前回お届けした大阪王将の冷凍食品を製造、販売する株式会社イートアンドフーズ代表取締役社長の仲田社長インタビュー。今回はその後編です。
最近では「大阪王将=外食店」のイメージとともに「大阪王将=羽根つき餃子」を想像される方も多いかもしれません。では大阪王将はどのように冷凍食品事業を立ち上げ、成長を遂げてきたのか。冷凍食品専用ラインを導入するという大きな決断から、食品メーカーとしての上場、さらには“冷凍餃子 日本一”を達成するまでの舞台裏について、仲田社長にじっくり伺いました。
「冷凍食品専用ライン」の決断
専用ライン導入は本当に大きな決断でした。当時、我々の冷凍食品事業はまだ規模も小さく、社内の多くの役員が「リスクが大きすぎる」と否定的でした。でも、自社で生産できなければ、品質も価格もコントロールできない。将来、量販店と対等に渡り合うには、自社ラインがどうしても必要だと考えていました。
投資金額は当時としては破格の約6億円。今ではそこまで大きな金額とは言えませんが、当時の我々にとってはまさに一世一代の決断でした。
最終的に背中を押してくれたのは、当時の社長、現会長の文野さんです。「失敗するかもしれない。でもやらなければ道は開けない」と、情熱をもって皆に語り、その熱意で役員会での承認を得ました。あの決断がなければ、今の我々の冷食事業はなかったと思います。
そうなんです、専用ラインを入れてからは営業にも火がつきました。自社商品としての誇りが芽生え、「もっと売ろう」「もっと届けよう」というエネルギーが社内に満ちていってね。やっぱり自分の会社でラインを入れて、仲間が一生懸命作った商品があるとなると、より多くのお客様に届けたい、この美味しい餃子を食べてほしい、という自信が出てくるんです。
実際に1ライン目はすぐにフル稼働になり、2ライン目も早期に導入。そこから一気に事業が加速しました。
「我々は冷食メーカーです」と上場を目指して
そう。でも、我々はあくまで食品製造業として勝負していきたいという思いがありました。当時すでに冷凍食品の生産も始めていましたし、全国のスーパーや生協さんとの取引も進んでいた。関東工場の建設も控えていたので、「うちはもう外食だけの会社じゃない。外食と冷食の両輪経営の会社です。」と明確に伝えていました。
結果的に、食品メーカーとして証券コード2800番台を取得して上場できたことは、社内の士気にも大きく関わりました。「我々は食のライフプランニング企業なんだ」という自覚と誇りが、次の成長ステージへの原動力になったと思っています。
食品メーカーとして成長してこれた秘訣は?
まず第一に商品が良いこと。こだわりの詰まった、美味しい商品を開発することができ、それを生産することができる自社工場があること、こうした生産体制があることが前提です。
そのうえで、営業メンバーの心強さも大きな成長ドライバーですね。
うちは業界の中でも突出して若く、全体の平均年齢が30代前半です。これだけ若手が活躍しているメーカーは他にないと思います。実際、新卒の定着率も非常に高くて、ここ数年で入社した若手の多くが今も現場の第一線で活躍しています。
その背景には、自由闊達な企業文化や、挑戦を応援する風土があると思っています。もちろん、最初からうまくいったわけではありません。若手を育てるには時間も手間もかかります。でも、あきらめずに向き合ってきた結果、今では若手が商品開発や営業の最前線に立っている。その姿を見ると、「この会社はいい会社だな」と、私自身、しみじみ感じますね。
▲主力の大阪王将 羽根つき餃子も常に改良を続けている。2025年秋冬リニューアルではたれがリニューアル。
「美味しい」を届けるという使命が「冷凍餃子のシェア日本一」につながった

「明るく、元気に。寝たら忘れる」。が日々の活力に
難しいことはないですよ(笑)。僕が大切にしているのは「明るく、元気に。寝たら忘れる」です。人間って、考え方次第でどんどんネガティブにもポジティブにもなれる。でも、ネガティブな思考にハマってしまうと、そこから抜け出すのが本当に大変なんです。
だからこそ、「明るく元気にいること」が大事。そして何か嫌なことがあっても、寝てしまえば忘れられる。部下が何か失敗をして落ち込んでいる時なんかは「よく寝て、忘れてしまい」と声をかけたりします。起きた失敗を悔やんでいても事態は改善しないですからね。だったら寝て忘れて、起きたら明るく元気に仕事をして挽回していけば良いと。
「寝たら忘れられる」これは人間に与えられたすごい力だと思うんです。リセットする力を信じて、また新しい一日を前向きに始めてほしいですね。
挑戦を続けることが成果に。こだわり詰まった今後の食品展開にもご期待ください!
冷凍食品専用ラインの導入という挑戦からはじまり、食品メーカーとしての上場、そして現在の業界ポジションへ。仲田社長の言葉からは、未来を見据えた決断力と、現場やお客様を大切にする視点、そして若手を信じて育てる熱意がひしひしと伝わってきました。
今後のイートアンドフーズのこだわり詰まった大阪王将の商品づくりにご期待ください!