましょう(モントリオール議定書)という国際的な削減活動の中で、オゾン層を破壊しない冷媒(代替フロン)が登場し現在に至ります。 ただこの代替フロンはオゾン層を破壊しなくても地球温暖化の原因となる物質の1つでその後の地球温暖化を防止しましょう(京都議定書・パリ議定書)という活動の中で代替フロンも削減していく事が国や企業に求められていくなかで自然冷媒は冷媒自体の環境負荷がとても小さくかつ省エネにもつながる設備なので自然冷媒を弊社の環境取組みの一環として主要生産設備の凍結させる設備として導入する事になりました。 *参考: 独立行政法人環境再生保全機構 CFC(クロロフルオロカーボン)https://www.erca.go.jp/yobou/taiki/yougo/kw25.html 編集オガワ 自然冷媒への切り替えにはどのような工事が必要でしたか? 藤井さん 冷却設備をまるごと取り替える大規模な工事が必要でした。たとえば、焼売のラインだけでも工事期間は約3ヶ月でしたが、試運転や周辺の調整を含めると半年近くかかりました。 編集オガワ 長くラインを止める、となると失敗するわけにはいきませんね。どんなところが大変でしたか? 藤井さん コストや技術面での課題はありましたね。自社だけでは対応が難しい部分もあり、他の企業や工場とも連携しながら進めました。また、機械の切り替えだけでなく、実際の現場ラインの調整や試運転なども多くの努力が必要でした。この切替は環境省「二酸化炭素排出抑制対策事業費等補助金」補助金の採択対象にもなっているので、その要件に合うようにプロジェクトを進めるのも難易度がありましたね。 編集オガワ 自社だけではできない、ということで取引先様などの協力あってこその成功だった訳ですね。 サスティナブルな餃子作りに向けて 編集オガワ 今回は増産やコストダウンのためではなく、環境負荷を考えての改修だったわけですが、何かプロジェクトとしての違いはありましたか? 藤井さん 自然冷媒を導入することで、環境負荷の削減度合いを考えることができた点が非常に良い経験でした。また、地球環境に負荷をかけずに製品を作ることがサステナビリティに繋がるという意識も高まりました。 編集オガワ 社内で環境負荷を大事に考える流れがあるのですね? 藤井さん そうですね。地球環境に負荷をかけずに餃子を作り続けることが大事だと考えていて、例えば生産にかかる二酸化炭素排出量を元に、同じ二酸化炭素排出量でどれだけの個数我々の主力商品である餃子をつくることができるか、という指標を入れています。2015年頃と比べると、約2倍の個数を作ることができる計算です。 編集オガワ 餃子換算は社内として分かりやすい指標ですね!こうしたサステナビリティへの取組は今後どうなっていく予定でしょうか? 藤井さん 当社ではサステナビリティ基本方針で「地球環境」「地域社会」「人とのつながり」を大切にすること、と定めていますし、今後は地域と連携するなどの活動にも興味があります。様々な企業活動でサステナビリティへの取り組みを進めていきたいと考えています。 編集オガワ 藤井さん、貴重なお話をありがとうございました! サスティナブルを考えた餃子、召し上がれ 今回は大阪王将の冷凍食品工場における冷媒について、エンジニアインタビューを行ってまいりました。美味しい餃子、冷凍食品を作り届けたいと思っている大阪王将ですが、作り続け、届け続けるためには環境のことを考えることも必要なのですね。そのためには今回のようにエンジニアの皆さんも力を発揮していることを、こうした記事でご紹介できれば幸いです。そんな思いのつまった大阪王将の冷凍餃子、ぜひ召し上がってください。