大阪王将の冷凍食品を製造、販売している株式会社イートアンドフーズ。長年愛されているお店の味をそのまま家庭で楽しめる冷凍餃子をはじめ、数々のヒット商品を生み出し続けているその背景には、どんな人たちの想いや挑戦があるのでしょうか。
今回は、そんな株式会社イートアンドフーズ、そして親会社の株式会社イートアンドホールディングスでも代表取締役社長を務める仲田浩康社長にインタビュー。
食品メーカーの社長はどんな若手時代を過ごしたのか、といった歴史に迫ります。
今はイートアンドの社長でも、入社のきっかけは「普通に求人誌から応募」
そう、普通に求人情報からですよ。大阪王将って外食店なのに、営業職を募集してるってどういうこと?と。素朴な疑問が湧いてね。近所に大阪王将の店舗があったので、ちょっと覗いてみようと足を運びました。そこで面接官をしていた当時の常務にお会いしたんですが、その面接がまたユニークで。夢を語ってくれるんですよ。他の企業の面接って一方的に質問されるばかりなのに、そこでは「上場を目指している」とか「将来こうしたい」といった話を聞かせてくれた。
当時の大阪王将はまだ規模も小さくて、食品事業の売上もほんの数億円程度だったのにそんな大きな夢の話をしてくれたことが妙に心に残って、面白い会社だなと。正直、現実味はなかったですけど、「もしかしたら面白いことが起きるかもしれない」と思ったのが、入社のきっかけでしたね。
「売る商品も販路もなかった」東京営業のスタート
ええ、いわゆる一兵卒として、東京での営業を始めました。ただ、当時は売る商品もなく、販路もありませんでした。今でこそ考えられませんが、最初はOEMで餃子を作ってくれる工場を探すところからのスタートでした。
営業と言っても、卸業のようなものでした。原料を供給したり、他社製品の仲介をしたりと、いわば商社的な立ち位置。でも、我々としては自社ブランドを広げていきたいという思いが強くあって、そこから自社商品の営業にシフトしていったわけです。
前職の経験が今にも活きている。スーパーにおけるお客様視点
一番意識していたのは“売価感覚”ですね。僕はイートアンドに来る前はスーパーで働いていてね。自分の売り場だけでなく、お客様の買い物感覚というものをそこでよく勉強しました。当時のスーパーでは一品200円前後の価格帯が基本。それを10品買って2,000円ちょっとになるのが、一般家庭の一度の買い物におけるバスケット感覚、常識なんです。
だから僕らはそうした棚効率を意識して、ちゃんと売場に合った価格で勝負しようと考えた。お客様の生活に合った値ごろ感が設定されていなければ、どんなに美味しい食品でもリピートにもつながりませんからね。
「5フリー」10年越しの共感と意外な進化

地道な営業がブランド作りの始まりだった。次回明かされる冷凍食品の秘密
今回は株式会社イートアンドフーズ、そして親会社の株式会社イートアンドホールディングスでも代表取締役社長を務める仲田浩康社長へのインタビューをお届けしてまいりました。今でこそ上場会社として食品をお届けしている会社ではありますが、知名度も販路もなかった時代には東京で誰にも知られていないブランドを、クーラーボックス片手に東京で一軒一軒営業を重ねて広めていくという地道な努力、そしてお客様目線に立っての商品開発の意外な進化を知ることができました。
次回は、そんなイートアンドフーズの冷凍食品事業成長の秘密に迫ります。