年に1度のスーパーの祭典「スーパーマーケットトレードショー:SMTS2025」(一般社団法人全国スーパーマーケット協会主催、2/12~14、幕張メッセ全館)を取材して、ますます強く、確かなものになってきた冷凍食品トレンドを感じました。
それは、大きなブースで出展して目立ったメーカー、イートアンドフーズ、ニップン、日清製粉ウェルナが共に、冷凍食品を強く打ち出す展示だったことからも明らかなのです。
広がる餃子の世界観~焼き立て「クリスピーひとくち餃子」
SMTSの広い会場の中でも、VIPレストラン協賛のメーカー2社、イートアンドフーズ、ニップンは、ひときわ目立つ存在です。
イートアンドフーズのブースは、黄色い「大阪王将」のドデカ看板。町中華風のれんをかけて、餃子、水餃子などを試食PRして、いつも行列ができていました。冷凍ショーケースには、充実した中華冷凍食品の品揃えを紹介。さりげなく、「冷凍餃子(焼き餃子・水餃子)」のシェアナンバーワンメーカー(33.3%)をアピールしました。
そのショーケースの中には、今年はいよいよアメリカ進出、ということで、出来たての現地向けパッケージも展示。「羽根つき」の英訳は「Crispy Winged」です。
VIP中華食堂では、冷凍食品を組み合わせた「商売繁盛セット」を提供していましたが、私はお願いして、気になる新商品「クリスピーひとくち餃子」(止まらぬやみつき味、ハマるのり塩味)を焼いていただきました。
やはり、これはおもしろい。ひとくちでぱくぱく、いくらでもいけそうです。これはもう「おやつ」「おつまみ」かもしれません。またひとつ、冷凍餃子の世界観が広がりそうな予感がしました。
ニップン 『オーマイプレミアム』のパスタと冷凍パスタ
ニップンのブースは、特大スペースを『オーマイプレミアム』ブランドの乾麺パスタで半分、冷凍パスタで半分という迫力ある構成でした。
なんといっても冷凍パスタの№1シリーズです。そのシリーズ名を乾麺パスタでも展開して、大ヒットした「オーマイプレミアム もちっとおいしいスパゲッティ」。冷凍食品と乾麺パスタ、共に絶好調なのは、マーケティング強化戦略の成果なのです。
流行りのワントレーでトップブランド独走中の同社は、今回スープカレーも可能な新トレーを開発しました。これもワントレーの世界を広げる新展開です。
大谷翔平選手の特大ビジュアルと等身大パネルの日清製粉ウェルナ
日清製粉ウェルナは、CM出演契約を結んだ大谷翔平選手の特大ビジュアルと等身大パネルで注目の的でした。
等身大パネルの大谷選手の隣では、冷凍パスタの新シリーズ『マ・マー RICH-NA(リッチーナ)』の試食PRをしました。徹底的にスパゲティレストランを調査して、人気メニューに「和風」が必ず入っていることから、シリーズの目玉商品は、「おだしパスタ」です。
そして、3月中旬からいよいよ大谷選手のTVCMが放映されます。もちろん、乾麺のパスタで70周年を迎えた『マ・マー』ブランドのリブランディングをPRするCMなのですが、「LOVE PASTA」のキャッチコピーで訴えますので、LOVE FROZEN PASTAの連想もあり、ですよね。わくわくします。
冷凍食品でしっかり「たんぱく質」
商社ブースは各社、さまざまなジャンルの集合で賑やかに展開していますが、その中でも特大スペースの出展は、国分グループ本社です。グループ企業のナックスは、「たんぱく質は冷凍食品で補う時代に」とアピールしました。そうです、日本国民の栄養摂取状況を調べると、たんぱく質不足が深刻。高度経済成長期途中の1960年代レベルに逆戻りしているのです。
展示ではワンプレート商品や具材たっぷりの麺類で、そのたんぱく質量を紹介。また、骨取り鯖をほぐしておにぎりに混ぜるなどメニュー提案も。たんぱく質摂取という切り口での売場づくり提案もしました。
「冷凍食品と栄養摂取という概念が結び付いていない方が多いので、注目されているたんぱく質摂取で提案しています」とのことでした。なるほど、なのですが、たんぱく質に限らず、冷凍食品はしっかり栄養価を保つことができる食品であることを、まずはPRして頂きたいと思った次第。
訪日外国人がスーパーでお買い物
主催者企画コーナー「食のトレンドゾーン」では、「タイパ×食」「たんぱく質×食」「インバウンド×食」「冷凍×食」と4つの食トレンドテーマを設定しました。「冷凍×食」が最も大きく、40社の出展でした。
たんぱく質では、冷凍食品ではなく、マルハニチロが「ギョニソバー」と名付けて「おさかなソーセージ」を試食PRしました。いま、魚肉ソーセージは、コスパの良いたんぱく質供給源として大人気。若い方々にとっては、新食材感覚だそうです。
「インバウンド×食」テーマでは、訪日外国人にスーパーマーケットでお買い物をしてもらう、という期待に満ちた展示が注目を集めていました。確かに、全国SM協会がこのほどまとめた「スーパーマーケット白書2025」を見ると、巣ごもり需要以降好調だったスーパーの売上げも、コロナ禍が明けて少し苦戦。インバウンドのお土産購入需要に期待大という訳です。
う~んお土産に冷凍食品は、無理かぁ~とがっくり。いやいや、トレー入り商品は、ホテルで食べてもらえるのでは?と前向きに考えることにしました。