羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け

外食チェーンが食品メーカーとして上場して冷凍餃子シェア日本一へ。イートアンドフーズ代表取締役社長 仲田社長インタビュー vol.2

前回お届けした大阪王将の冷凍食品を製造、販売する株式会社イートアンドフーズ代表取締役社長の仲田社長インタビュー。今回はその後編です。

最近では「大阪王将=外食店」のイメージとともに「大阪王将=羽根つき餃子」を想像される方も多いかもしれません。では大阪王将はどのように冷凍食品事業を立ち上げ、成長を遂げてきたのか。冷凍食品専用ラインを導入するという大きな決断から、食品メーカーとしての上場、さらには“冷凍餃子 日本一”を達成するまでの舞台裏について、仲田社長にじっくり伺いました。

「冷凍食品専用ライン」の決断

編集オガワ
2009年、関西工場に冷凍食品専用ラインを導入されたと聞きました。あの決断にはどんな背景があったのでしょうか?
仲田社長

専用ライン導入は本当に大きな決断でした。当時、我々の冷凍食品事業はまだ規模も小さく、社内の多くの役員が「リスクが大きすぎる」と否定的でした。でも、自社で生産できなければ、品質も価格もコントロールできない。将来、量販店と対等に渡り合うには、自社ラインがどうしても必要だと考えていました。

投資金額は当時としては破格の約6億円。今ではそこまで大きな金額とは言えませんが、当時の我々にとってはまさに一世一代の決断でした。

最終的に背中を押してくれたのは、当時の社長、現会長の文野さんです。「失敗するかもしれない。でもやらなければ道は開けない」と、情熱をもって皆に語り、その熱意で役員会での承認を得ました。あの決断がなければ、今の我々の冷食事業はなかったと思います。

 

編集オガワ
それだけの決断をすると、当時営業部門の仲田社長もプレッシャーですね。
仲田社長

そうなんです、専用ラインを入れてからは営業にも火がつきました。自社商品としての誇りが芽生え、「もっと売ろう」「もっと届けよう」というエネルギーが社内に満ちていってね。やっぱり自分の会社でラインを入れて、仲間が一生懸命作った商品があるとなると、より多くのお客様に届けたい、この美味しい餃子を食べてほしい、という自信が出てくるんです。

実際に1ライン目はすぐにフル稼働になり、2ライン目も早期に導入。そこから一気に事業が加速しました。

「我々は冷食メーカーです」と上場を目指して

編集オガワ
2011年には上場も果たされました。その際の苦労を教えて下さい。
仲田社長
こだわったのは証券コードです。「外食企業」ではなく「食品メーカー」としての上場にこだわりました。証券会社や取引所からは「店舗数もあるし、外食企業として上場したほうが分かりやすいのでは?」と何度も言われました。
編集オガワ
確かに上場当時で考えれば冷凍食品メーカーというより、お店の「大阪王将」を運営しているイメージの方が強いような気がします。
仲田社長

そう。でも、我々はあくまで食品製造業として勝負していきたいという思いがありました。当時すでに冷凍食品の生産も始めていましたし、全国のスーパーや生協さんとの取引も進んでいた。関東工場の建設も控えていたので、「うちはもう外食だけの会社じゃない。外食と冷食の両輪経営の会社です。」と明確に伝えていました。

結果的に、食品メーカーとして証券コード2800番台を取得して上場できたことは、社内の士気にも大きく関わりました。「我々は食のライフプランニング企業なんだ」という自覚と誇りが、次の成長ステージへの原動力になったと思っています。

食品メーカーとして成長してこれた秘訣は?

編集オガワ
現在、家庭用冷凍食品業界でも一定のポジションを築きつつあると思います。ここまで成長できた理由をどう捉えていらっしゃいますか?
仲田社長

まず第一に商品が良いこと。こだわりの詰まった、美味しい商品を開発することができ、それを生産することができる自社工場があること、こうした生産体制があることが前提です。
そのうえで、営業メンバーの心強さも大きな成長ドライバーですね。

うちは業界の中でも突出して若く、全体の平均年齢が30代前半です。これだけ若手が活躍しているメーカーは他にないと思います。実際、新卒の定着率も非常に高くて、ここ数年で入社した若手の多くが今も現場の第一線で活躍しています。

その背景には、自由闊達な企業文化や、挑戦を応援する風土があると思っています。もちろん、最初からうまくいったわけではありません。若手を育てるには時間も手間もかかります。でも、あきらめずに向き合ってきた結果、今では若手が商品開発や営業の最前線に立っている。その姿を見ると、「この会社はいい会社だな」と、私自身、しみじみ感じますね。

▲主力の大阪王将 羽根つき餃子も常に改良を続けている。2025年秋冬リニューアルではたれがリニューアル。

「美味しい」を届けるという使命が「冷凍餃子のシェア日本一」につながった

編集オガワ
外食の大阪王将をルーツに持つ会社ですが、冷凍食品においても「美味しさ」に強いこだわりを持たれていると感じます。
仲田社長
そうですね。我々の冷凍食品は、あくまで「お店の味を家庭で再現する」ことが出発点です。だからこそ、味への妥協は一切ありません。取引先からも「イートアンドの商品は、他と違う」「美味しいから安心して仕入れられる」と言っていただくことが多い。この評価は本当にありがたいですし、自信にもつながっています。我々が外食事業で培ってきた味づくりのノウハウが、冷凍食品にも活かされている。
編集オガワ
最近では、冷凍餃子でシェア日本一を獲得しました。これを大きく宣伝していないのには理由がありますか?
仲田社長
確かに日本一は事実なので将来は書くかもしれないですね。ただこれは美味しい商品をお客様の食卓に届ける、ということに向き合い続けてきた結果だと思います。ですので、あくまでも「日本一」ということをウリにするのではなく、お客様にとってのメリットを追求していくことを大事にしていきたいと考えています。

「明るく、元気に。寝たら忘れる」。が日々の活力に

編集オガワ
ここまで仲田社長の若手時代から、上場し現在に至るまでのお話を伺ってきました。最後に、これから社会に出る若い世代にも役立ちそうな、仲田社長が大事にしている言葉などがあれば教えて下さい。
仲田社長

難しいことはないですよ(笑)。僕が大切にしているのは「明るく、元気に。寝たら忘れる」です。人間って、考え方次第でどんどんネガティブにもポジティブにもなれる。でも、ネガティブな思考にハマってしまうと、そこから抜け出すのが本当に大変なんです。

だからこそ、「明るく元気にいること」が大事。そして何か嫌なことがあっても、寝てしまえば忘れられる。部下が何か失敗をして落ち込んでいる時なんかは「よく寝て、忘れてしまい」と声をかけたりします。起きた失敗を悔やんでいても事態は改善しないですからね。だったら寝て忘れて、起きたら明るく元気に仕事をして挽回していけば良いと。

「寝たら忘れられる」これは人間に与えられたすごい力だと思うんです。リセットする力を信じて、また新しい一日を前向きに始めてほしいですね。

編集オガワ
ありがとうございます。失敗しても「寝て忘れる」、これは誰でも実行できそうですね!

挑戦を続けることが成果に。こだわり詰まった今後の食品展開にもご期待ください!

冷凍食品専用ラインの導入という挑戦からはじまり、食品メーカーとしての上場、そして現在の業界ポジションへ。仲田社長の言葉からは、未来を見据えた決断力と、現場やお客様を大切にする視点、そして若手を信じて育てる熱意がひしひしと伝わってきました。

今後のイートアンドフーズのこだわり詰まった大阪王将の商品づくりにご期待ください!