羽根つき餃子、ぷるもち水餃子の大阪王将│5フリーで食卓へお届け

スーパーが力を入れる冷凍食品 ~スーパーマーケット・トレードショー2023

国内最大規模のスーパーマーケット関連展示・商談会、「スーパーマーケット・トレードショー2023」(SMTS:一般社団法人全国スーパーマーケット協会主催。2月15日~17日、幕張メッセ)の会場で、初の冷凍食品企画展示「冷凍×食」が賑わいました。

かつてはスーパーマーケットの中で売上構成比も低く、軽んじられている感のあった冷凍食品ですが、今では戦略ジャンルになってきた、ということです。業界を取材して41年、こんな驚くことに巡り会うとは、しみじみ感慨深いSMTSでした。ということで、今回は少々まじめに会場のリポート。

SMTS主催者企画展示は、ライブステージで9本のセミナー、全国スーパー冷凍PB試食体験9品、新商品約100品のピックアップ展示、冷凍自販機はじめ最新情報・トレンド展示で構成されました。余談ですが、空きスペースが気になって主催者スタッフに聞いたところ、冷凍自販機「ど冷えもん」のサンデン・リテールシステムが、半導体不足の影響で新規営業を控えざるを得なくなり、急きょ展示を取りやめたとか。海外由来のいろいろなモノ不足がこんなところにも影響しています。

企画展示のアンバサダーは、「冷凍王子」こと、西川剛史さんが務めました。

生鮮+惣菜(生鮮4品目)、そして生鮮5品目は冷凍食品

私もライブステージ・セミナー講師の依頼を受け、「冷凍食品は生鮮5品目 いまこそFresher Than Fresh!」をテーマに掲げて講演しました。

予約制のセミナーではなかったので、自己紹介をどうしようかと考え、思いついたのは、「マツコの知らない世界に3回出た」でした。初対面の方はそれだけで、ああ、冷凍食品に詳しい人、そして熱心すぎて面白い(変な)人、と理解してくれます。

「生より新鮮」は、前回の本コラムで記した通りです。収穫後鮮度がどんどん落ちて、栄養価も損なわれていく生鮮に対し、冷凍食品は鮮度も栄養価もとれたて、作りたての状態で時間を止め、空間を超越して食卓まで届けることができます。冷凍食品は、鮮度の高い生鮮5品目と考えたときに、スーパーマーケットでは、今よりもっとふさわしい場所で販売すべきではないか、と訴えました。

つまり、生鮮3品に続いての壁面か、レジに近い惣菜の対面に位置する場所です。そんなレイアウトなら、今日明日に食べるもの、明日以降食べるものをと考え、選ぶ来店客に、店側からこの商品でこんな食卓をと提案しやすくなると考えます。惣菜を閉店間際まで揃え、値引きして、廃棄するロスも削減できます。

究極、冷凍食品各種と、冷凍食品にはない、殻付き生卵や生野菜サラダがあれば、食卓は整います。

大阪王将「街中華」に行列、地域を生かした商品に関心集まる

さて、SMTSの「冷凍×食」は、主催者企画展示ゾーンと50社を超える出展社ブースで構成されて、通路は人だかり。大手NBの出展は、「大阪王将」の『街中華』を再現し、VIP食堂を併設したイートアンドフーズのブース、マルハニチロの「サカナクロス」コンセプトを訴えたブースでした。

一番目立ったのは、黄色い「大阪王将」の看板と白い暖簾が来場者を引きつけたイートアンドフーズのブースです。試食には常に行列ができ、VIP食堂も大盛況でした。プレス発表前ですが、新商品の「極みの大粒 肉餃子」(標準24個:720g)、「極みのもっちり厚皮 肉汁爆弾餃子」(標準20個:700g)も試食披露していました。

“肉汁爆弾”とは、大阪王将ブランドらしいキャッチーなネーミングです。確かに、丸くてもっちりした皮をひと噛みすると、熱々の溢れる肉汁。新しい食卓の一品になりそうです。

マルハニチロの「サカナクロス」は、世界の水産をリードする同社らしく、魚とテクノロジー、魚とスポーツ、魚とサステナブルなど、掛け合わせることで新たな価値を創造して、社会の役に立つというコンセプト発信。大画面で迫力ある映像も流しながら、マルハニチロ社員による熱意溢れる説明に聞き入る来場者の姿が印象的でした。

そう、ものを作るだけではない、生活をデザインするのも食品産業の重要な役割なのですねぇ。

全国ご当地の商品が多彩に並んだことで、かなり見応えのあるゾーンになっていました。その中でも青森県は自治体としての唯一の出展でした。官民連携の『冷凍ベンチャー事業』を昨年度から推進中で、「青森といえば冷凍食品」を目指して、特産品を生かした商品開発、販路の開拓を官民協力で実践しています。

地域で見ると、目立ったのは九州勢でした。新商品の生パスタと窯焼きピザのピザレボ(福岡市)、“魚やがパスタ”とPRする「海鮮パスタシリーズ」の柳川冷凍食品(福岡県柳川市)、太宰府天満宮参道の名物「梅ヶ枝餅」を製造・販売する㈱やす武が「冷凍 梅ヶ枝餅」を紹介しました。確かにお餅は冷凍適性に優れた素材です。

離島の冷凍食品も注目の的でした。島の魚と中華料理研究家による「匠の百皿-HYAKUSARA」(㈱島のごちそう、鹿児島県・獅子島)は、高級中華の価格帯レベルです。

島の漁業を維持、発展させるための開発食品。冷凍食品の『時空間超越システム』はこんなところに生かされます。

スーパーの冷食60年。『超高速凍結機』がロス削減に貢献する近未来の話

国分グループ本社のブースは、2月14日に発表した、『超高速凍結機』㈱ゼロカラ(本社:神奈川県横浜市、荻野龍哉社長)との業務提携について、詳細を発表する場になりました。

ゼロカラは2017年11月に創業したスタートアップ企業ながら、ブライン凍結機(冷媒液に包装した食品を浸ける凍結機)の商品棚をダイナミックに上下させることと、熱交換効率をアップさせる工夫により、「世界最速凍結機」を謳える凍結機を開発して急成長しています。

もちろん、高性能凍結機で商品を作っても、その出口、しっかりと管理できる物流と販売先が確率していなければ、無用の長物。冷凍食品はシステムで成り立つものなので、凍結機の性能ばかりを追いかけても、最終的なお皿の上に高品質の食品が乗るかどうかは確約できません。今回の業務提携は、急速凍結以外のトータルサポートを国分が担うことによって、サプライチェーンを創造していこうというプロジェクトになります。

夢に描いた「日配品の凍結も可能」という中村典正部長(国分グループ本社低温フレッシュデリカ統括部戦略推進室低温推進部長兼国分フードクリエイト常務執行役員営業統括)。「来年は恵方巻をやりたい」とのこと。海鮮海苔巻きの試食をしました。恵方巻は毎年、食品ロスの槍玉に挙がるもの。冷凍食品の発展は、SDGsの目標達成にも通じるのです。

ちなみに、今年、2023年は、日本のスーパー初の冷凍食品売場(ダイエー三宮1号店)が誕生して60年。同店に冷凍食品を納入したのが、中村氏の実のお父様、中村博一氏(現ナックスの前身、中村博一商店創業者)です。60年を経て、夢を受け継ぐ姿に感動しました。『夢とロマン』の冷凍食品事業。久しぶりに昭和時代のフレーズを思い出しました。