羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け

羽根つき餃子開発リーダーに聞いてみた、大阪王将冷凍餃子の歴史

大阪王将の冷凍食品では最も代表的と言える羽根つき餃子。

パッケージから出すと冷凍された餃子の周りについている羽根の素の独特なフォルムや、焼き上がりのパリッとした香ばしい羽根の仕上がりを見ると「どうやったらこうなるの?」とつい思ってしまいます。

今回はその羽根つき餃子ができるまでのお話を、商品開発マネージャーの平山さんに聞いてみました。

序章 大阪王将が自社製冷凍餃子を始めるまで

編集オガワ
早速ですが、そもそも大阪王将は外食のお店ですよね?どんな経緯で冷凍食品を始めたのですか?
平山さん
もともとは大阪は京橋でお店を出し、外食しかやっていなかった大阪王将ですが、ご家庭用の食事という目線では「ナホ」というテイクアウトの形で餃子の作っていました。その後、餃子専用の工場もでき生協様向けに餃子をつくっていくことになり、更には一般にスーパー様でも餃子を購入いただけるように、ということ冷凍餃子の開発が始まりました。
編集オガワ
持ち帰り用の生餃子、というのは冷凍ではないですよね。なぜ冷凍で作ろうと思ったのでしょうか?誰かノウハウを持っていたのですか?
平山さん
最初は誰もわかっていませんでした、自社の工場ができる前は調味料やレシピを送って他社様に委託していたんです。そこから委託先さんにも指導を仰ぎながらノウハウを積み重ねて自社内製化を進めることができたんです。現在もこうした委託企業と協同して品位や、品質の向上を図っているんですよ。
編集オガワ
我が社だけではなく、他の会社にご協力いただいて初めてできたんですね。
平山さん
最初は「美味しい冷凍餃子を作るんや」って、気持ちと勢いで初めて、何とかしてしまうあたり、弊社らしいなと思う部分もありますね。笑
編集オガワ
この冷凍餃子は、すでに「羽根つき」だったのでしょうか?
平山さん
いえ、最初は「羽根つき」ではありませんでした。最初は大阪王将として冷凍餃子を発売し、その後リニューアルで「たれ付」の冷凍餃子を発売したんです。これが多くのお客様に気に入っていただけるきっかけになりました。
編集オガワ
なるほど、それで今も羽根つき餃子はたれが付いているんですね。

羽根付き餃子 開発のきっかけ

編集オガワ
「羽根つき」になったのは「たれ付」の後でしょうか?
平山さん
そうです、ちょうど私が入社したのがこの頃で。入社したてで会社にも慣れていませんでしたが、新分野への挑戦をするチームに加入することになり、驚いたのを覚えています。
編集オガワ
最初から「羽根つき」にしよう、という話にはなっていたのですか?なぜ羽根を付けようと思ったのでしょうか?
平山さん
そうですね、「たれ付」の次に「羽根つき」の構想はあったようです。そもそも私達は餃子の味にはそれまでの開発でも継続的に取り組んでいて、「今よりも更に、ご家庭で本格的な餃子を冷凍で実現するにはどうすればよいか?」を考えた結果、羽根つき餃子のアイデアが出てきたそうです。

そして、「羽根」を開発する過程で「油いらず、水いらず」の調理法も合わせて実現できることになりました。

編集オガワ
大きな変化ですね。どうやってそのようなことが実現できたのでしょうか?
平山さん
「羽根つき」で「油いらず、水いらず」を実現するには「羽根」の素である穀物粉と水、油の配合が鍵なんです。
当時はまだ開発メンバーも少なかったので、とにかくその配合を何通りも考え、それを作っては焼き、作っては焼き、を繰り返して最適なものを探す、という開発をしていました。当時は水と油の粒子を観察するための顕微鏡も持っていなくて、近くの大学に借りていたこともあったんですよ。笑 もちろん、今はしっかりした顕微鏡を購入してもらっていますが。
編集オガワ
もしかして、関東工場の近くの東洋大学ですか?
平山さん
そうです、それがきっかけで東洋大学さんとの産学連携の研究への取組が活性化しました。
編集オガワ
それだけの苦労があった、ということは、最初に羽根付きが成功したときにはすごい達成感があったのではないですか?
平山さん

それがそうでもないんです。
研究室でうまい配合ができてうまく焼けたとしても、それが工場のラインでちゃんと再現できないと、お客様の元に羽根つき餃子を届けることができないんですね。なので研究室で成功をした後は工場での成功を目指す努力が必要で、これが更に大変でした。

編集オガワ
工場で安定してつくる、というのは大変なんですね。どんなところが難しいのでしょうか?
平山さん

それまでのたれ付餃子とは大きく仕様が変わるので、設備や餃子を載せるトレーも変更の必要がありました。
変更した設備を使って重量がぶれないようにしたり、餃子をうまくトレーのポケットに入るようにしたり、バッター液を安全に安定して仕込むようにしたり、と全行程で試作と同じようにトライ&エラーを繰り返していましたね。

生産部や品質保証部といった開発以外のメンバーも総出でテストや会議を繰り返していました。

編集オガワ
聞いているだけでも気が遠くなるような苦労ですね。
平山さん
そうですね、ですので研究室での成功よりも、むしろ達成感があったのは工場でちゃんと餃子ができたときですね。どちらかというと達成感、というよりは「やっとうまく流れたー」という安堵の気持ちの方が強かったと思います。

「水や油を使わずに餃子を焼けるしくみ」と「羽根がつくしくみ」というのはそれぞれ別物に感じますが、「羽根を追求した結果水や油を使わない方式に行き着いた」というのは面白い話ですね。

まだ設備が整っていない頃からトライ&エラーを繰り返して冷凍餃子が作られることになったと考えると、今の「フタいらず」というのはいったいどうやってできたの?なんて思ってしまいます。

次回はその「フタいらず」開発秘話を伺います。