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商品を「育てる」、生協の底力

今回は、全国生協が加盟する総本部、日本生活協同組合連合会(略称:日本生協連、新井ちとせ代表理事会長)の創立75周年記念行事の一環として開催された、「感謝イベントinコーププラザ渋谷」について、そのリポートも兼ねて、生協についての話です。
生協=消費生活協同組合は、消費者が自発的に集まることで、日々のくらしをより良くしていく組合、法人組織です。消費生活協同組合法で第一条にある目的、「国民生活の安定と生活文化の向上を期する」という文言は、かなり昭和のにおいが漂う古臭さですが、この令和の時代、折々に感じる生活の不安定感はかなりあると思います。例えば自然災害のリスクが高い国であること、平和とは程遠い国際情勢をはじめ、家計に打撃を与えている食品価格高騰などなど。現代こそ、「くらしを守る」という理念を持った生協の事業、活動に、国家ならずとも「期する」思いが強くなってきます。

日本生協連75周年イベントで見たコープ商品進化形

昨年の本コラムでは、生協がいかに冷凍食品の普及啓蒙に貢献してきたかについて、記しました。つまり、生活者の皆さまが冷凍食品についてまだよく認識していなかった時代から、「冷凍」の手段で各家庭に安全にお届けできること、1週間の食事作りに計画的に無駄なく利用できる食品は冷凍であるという知識を広めてきたのです。
今回取材した日本生協連の感謝イベントは、コープ商品、カタログ事業、物流、社会的取り組みでは長期にわたる被災地支援、平和運動などなど、生協事業・活動を網羅する構成でした。そして、主にコープ商品の開発姿勢、組合員の声を反映していく仕組みの紹介展示に重点が置かれていたことに注目しました。
冷凍食品では昨年実施した、かき揚げ商品のトレーをなくすリニューアルを紹介。冷凍庫内の収納性に関する声に応えて、トレーレスにして好評を得ているという事例が紹介されました。そしてこれは、年間10トン超のプラスチック使用量削減につながったとのことです。

価格高騰に対応したアイデアも

水産冷凍品では、ロングセラーの「まんまるねぎとろ丼」(お茶碗サイズ個包装のねぎとろ)のタレを減塩リニューアルしたこと。また、「骨取りさばのみそ煮」などの人気アイテムを展示していました。


さばなど原料が高騰している水産加工品は、価格改定をせざるを得ない商品ですが、魚のサイズは少し小さく、野菜のお惣菜をプラスすることで値ごろ感を維持する狙いの商品、「骨取りさばとなす・厚揚げのみぞれ煮」などを昨年発売したところ、1度のボイルで2種類のおかずが整う便利商品になったと聞きました。苦肉の策とはいえ、ナイスアイデアに感心します。

“声”を反映するコープ商品

日本生協連では、全国の組合員からコープ商品に寄せられた「よかったの声」を、その商品の供給数量で割って計算した指標を「声の“熱量”ランキング」として紹介していますが、2025年の冷凍食品部門ランキング1位は、「九州のうらごしほうれん草」(120g=15gのキューブ8個入、参考価格税込311円)でした。
これは2025年に改良が図られた商品で、従来寒天やでんぷんを使用して成形していたものを、ほうれん草と水のみにして評価が高まりました。さまざまな料理にアレンジできる便利な商品ですが、リニューアルにより「離乳食に使える」という喜びの声が多く寄せられているそうです。
組合員の“声”が商品の改良につながり、また、それを評価する“声”が寄せられる。生協ならではの、マーケットインで商品を育てている、といっても良いでしょう。

 

組合員の口コミを可視化

7月30日「生協の日」に取り組んでいる、組合員投票でおすすめコープ商品を可視化する『推しコープ』では、今年、旅行ガイドブックの「地球の歩き方」とタイアップした「推しコープ×地球の歩き方」キャンペーンを6月21日から9月20日までの3か月間実施します。旅行ガイドブックのように編集した、『推しコープ』商品。タイアップキャンペーン特設サイトで6月22日に公開されたページの筆頭に紹介されているのは、水産冷凍食品のえびフライです。
油調調理は敬遠されがちですが、揚げておいしいえびフライは、変わらずの人気商品です。タイアップページでは、商品の詳細やこだわりポイント、組合員の声に加え、編集部のコメントも掲載されて、楽しい商品ガイドになっています。旅のような商品との出会いが楽しい企画です。

協同の精神がくらしを豊かにする

協同とは、人と人が手を取り合い、新たな価値を生み出すこと。くらしを豊かにする取り組み。生協のコープ商品は、1960年発売の「CO‣OP生協バター」から始まっています。初期から、消費者目線の、安心して使える良い商品を開発して共同購入しよう、たくさん買えば安くなる、という発想でした。現在も同様の目的はありますが、組合員のより良いくらしを彩る商品を育てていく、という点で、メーカーが開発して発売する商品とは異なる、独自の価値があると思います。

さて、イベント当日も披露された学習まんが、「生協のひみつ~つながり、ささえあう、みんなのくらし~」(学研)は、生協について分かりやすく解説した1冊です。全国の小学校・特別支援学校、公立図書館、児童館など約2万4千カ所へ寄贈しています。創立75周年記念事業として、日本生協連がいろいろ構想を練って制作したものです。小学生向けのまんがで、ストーリーの舞台も小学校ですが、大人が読んでもよく分かり、楽しめるものでした。
人と人が協力し合う、生協の原点。web上で公開されていますので、ぜひ、一読してください。

https://kids.gakken.co.jp/himitsu/library233/