羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け

始まりの予感、「シュウマイの逆襲」

かつて、『冷凍食品五大品目』という言葉が業界にありました。50数年前から1980年代前半くらいまで、よく使われていた業界用語です。五大ですから、もちろん生産量が多くて、人気があって売れている5つの調理冷凍食品。

コロッケ、ハンバーグ、シュウマイ、ギョウザ、えびフライです。

その筆頭、コロッケは、1967年に家庭用初のクリームコロッケが発売されて、ポテトコロッケ、牛肉コロッケなどと共に冷凍食品売場のダントツ人気商品になりました。

では今、国内生産量のトップ5は?というと、うどん、コロッケ、ギョウザ、炒飯、パスタ(2022年:日本冷凍食品協会統計)です。ハンバーグは7位、シュウマイは11位、えびフライは20位圏外。おっと、えびフライの名誉のために記しておきますが、国内ランキング低下の原因は、生産が海外へシフトしたためで、業務用で底堅い需要のある品目であることは変わりありません。

資料:(一社)日本冷凍食品協会 令和4年(1~12月)冷凍食品の生産・消費統計速報より

ハンバーグは業務用の比率が高く、昨年までの外食需要不振と大手工場のラインが数ヶ月ストップしたこともあって、ランクダウンも致し方なしと考えられます。しかし、前年までの4位から、ベスト3入りしたギョウザに比べ、シュウマイはベストテンに及ばず。5大品目だとモテモテだった時代は、書き順でギョウザより前に来ていたシュウマイですが、明暗が分かれています。

ですが、私は「シュウマイの逆襲」を予感しています。表を見ると、2020年に生産量12位から11位にランクアップして以降3年間順位をキープしています。コロナ流行下において、シュウマイはワンランクアップしているのです。

コロナ禍中にワンランクアップ

〔資料:(一社)日本冷凍食品協会 統計資料より〕

国内生産量上位品目の順位をシュウマイ、ギョウザで追ってみました。家庭用、業務用を含めた数値ですが、2005年までシュウマイの生産量はギョウザを上回っていました。それが2006年に順位が逆転します。イートアンドフーズが「大阪王将 餃子」で量販店マーケットに参入したのはその5年前、2001年でした。その後ギョウザは、2008年に中国・天洋食品によるトラブルが国産品にも影響を及ぼしたものの、まさしくV字回復をして伸びていきます。この上昇カーブに、2009年に関西工場を稼働させたイートアンドの貢献は大きいと言えます。

ギョウザとシュウマイの順位差が広がった2012年。この年は味の素冷凍食品「ギョーザ」が油なし・水なし調理を果たしました。誰でも美味しく焼けるギョウザは、大人気商品に。同社「ギョーザ」のテーマは『永久改良』で、発売50年を経ても進化を続けています。続いて、2012年に関東工場(第一工場)が稼働したイートアンドフーズも、「大阪王将 羽根つき餃子」で油・水いらずを果たし、さらに2018年には、フタいらず調理へと進化させます。冷凍ギョウザ市場は、ほぼ両社で人気を磐石のものとしていきました。

2022年の生産量実績で、ギョウザは初の10万トン突破、一方シュウマイは4万2千トン余りと水をあけられた感が否めませんが、シュウマイが4万トン台に乗せたのは、なんとコロナ渦中の2020年からなのです。ここに、時代を捉えるカギがあるような気がします。

2022年に法人化した日本シュウマイ協会

シュウマイ、ギョウザ共に、長い歴史の中で考えると、チルドのシュウマイ・ギョウザとの戦いがあったかと思います。ところが、羽根つきのギョウザが誰でもうまく焼ける、という要素が加わった時に、冷凍ギョウザがチルドより優位に立ちました。

シュウマイも、コロナ禍にあって、「がっつり肉料理だけど蒸し調理でヘルシー」といった評価が生まれたように美味しさ、便利さ、ベルシーさで、さらにブレイクする日が来そうです。

そんな中、2020年に日本シュウマイ協会でウェブサイトを立ち上げた、シュウマイ研究家のシュウマイ潤さん。2022年には一般社団法人日本シュウマイ協会と法人格になって、代表理事に就任しています。

▲(左から)冷凍王子こと西川剛史さん、シュウマイ潤さん、お料理芸人、クック井上。さん

今年春、イートアンドフーズの春夏新商品発表会見会場で、シュウマイ潤さんと初面談。帰り道で少しお話をうかがいましたが、「シュウマイはまだまだ広がっていく」とおっしゃっていました。既存の概念にとらわれない、新しいジャンルも生まれて、広がっていき、「シュウマイ専門店」も増えそうです。

シュウマイに歴史あり

家庭用のシュウマイにどのようなものがあるかというと、売場の定番は、1972年以来のロングセラー、味の素冷凍食品の「プリプリのエビシューマイ」。

『新中華街』ブランド第1号のマルハニチロ「あら挽き肉しゅうまい」(1995年~)。

中華の鉄人、故陳建一氏のノウハウを伝える日本ハム冷凍食品の「中華の名店 四川飯店監修 国産豚の四川焼売」(1998年~)。

ニチレイフーズ「甘えびシューマイ」(2000年~)。

味の素冷凍食品「ザ★」シリーズの「ザ★シュウマイ」(2016年~)。

今年春は、味の素冷凍食品より、「おつまみ焼売」「しびれ麻辣焼売」「濃厚チーズ焼売」と、ビールがすすむおつまみコンセプトの3品が発売されて、新たなシュウマイ・ワールド拡大の予感がしました。

また、マルハニチロの「あら挽き肉しゅうまい」は、昨年秋の工場火災で生産がストップしていましたが、今年夏から委託工場による生産で復活しています。

一時、同商品が抜けたあとをどう対応するのかと売場は大騒ぎでした。突然失って、しみじみと大切な商品だったと実感する訳ですね。人気商品の供給がいかに重要か、痛感した出来事でした。

そして、「大阪王将 たれつき肉焼売」(2020年~)。

イートアンドフーズは今月7日、関東第三工場の新生産ライン増設を発表しましたが、来年3月稼働予定の新ラインは、「大阪王将 羽根つき餃子」と「大阪王将 たれつき肉焼売」を両方作れるハイブリッド式ラインになるとか。需要に対して作り切れないでいた焼売の増産へと動き始めました。

 広がるシュウマイ・ワールド

どうやら、今年から来年にかけて、シュウマイとごはん、シュウマイとビール、お弁当にもシュウマイと、さまざまな商品が注目を集め、冷凍シュウマイ・ワールドが広がっていきそうです。再び、魅力を発信して冷凍食品の重要品目へ。肉シュウマイとエビシュウマイの2択だったメニューも広がりそうです。 包む料理、シュウマイ。インクルーシブな社会の実現に向かう中で、ほかほか温かい湯気で、笑顔を生むメニューにと期待がふくらみます。